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「西新宿スマートシティプロジェクト」が広く認知されるよう努める

西新宿のスマートシティ化とは何か?~都庁担当者に聞いてみた~【後編】

2021年04月09日 11時00分更新

 最先端のデジタル技術で西新宿エリアが変わる「西新宿スマートシティプロジェクト」。前回は、その目的や体制などを紹介してきた。今回は、このプロジェクトで西新宿がどのように変わるのか、また、プロジェクト内容を伝える情報発信の取り組みについて、東京都庁担当者のみなさんにうかがった。


4つの課題解決テーマが設定され、取り組みの方向性がつくられた。

 西新宿の課題を洗い出し、それをデジタル技術を活用して解決するためのテーマは「地域の魅力創出」「認知度向上・地域への参画促進」「移動環境の整備」「新たなワークスタイルの確立」になった。
 

平井 西新宿のいろいろな人たちと話していると、意外と歴史があったりするので、発掘してみなさんに伝えるのが非常に大事だなと思っています。こうした西新宿の隠れた魅力や財産を発掘して、それを可視化していくのが、テーマ「地域の魅力創出」です。「認知度向上・地域への参画促進」というテーマでは、街と人の直接的な接点や、コミュニケーションする環境を作って行こうとしています。また、 テーマ「移動環境」は、エリア内で安心安全に移動できる移動手段やルートを提供することです。

 たとえば西新宿は立体的な構造になっていて、自分がどこにいるのかわからなくなることもある。このような西新宿特有の不便さも、ICTを使った的確な案内を出すといったことで解決できるだろう。

戦略政策情報推進本部 戦略事業部 デジタルシフト推進担当課長の平井則輔さん

平井 テーマ「新たなワークスタイルの確立」では、フレキシブルに働けるようなものを実現していきたいです。

 こうした課題に加え、新型コロナウイルス感染拡大によって新たな課題も見えてきた。

平井 課題というのはつねに一定ではありませんから、私たちとしてはアンケートをとりながら、西新宿スマートシティ協議会に入っている方々だったり、いろいろな人たちの声を聞いたりして、解くべき課題は何か、それに対してできることは何か、ということを考えています。

 たとえば、コロナ禍で3密を避けたい、という思いや、テレワークしようにもテレワークをする環境がない、という声が強くなってくる可能性もある。

平井 そのようなニーズがあれば、西新宿には大きなオフィスがあり、今は使用されていない広いスペースなどがあるので、これらをうまく活用するような取り組みを行うのもひとつかと思っています。

 ここで、西新宿スマートシティ協議会について、少し補足しておきたい。前回触れた組織のほか、同協議会の下には、3つのプロジェクトチームが設置されている。仮説検証プロジェクトチーム、課題解決プロジェクトチーム、都市OS検討プロジェクトチームだ。

西村 仮説検証プロジェクトチームは、これまで申し上げてきたように、西新宿の課題をアンケートなどによって明らかにして仮説検証するチームです。 

 課題解決プロジェクトチームは4つのテーマ、「地域の魅力創出」「認知度向上・地域への参画促進」「移動環境の整備」「新たなワークスタイルの確立」のテーマごとに、方向性や実証の検討を行う。

玉田 課題解決するにあたっては、スタートアップ企業、通信事業者もそうですが、一般の企業も含めて課題をまず広く共有した上で、解決できるような提案を募っています。提案してくださったのは48社でした。

戦略政策情報推進本部 ICT推進部 次世代通信推進課 次世代通信推進担当の玉田辰哉さん

  具体的には、伝統文化を学び、異業種世代交流を促すコミュニティの提供、エリア情報や混雑情報を発信するスマートサイネージの提供、エリア内の魅力的なスポットや効率的な移動ルートを可視化するARガイド・ARナビゲーションの提供、余剰スペースを持つビルオーナーと働く場所を探す人とをマッチングできるサービスの提供などが提案された。

西村 スマートシティに欠かせない、都市OS検討プロジェクトもあります。このプロジェクトチームでは、産官学の視点で、都市OSに関する討議や、都市OSの構築の方向性検討、試行を行っています。これらプロジェクトチームの取り組みや課題を共有し、実証したものを合議するのが西新宿スマートシティ協議会自体の活動です。フェーズごとに区切って年4回、しっかりと合議の場を設けています。同協議会にはさらに、広報・巻き込みタスクフォースも設置されています。

戦略政策情報推進本部 戦略事業部 デジタルシフト推進担当課長の西村 唯さん

 これらの協議会の取り組みを、西新宿に関わる人たちにはもちろん、都民や他の地域の人たちにも知ってもらうのが、このタスクフォースの役割。今年度はおもに3つの施策を行っている。

西村 1つ目は、西新宿スマートシティプロジェクトのホームページを通じての情報発信。このホームページには、西新宿スマートシティ協議会の取り組みの内容であったり、そもそも西新宿ってどんな街?と いったことを広く周知して、スマートシティみたいな取り組みをやっているんだ、と理解を深めるための施策を行っています。

西新宿スマートシティプロジェクトのホームページ(https://smartcity-nishishinjuku.jp/)

 2つ目は、LINEの公式アカウントを活用したコミュニティの形成。コミュニティの参加者からの意見や、アンケートなどを行って、協議会での取り組みの参考にする。

西村 たとえば西新宿でこんな活動があったときに、あなたはどれに参加してみたいですか、といったアンケートをとって、みなさんがどういったものに反応してくれるかを知る、というような取り組みをしています。

コミュニティの交流ツールとして情報発信や意見の収集を行う。

 3つめは、都民と西新宿で働く人たちを対象に、デジタル技術を活用した5G体験イベントなどを実施すること。

西村 2020年11月に行ったイベントでは、5GやICT技術を活用して、実際にサービスを体験する機会を提供しました。

 今後も、西新宿エリアで5GやWi-Fiを重点的に整備したり、5GアンテナやWi-Fi、LED灯などを搭載したスマートポールの試行設置、情報の収集とサービスの提供をエリア全体で行えるように、データの利用や活用について調査、検討などを進めていくとのこと。 さらに、スタートアップ企業の集積拠点の開設といったことにも取り組む予定だ。西新宿は「スマートプロジェクト」によって、人や投資が集まる活気あるエリアになっていくだろう。

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