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「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」始動! vol.2

【連載/新宿再開発】 “現代の宿場町” 新宿を再構築! 新宿区と東京都が見据えるこのまちの未来

2021年11月26日 12時00分更新

文● 岡田知子(BLOOM) 写真●曽根田 元
提供: 東日本旅客鉄道株式会社、小田急電鉄株式会社、東京地下鉄株式会社、京王電鉄株式会社、西武鉄道株式会社

新宿区長の吉住健一氏(左)と、東京都 都市整備局理事の安部文洋氏(右)

 新宿ワーカーが今、注目しておきたいキーワードが「新宿グランドターミナル」。新宿区と東京都が2018(平成30)年に「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」を策定し、新宿駅とその一帯が「新宿グランドターミナル」として今後再開発される予定だ。

 新宿はいったいどんなまちになるのだろうか? 連載第1回に続き、第2回となる今回は、新宿区長の吉住健一氏と、東京都 都市整備局理事の安部文洋氏の2人それぞれに話を聞いた。
 

新宿は、多様な人が往来して新しい賑わいをつくる“現代の宿場町”


――新宿区長から見て、新宿とはどのようなまちですか?

吉住(新宿区長)「新宿区は1947(昭和22)年に四谷区、淀橋区、牛込区の三つが合併して誕生した区です。江戸時代の宿場『内藤新宿』を由来とする成り立ちからしても、来るものを拒まず、訪れた人が快適に過ごせるようにする、ということを自然とできているのが、このまちの特徴だと思っています。

新宿区長の吉住健一氏。2014(平成26)年、新宿区出身の区長として就任。2018(平成30)年より2期目。「暮らしやすさ1番の新宿」「賑わい都市・新宿の創造」などを掲げる

 多様性のあるまちとよく言われますが、5分、10分ほど歩くと、まちの雰囲気が本当に変わります。東口と西口でもそうですし、個性が確立しているんです。妙正寺川、神田川など自然もあるがままに残っていて、新宿中央公園や新宿御苑があったり、明治神宮外苑もまるっきり趣は違いますが、ほとんどが新宿区。神楽坂や四谷もありますし、エリアごとに全く個性の異なるまちが一つになっています。

 まち自体に多様性があるので、新しいタイプの人が来ても受け入れる、そういう不思議なまちです。人が往来して、いろいろなところから人が集まって賑わいをつくる、というのは、今も昔も変わっていません」

――そのような多様な魅力を一つにまとめる「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」の概要は?

吉住「今回の再整備方針は、2018(平成30)年3月に、東京都と共に策定したものです。新宿区の基本政策の一つである『賑わい都市・新宿の創造』に関わる事業として位置付けています。駅、駅前広場、駅ビルなどが一体化した次世代の『新宿グランドターミナル』へと再編することで、『駅とまち』『まちとまち』、さらに、誰にとっても優しい空間がまちとつながって、新宿を訪れる多様な人の賑わいや消費活動などを区内全域へと波及させていくことを掲げています。

 区としても、地元の皆さん、企業・関係者の皆さんと協力して、新宿全体のブランド力の向上につなげていきたいと考えています」

「新宿グランドターミナル」の再編イメージ。東西南北の移動がしやすい「人中心のまち」になり、多様な文化や賑わいが交差する国際交流都市を目指す
※画像は「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」(平成30年3月)に掲載された画像に加筆したものです。


 

老朽化した建物、複雑な駅、不便だった東西の往来を一新!


――これまで新宿駅周辺にはどのような課題があったのですか?

吉住「新宿駅の周辺は、東口と西口でキャラクターが違っています。西口の超高層ビル群に対し、東口は老舗や名店などがそろうエリアで、それぞれまちの在り方が異なっています。

 一方、新宿は全域の80%ほどが第二次世界大戦で焼失しましたが、復興は早かったので、いまだに古い建物が多く残っており、耐震化などさまざまな課題があります。また、建て替える際には駐車施設の附置義務などもあり、なかなか進んでいませんでした。
 東京都や鉄道事業者とも一緒になってダイナミックな再編をしないと、新宿駅周辺一帯の更新は非常に厳しい状況にありました」

――複雑な構造の新宿駅については?

吉住「新宿駅にはJR東日本、小田急電鉄、東京メトロ、京王電鉄、西武鉄道、都営地下鉄が乗り入れており、時代とともに建物が付け加えられてきたので、『新宿ダンジョン』と言われるくらい(笑)、大変複雑です。今回の再編では、駅の地上、地下、デッキ階をつなぐバリアフリー動線を整備して、誰にとっても優しい快適な歩行者空間をつくっていきます。それによって、駅の東西にある個性あるまちをつなぎ、新宿全体の回遊性の向上を図ると同時に、賑わいと交流の創出に力を入れたいと考えています。

 東京都や主な地権者である鉄道事業者の皆さんと本気になって取り組み、もう一度、世界一のターミナルとして、まちとして、新宿を再生しようと進めています」

生まれも育ちも新宿区で、このまちは幼少期からの“庭”。区庁舎の近所にある幼なじみの友人の中華料理店でランチをとることも

――再整備の足掛かりとして、2020(令和2)年7月に新宿駅東西自由通路が開通しました。

吉住「開通は、地域の長年の悲願でした。これまでの新宿は駅の線路によって東西が分断されていましたが、この通路が開通したことにより駅周辺の東西交流の機能が大幅に改善され、歩行者の回遊性や来街者の利便性が大きく向上したと感じています。今となっては、『あの不便な数十年はなんだったのか』というくらい(笑)、皆さん、もともとあったかのように便利に使ってくださっています。

 今後は、再整備方針の一つに位置付けられている線路上空の『東西デッキ』などを整備することで、この自由通路とともに、まちとまちをつなぐ大きな力となって、よりいっそう魅力ある国際交流都市へと発展していくことを期待しています」

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