タクシーが空を飛ぶ時代、宇宙エレベーターに乗れる時代、もう来てる! 未来を感じまくりだったSusHi Tech Tokyo 2024ショーケースプログラム

2024年05月31日 11時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII
提供: 東京都、SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム実行委員会

「一人ひとりがサステナブルな生活を実現できる」
それを感じさせてくれる場所

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

会場内の寄せ書きコーナーでもらえたオリジナルステッカー。これを持ち物に貼っている人は、サステナブルについて理解が深い人かも……

 SusHi Tech Tokyo2024 ショーケースプログラムで展示されていた多くのものは、決して「こうなったらいいだろうけどな〜、まあ無理だろうな〜」という荒唐無稽な試みではありませんでした。

 むしろ、「空飛ぶクルマ」に代表されるように、今の技術の延長線上にあるものばかりです。そして、今の生活の延長線上にやってくる可能性を感じさせるテクノロジーも多かった。

 たとえば、有明アリーナで展示されていた室内で野菜を育てる「インドアファーミング」や、IoTで植物を育てる「スマートプランター」。都市に生きる人たちが、無理なく街中に緑を増やしていくための手段のひとつといえるでしょう。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

都市向けのスマートプランター。植物が育てられるだけでなく、テーブルにもなるので部屋に置きやすい

 また、シンボルプロムナード公園に展示されていた「観光バスの座席シートを利用したアート」。もう使わなくなったものを、実用性を失わせることなく再利用したものです。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

観光バスの座席シートをソファーにしたアート。何しろ、もともとが座席なので座り心地はすぐれている

 最近は、「サステナブル」という言葉がさかんに使われます。これを、「地球の環境にやさしい」「社会問題を解決する」などと考えると、ずいぶん大げさなものに思えてしまうかもしれません。

 しかし、ショーケースプログラムの中で提案された「都市の中でもできる範囲で植物を増やしてみる」「廃材を使ったアートを取り入れる」といった試みは、現在の我々の生活範囲内で取れる選択肢ではないでしょうか。

 食事にしても、そうです。一例としては、シンボルプロムナードの「Z品グルメガーデン」で販売されていたビール、「Japan Arigato Lager」。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

JALの国際線ラウンジで余ってしまったお米を使用した「Japan Arigato Lager」。苦みは少なく、後味もしつこくない。お米を使ったからでしょうか

 このビールを製造しているBeer the Firstは、アップサイクル食材(廃棄予定であったものに手を加え、価値をつけて新しい製品へと生まれ変わらせた食材)を使用したクラフトビールを製造しているメーカーでした。

 サステナブルな社会のために生活を変えるのではなく、自分の仕事や楽しみの中で、アップサイクル食材のような環境に配慮した選択肢が増えること。ここが重要ではないでしょうか。

 「たまには環境にやさしいものを選んでみるか」という動機で何かを取り入れることも、“自分たちの生活を持続していく”という意味ではサステナブルな行為でしょう。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

サステナブルなフードという点では、こんなものも。3Dフードプリンターを用いて出力した、寿司(の形状)にロボティクス技術をかけ合わせて作った「やわらかい動く寿司」。ゆくゆくはお寿司をプリントする時代も来るかも

 社会の中にサステナブルな選択肢が当たり前にある生活は、すぐそこまで来ている。単なる情報の紹介だけでなく、エンターテイメントや実演を通じて、「一人ひとりが、都市の生活の中でサステナブルな生活を実現できる」と思える……。

 サステナブルな物事が、まさに“自分ごと”(自分に関わる技術がある、自分が楽しめる)として理解できるのが、バラエティー豊かな会場で展開されたショーケースプログラムの魅力でした。

理想の未来は手の届かない世界じゃない
ショーケースプログラムはそう思わせてくれる第一歩だった

 本記事の冒頭では、空飛ぶクルマを紹介しました。ショーケースプログラム内にあった、未来の移動手段をもう一つ紹介しましょう。「宇宙エレベーター」です。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

有明アリーナの「宇宙エレベーター」体験コーナー

 宇宙エレベーター、または軌道エレベーターとは、宇宙空間に設置した静止衛星を地上とケーブルで接続した構造を指します。

 実現すれば、安定して低コストに宇宙空間との行き来ができる可能性を持っているとして、ロケットに代わる輸送手段として期待されている技術です。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

イスに座るだけで宇宙に移動できる未来を実感

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

「あっという間に宇宙に到達する」体験ができました。将来は免許いらずで誰でもエレベーターで宇宙に行けるかもしれません

 「宇宙に移動する」と聞くと、多くの人はロケットやスペースシャトルによる移動を想像するでしょう。ですが、最新のテクノロジーにおいては、「エレベーター」という手段があるのです。

 空飛ぶクルマと同じく、宇宙エレベーターも過去の人たちからすると「えっ、こういう形で移動するの?」と思うかもしれません。

 しかし、この技術も、過去の人たちが試行錯誤してきたテクノロジーの延長線上にあるもの。つまり、過去〜現在と人々が歩んできた道の先にある、リアルに「実現可能なもの」なのです。手の届かない世界の話ではありません。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

製造方法の観点から持続的な提供が難しいという課題を抱えるフォアグラを再現した「グラフォア」を使ったフード。我々の生活に欠かせない食にも、サステナブルな選択肢は増えてきています

 都市課題解決に向けた東京発のイノベーションを創出するとともに、未来の都市モデルを発信するショーケースプログラム。そこで多くの人は、「こんなテクノロジーがあるんだ」「実現可能なんだ」という未来を感じたはず。タクシーが空を飛ぶ時代、宇宙エレベーターに乗れる時代は、もう来ているのです。

 その未来はけっして唐突に生まれた夢物語ではなく、過去の人たちの経験や技術の積み重ねで作られていくであろうものです。日本のみならず世界を牽引してきた文化がある都市・東京には、そんな歴史の重みがあり、さらに、ポジティブな未来を作ろうとしている企業や人々も集まっている。

 そんな人たちの手による文化やテクノロジー、エンターテイメントなどが揃っていた。未来を感じまくりだったSusHi Tech Tokyo 2024、そしてショーケースプログラムだったというわけですね。

SusHi Tech Tokyo 2024 ショーケースプログラム

水素混焼制御システムにより、温暖化ガスの排出量の半減を達成した「ハイドロびんご」。海の森エリアの移動手段として利用されました。クリーンなエネルギーの活用も、未来への第一歩

 ショーケースプログラムの来場者は、さまざまなテクノロジーに触れることで、SusHi Tech Tokyo 2024の理念……「持続可能な都市を高い技術力で実現し、都市課題の解決に向けた挑戦や東京の多彩な魅力」が理解できたのではないでしょうか。

 もちろん、ショーケースプログラムで展示されたものがすぐに実現するかはわかりません。それでも、会場を訪れ、“体験”した人たちの中に「理想の未来は近づいている、そこに向かって自分もできることがある」というマインドは生まれていくでしょう。

 2050年の東京を作る人たちの歩みは、このショーケースプログラムでの“体験”から、きっと始まっていくはずです。

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