みなさん、こんにちは。
私たち、横浜市芸術文化振興財団は、美術、音楽、ダンス、古典芸能など、アートの力を活かして、横浜の魅力を高める活動をしています。
この連載ではリレー形式で10回に渡り、新たなアートイベントの楽しみ方、文化施設周辺の街歩きなど、アートを切り口に街の魅力をお届けします。
前回の記事はこちら
気軽にアートを感じる横浜の穴場スポット「横浜市民ギャラリーあざみ野」
過去の連載はこちら:
アートが紡ぐ街へ~ヨコハマ・アートディスカバリー~第10回は、横浜赤レンガ倉庫1号館の坂口が、赤レンガ倉庫の建物の見どころと毎冬開催するアートリンクを紹介します!
横浜赤レンガ倉庫の誕生と歴史
横浜赤レンガ倉庫は大正時代に誕生した歴史ある建物です。2号館の完成が1911(明治44)年、1号館の完成は1913(大正2)年。完成当時の総工事費は1,000,000円。これは金の延べ棒約60本分に相当し、現在(2025年9月1日)価格にすると、なんと約140億円にもなります。
さて、1号館は2号館の半分ほどの大きさなのですが、その理由をご存じでしょうか。
その理由は1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災の影響です。2号館は倒壊を免れましたが、1号館は中央部が倒壊するほどの被害をうけました。その後、当初の半分ほどの大きさを残し、コンクリートによる補強等の改修工事が行われました。
外観を大きく変える事になった関東大震災のあとも赤レンガ倉庫の歴史はさまざまな変遷をたどることになります。第二次世界大戦後の米軍による接収、港湾倉庫として復活してからは戦後復興に伴う貨物取扱量も増えていきましたが、流通の発達に伴う貨物のコンテナ化に対応するため新しい埠頭が開発され、ついに1989(平成元)年には倉庫としての役目を終えることとなりました。
その後、9年にも及ぶ保存・活用工事を経て、文化・観光・商業の複合施設として2002(平成14)年に生まれ変わり、1号館はダンス公演や展覧会、コンサート等の文化芸術を発信する場として活用されています。
どこにあるか探してみよう!
横浜赤レンガ倉庫は完成から120年以上経過しています。保存工事で建物から取り外され、その後復元設置された避雷針や、取り外された後1号館の1F床面に展示されている瓦や戸車などもありますが、現在も建物に取り付けられたまま保存されているものもあります。赤レンガ倉庫に来た時にはこれらを是非探してみませんか?
■非常用水栓
赤レンガ倉庫は当時最新の技術を使い、防火防災にも備えていました。防火設備は建物内に防火戸が残されている他、外部には非常用の水栓や配管設備が残されています。
※非常用水栓は1号館に現存しています。
■保存エレベーター
日本最古の荷物を出し入れするエレベーターが横浜赤レンガ倉庫に残されています。現在は役目を終えていますが、木製のかごも残されており、当時、港から運ばれてきた荷物が次々と2F・3Fにあげられていく様子が思い浮かびます。
※保存エレベーターは1号館に現存しています。
■木レンガ
レンガの中に一部木製のものが混ざっています。これは工事を行う際に釘を打つため必要なもので、あらかじめ用意されているところに、創建当初建築に関わった人々の知恵が感じられます。
※木レンガは2号館に現存しています。
冬の赤レンガ倉庫といえば!
2005(平成17)年から始まって今年で21回目の開催となる「アートリンクin横浜赤レンガ倉庫」は冬の横浜を代表するイベントです。スケートリンクのサイズは40メートル×23メートル。時間をかけてゆっくりと厚さを重ねた氷のスケートリンクです。アート作品も同じ幅で最大40メートル!この大きな作品が来場者を迎え入れます。毎年異なるアーティストが制作するアート作品に囲まれながらアイススケートを楽しむことが出来ます。
今年も11月29日(土)から2月15日(日)まで開催を予定しています。赤レンガや、みなとみらいのスカイライン等の横浜らしい風景を眺めながら、気持ちよくスケートとアートを楽しめます。クリスマス、年末年始、週末のお出かけ等に是非お越しくださいませ。
赤レンガ倉庫1号館にはまだまだ創建当初から残っている見どころがあります。1Fショップでのおみやげ探し、2Fスペースや3Fホールで行われている展覧会や公演イベントをご覧の際は、歩いて回りながら見つけてみてください。
▼スポット・イベント紹介
横浜赤レンガ倉庫1号館 公式HP
https://akarenga.yafjp.org/
・X(旧Twitter)
https://x.com/YRBW_hallspace
・Instagram
https://www.instagram.com/yokohamaredbrick_no1/
■アートリンクin横浜赤レンガ倉庫
日時:2025年11月29日(土)~2026年2月15日(日)
アートリンク特設サイト
https://akarenga-artrink.yafjp.org/
https://akarenga.yafjp.org/
▼執筆者紹介
文:坂口周平
プロフィール:九州の港町出身。都内の大学へ進学するため関東へ。大学卒業後は千葉県船橋市に住みながら都内の企業で勤務する中で文化施設の管理運営に携わり、その後横浜市芸術文化振興財団に入職。西の果てからやってきたので、10年以上経過しても未だに東日本・西日本の文化の違いに戸惑うことがあったりなかったりするとかしないとか。
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