西新宿の風景とメモリーを語る「西新宿百景」の第2回は、元週刊アスキー編集長の宮野友彦氏。カメラメーカーの「プラザ」や「サロン」が集まる西新宿の魅力を教えてもらった。
自分が学生のころ(ン十年前)、西新宿に通っていた。ヨドバシカメラで値段を調べて、カメラメーカーの「プラザ」や「サロン」でおカメラやレンズにさわり、カタログを集め、中古カメラ店で出物を探すという、至福の時間を過ごすためである。
ヨドバシは今のような総合商社ではなく、その名のとおりカメラ屋さんで、今のカメラ館とフィルム館だけだった。裏表にビッシリと型番と数字が並んだ「黄色い価格表」をもらって、もちろん口コミサイトなどない時代なので、カメラ雑誌の評価記事を読んで、ああでもないこうでもないと、カメラやレンズや引き伸ばし機やフィルムや印画紙の組み合わせを考えるのが楽しみだったのである。
メーカーのプラザのメインの機能は製品の「ショールーム」だが、故障や修理相談の「サービスカウンター」そして、写真を展示する「ギャラリー」、場所によっては「プロサービス」の機能も統合している。ギャラリーには最新カメラやレンズで撮った写真が大きく伸ばされて展示されているので、機材選びの勉強にもなる。
今でも西新宿にはニコンやリコー(ペンタックス)、オリンパスのプラザがある。ニコンは昔はNSビルにあったのが、かの有名な「銀座ニコンサロン」がなくなり、統合されて、今はエルタワーにある。
オリンパスは新宿三丁目にあったが、今の地に移り、プロサービスは笹塚に移った。ペンタックスは三井ビルだったのがこちらも銀座のリコーと統合して、今のセンタービルに移っている。
たとえばニコンプラザ東京では、ヒモのついていない好きなカメラとレンズを借りて、プラザ内で自由に撮影ができる(30分くらいだが)。プラザ内には模型が動いていたり、美大の学生さんの作品があったり、地上28階からの新宿の眺望も見事なので、試写する被写体にはことかかない。ちなみに5月14日まで、「ニコンF & ニッコールレンズ限定メンテナンス」を実施しているので、WEBで予約して持ち込むのもおススメである。
中古カメラ店も、銀座や東口は減ってしまったが、新宿西口には健在だ。マップカメラに新宿中古カメラ市場、キタムラ、レモン社で出物を探すという至福の時間を過ごすことができる。噂ではフィルムカメラが高騰しているそうで、死蔵しているものがあれば、放出して最新デジカメを買うチャンスかもしれない。
いまでも西新宿は、おカメラ好きが一日中楽しめる大人の遊園地なのである。
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