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まちの魅力から春節の楽しみ方までを横浜中華街のプロに聞く

「横浜中華街は“美食の沼”」本当に美味しい多様な店と多彩なメニューが魅力なんです!

2025年01月20日 18時00分更新

横浜春節祭公式グルメ大使のはっしーさん(写真左)と横浜中華街発展会協同組合理事長の進藤さわとさん(写真右)

 1月15日(水)から2月28日(金)まで、横浜中華街を中心に「横浜春節祭2025」が開催されています。横浜春節祭は、横浜の地域資産である「横浜中華街の春節文化」を、中華圏で旧暦の正月を祝う文化行事である春節の時期に合わせて横浜ベイエリア全体で開催されるお祭りで、2022年に始まりました。2025年は横浜ベイエリアを飛び出して、新横浜駅や羽田空港、渋谷や神戸でも展開されます。期間中は、華やかに光り輝く「巨大ランタンオブジェ」が横浜中華街をはじめ、横浜ベイエリアの主要駅や商業施設など約50か所に設置され、デジタルスタンプラリーや獅子舞演舞披露など、様々なイベントが開催されます。

 今回、横浜中華街グルメ大使で横浜春節祭公式グルメ大使でもあるはっしー(橋本陽)さんが、横浜春節祭を盛り上げる6人のキーパーソンに特別インタビューを敢行。それぞれが思う「横浜のまちの魅力」「お気に入りのお店」「春節祭への意気込み」を尋ねました。

インタビュアーのはっしーさん

 記念すべき1人目は、横浜中華街発展会協同組合理事長の進藤さわとさん。横浜中華街のプロ、進藤さんが思うまちの魅力とは?

知り尽くしたと思っても、
まだまだ隠れた絶品メニューが潜む横浜中華街

(はっしーさん)横浜中華街といえば日本屈指の観光地ですが、進藤さんが思う“魅力の核心”は何でしょうか?

(進藤さん)やはり「食」に尽きると思います。しかも、ひとつのお店でもメニューがとても多彩で、まさに“美食の沼”なんですよ。

(はっしーさん)名物メニューもあれば、裏メニューのような“知る人ぞ知る”料理もあるんですよね。「このお店はこれを押さえておけば間違いない」と思っていると、実はほかにも絶品メニューが見つかったりして、オーナーシェフと仲良くなると、“こんなリクエスト料理作ってほしい”というお願いが叶ったりもしますよね。

(進藤さん)中華街の魅力は、店によって個性がまったく違うところ。しかも、路地裏に名店が潜んでいたり、それが横浜中華街ならではの楽しさだと思います。

進藤さんは子供の頃から横浜中華街のお店に通っているそう

美食の街でも珍しい北京の料理が味わえる「北京飯店」

(はっしーさん)今回は進藤さんに、老舗の中華料理店「北京飯店」さんにご案内いただきました。中華街というと広東料理や上海料理が多いイメージがありますが、北京料理がいただけるのは珍しいですね。

(進藤さん)実は北京飯店さんは創業70年という、歴史あるお店なんですよ。しかも、横浜中華街発祥ではなく“東京の北京飯店”がスタートだったという珍しい流れで、横浜中華街に進出されたそうです。
 北京は中国の首都だからおいしいものが集まってくるというイメージもあって、フカヒレなどの高級食材も扱っていますし、小麦粉を主食にする北方系の料理も得意とされています。肉まんやお饅頭など生地がしっかりしたメニューが多いのが特徴ですね。

(はっしーさん)ここの五目肉まんは、五目野菜煮込みをそのまま生地で包んでいることが特徴で、ゴロゴロとした具材の食感と味わいが楽しめるので僕もハマっています。最近は「ドラゴンパオ」という新作の肉まんにも注目していて、しびれる辛さが刺激的で、余市の北島豚とくわいの食感と旨味が楽しい一品食感と旨味が楽しい一品なんですよ。

北京飯店の新作肉まん「ドラゴンパオ」

シーンに合わせて利用できる中華料理店が約600店!!

(はっしーさん)中華街には本当にたくさんの美味しいお店がありますが、ざっと何店舗くらいあるのでしょうか?

(進藤さん)発展会(横浜中華街の組合)に加盟しているお店が400数十店舗、全体では600店舗ほどあります。そのうち半分ほどが中華料理店で、残りは占いや雑貨、足つぼなど多彩な業種です。
 料理だけに絞っても、広東・上海・福建・四川・北京・東北料理など多岐にわたるので、「どこに入ればいいかわからない」という声はよく聞きますね。実際、“中国国内の地方料理をすべて網羅している”と言っても過言ではないくらいバリエーションがあるんです。たとえば四川料理の有名なお店だと「重慶飯店」でしょうか。四川料理よりも辛いことで知られる“湖南料理”のお店もあって、日本人向けにアレンジされていない現地仕様で提供しているので、激辛好きにはたまらないみたいですね。
 東北地方の味を再現している「東北人家」さんもすごいですよ。もともとは東北出身の方に向けて本場の味を出そうとして始まった店でしたが、逆に日本人の間でブームになったんです。

(はっしーさん)酸味のある白菜鍋など、さっぱりしつつ滋味深い味でハマる方も多いですよね。横浜中華街はお店が多いので選択に悩む観光客は多そうですが、ビジネスの接待などで使いたい場合、どんなお店がおすすめですか?

(進藤さん)やはり接客がしっかりしていて、個室や高級感があるお店でしょうか。たとえば「廣翔記 新館」さんとか、こじんまりとしたところでは「状元樓」さんも評判がいいですね。フカヒレや上質な海鮮をじっくり楽しみたいときなどにおすすめです。
 逆にカジュアルに楽しむなら、庶民派の食堂や路地裏の小さなお店を巡るのも面白いですよ。“ディープな中華街”を体験するには、あえて大通りから一本入ってみるのがコツかもしれません。

横浜中華街のことならなんでも知っている進藤さん。そんな進藤さんのお話についていくはっしーさんのグルメ知識もさすがです

「おせち料理」のように一皿ごとに意味のある春節料理

(はっしーさん)続いて、この町最大のイベントといわれる「春節」について。どのような背景があるのでしょうか?

(進藤さん)横浜中華街では、台湾系・大陸系などさまざまな出身の華僑が協力して、40年近く春節(旧正月)のお祝いを続けてきました。最初はまちの人たちがお金を出し合って始めたものですが、今では2月の観光閑散期とは思えないほど多くの観光客が来る一大行事に育っています。
 しかも中国の伝統芸能を披露する場にもなっていて、獅子舞や舞踊を次の世代へ受け継いでいく。だから一過性のキャンペーンじゃなくて、しっかり根付いた文化として年々盛り上がっているんです。

春節は中国の伝統芸能を継承する機会でもあるという

(はっしーさん)日本でいうおせち料理のような、春節ならではのお料理もあるんですよね。

(進藤さん)1月の日本式のお正月よりも、この旧正月に足を運ぶ方が多いくらい盛況と聞きます。観光客にとっては“もう一度お正月気分を味わえる”イベント。中華街のお店も春節用に特別メニューを出すところが多いですね。縁起を担いだ料理もあって、たとえば餃子は昔の貨幣の形に似ているから“お金がたまる”、魚料理は“経済的な余裕(「魚」と「余」の発音が同じ)をもたらす”など、料理に込められた意味を知るといっそう楽しめます。

北京飯店で提供している旧正月料理

餃子は、昔の貨幣「元宝」の形に似ていることから金運に恵まれるようにという意味がある

「ダブル春節」で横浜全体を盛り上げる

(はっしーさん)横浜市全体で「横浜春節祭」として盛り上げているのも特徴ですね。

(進藤さん)そうなんです。横浜中華街で長年続けている春節イベントを、“横浜春節祭”として市全体で盛り上げようという取り組みが始まっています。いわば「ダブル春節」で、僕たちは変わらず中華街の伝統を守りつつ、市やほかのエリアも一緒になって観光客を呼び込む。2月って日本の観光地は閑散期になりがちですが、中華街は昔からここがピークのひとつ。そこに着目して横浜全域に波及させようというわけです。最近はランタンオブジェを各地に増設して、夜のイベントも充実していますし、夜の中華街もネオンが美しくておすすめです。

横浜中華街や駅、店舗などにランタンが登場

(はっしーさん)雨の日など水たまりに映る門や提灯の反射が神秘的で「SNS映えする」と好評ですよね。これまでも中国の旧正月を祝う行事はありましたが、ここまで多くの街を挙げて盛り上げようという取り組みは初めてかもしれません。
 では最後に、改めて横浜中華街を訪れる方へメッセージをお願いします。

(進藤さん)中華街は「食べ歩き」のイメージが強いですが、円卓でみんなとワイワイ楽しむ中華料理の魅力も知ってほしいですね。フランス料理などとは違って大きな声で盛り上がってもOKですし、同じ皿をシェアするから会話がはずむんです。若い人のなかには回転テーブルを初めて見る人もいるとか。ぜひ気軽にお店の扉を開けてみてください。
 一度行きつけのお店ができると、どんどん中華街を深掘りしたくなるはず。裏路地のお店や、実は辛い料理が得意なお店、経営者が女性ならではの細やかな気配りをするお店など、本当にいろんな出会いがあります。春節の頃はもちろん、普段のちょっとした外食や記念日にも、中華街ならではの華やかさや賑わいを感じられると思います。


 1月29日~2月12日(水)までは、39回目を迎える横浜中華街の春節「2025春節~小龍報喜」にて、華やかなパレードや伝統芸能に触れられ、特別な縁起料理も堪能できます。夜や雨の日ならではの幻想的な景色も魅力的ですので、ぜひ足を運んでみてください。

横浜春節祭2025

場所:横浜ベイエリア、首都圏、神戸エリアなど約50会場
会期:2025年1月15日~2月28日
巨大ランタンオブジェの展示や中華獅子による獅子舞などいろいろなイベントが盛りだくさん!詳しくは公式サイト(https://www.shunsetsu.jp/)をご確認ください。


進藤さわとさん(写真右)●エスニックファッションやアジアン雑貨を扱う「チャイハネ」代表取締役社長。2024年より横浜中華街発展会協同組合の理事長を務め、横浜中華街が行政・施設との連携し「開かれたまち」とするべくさまざまな施策に取り組んでいる。

はっしー(橋本陽)さん(写真左)●グルメプレゼンター。今まで全国15,000軒以上の飲食店を自腹で訪問し、テレビやSNSで食べ歩き&お取り寄せグルメを楽しくプレゼン。TBS「ラヴィット!」本気肉調査隊やテレビ朝日「キッチンカー大作戦!」などにレギュラー出演中。食で日本を元気にするため、農林水産省の国産食材アンバサダーや総務省の地域力創造アドバイザーを務めるほか、横浜中華街で史上初の公式グルメ大使として活動。2025年からは横浜春節祭の公式グルメ大使に就任し、横浜ベイエリアを中心とする横浜春節祭の魅力と美味しさを発信中。


取材に協力いただいたお店
横浜中華街 北京飯店(ぺきんはんてん)

住所:横浜市中区山下町79-5
営業時間:11:30~21:00L.O.
定休日:無休
HP:https://pekinghanten.com/

※本記事の内容はインタビュー時点の情報にもとづいています。実際に訪問される際は、事前に営業時間やイベントの有無を確認することをおすすめします。

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