まちの魅力から春節の楽しみ方までを横浜・吉田町のプロに聞く
「横浜春節祭に来たら、グルメと人情の町で一杯決めるのがツウ」バーや飲み屋など「夜グルメ」が楽しめる横浜・吉田町
2025年01月31日 12時00分更新
1月15日(水)から2月28日(金)まで、横浜中華街を中心に「横浜春節祭2025」が開催されています。横浜春節祭は、横浜の地域資産である「横浜中華街の春節文化」を、中華圏で旧暦の正月を祝う文化行事である春節の時期に合わせて横浜ベイエリア全体で開催されるお祭りで、2022年に始まりました。2025年は横浜ベイエリアを飛び出して、新横浜駅や羽田空港、渋谷や神戸でも展開されます。期間中は、華やかに光り輝く「巨大ランタンオブジェ」が横浜中華街をはじめ、横浜ベイエリアの主要駅や商業施設など約50か所に設置され、デジタルスタンプラリーや獅子舞演舞披露など、様々なイベントが開催されます。
今回、横浜中華街グルメ大使で横浜春節祭公式グルメ大使でもあるはっしー(橋本陽)さんが、横浜春節祭を盛り上げる6人のキーパーソンに特別インタビューを敢行。第2回は、吉田町名店街会理事長の山下大輔さんに「横浜のまちの魅力」「お気に入りのお店」「春節祭への意気込み」を尋ねました。
若い世代のチャレンジ精神を尊重する町
(はっしーさん)山下さんは吉田町で鶏肉専門店「梅屋」(創業112年)の4代目なんですよね。吉田町で育ち、大学を出てからも地元でご商売を継ぎながら、町の活動にも携わるようになったということですが、どのような経緯があったのでしょうか。
(山下さん)私の父は若い頃から町のいろいろな行事に深く関わっていたのですが、私が19歳の時に亡くなってしまいまして。母親が店を守り、私も大学までは行きましたが、卒業して吉田町に戻った時に、改めてこの町を盛り上げたいと思ったんです。そんな時に先代の理事長が亡くなってしまって、次の世代に引き継ごうという方向性になりました。
吉田町には「若い人のアイデアをどんどん取り入れよう」というチャレンジ精神があって、周りの年長者も僕たちに“じゃあやってみな”と背中を押してくれるんですよね。そんな風土の中で、イベント企画や町内会の仕事を手伝ううちに、私が理事長を任されることになりました。
(はっしーさん)吉田町といえば、道路を通行止めにしてビアガーデンを開くなど、かなり大胆なイベントを開催されている印象があります。
(山下さん)そうなんです。いまでは他のエリアでも“社会実験”といった形で通行止めイベントがありますが、吉田町はわりと早い段階から先輩方がやっていたんですよね。警察にも交渉しつつ、「ついでにビアガーデンもしちゃおう」という(笑)。
上の世代の方も、そういう新しい取り組みに対して前向きなんです。若い人に何でもやらせてくれる、新しいことを試す土壌があるんですよね。
名物は、黒い出汁なのにあと味さっぱりの黒おでん
(はっしーさん)吉田町といえば“バーの街”というイメージがある方も多いのではないでしょうか。
(山下さん)そうですね、吉田町は自然発生的に“バーが集まる街”になりました。もともと関内近辺の老舗バーで修行した方が、独立する際に吉田町にお店をオープンしたんです。それが連鎖して、気づいたら20軒以上もバーがある町になりました。
中でも「ノーブル」は、バーテンダーの世界大会「世界カクテルコンペティション」で優勝した山田高史さんが営むお店で、横浜を代表するバーの一つになっています。少し敷居が高そうに思えるかもしれませんが、意外と入りやすくてカクテルも絶品です。
(はっしーさん)以前、串焼き屋の「だるま」さんにおじゃましたんですが最高でした。予約もせずにふらっと1人で行ってみたら、もうめちゃめちゃ美味しくて。焼き鳥中心なのかなと思っていたら、牛タンやラムの串も出てきたんですよ。和牛サーロインの肉の塊をカットして作るステーキ串まであって、なんて素敵なお店なんだろうと驚きました。
(山下さん)だるまさんは穴場ですよね。もともと日の出町の駅前にあって、吉田町に移転されたんですよ。横浜の中でも古いお店で、プロ野球選手の方もいらっしゃるようです。
(はっしーさん)吉田町は飲食店も多くてバラエティに富んでいますよね。今回は「野毛おでん」さんでインタビューさせていただいていますが、こちらはかなりの老舗なんですよね。
(山下さん)吉田町で1番古いお店なのではないでしょうか。もともと野毛で屋台から始まって、吉田町へ移ってこられました。最近のおでんは澄んだ色の出汁のものが多いと思うんですが、こちらの「黒おでん」は出汁が黒いんですよ。でも味が濃いわけではなくて、出汁の旨みをしっかり吸いながらもあと味がさっぱりしていて、いくらでも食べられちゃうんです。特に大根はひとり1個が鉄板です(笑)。
さらにシュウマイも人気で、こちらもひとり1個必ず食べるというメニューですね。ほかにもお刺身や天ぷらなど、多彩なメニューがそろっています。大将が釣り好きで、自分で仕入れた魚を出すこともあるので、驚くほど新鮮なんですよ。
期間中はスタンプラリーとジビエフェスタを開催
(はっしーさん)横浜春節祭では、吉田町も本格的に連携されるんですよね。具体的にはどのような形での連携となるのでしょうか?
(山下さん)まずは期間中、スタンプラリーを実施します。横浜春節祭をきっかけに吉田町に足を運んでいただいて、町内の飲食店それぞれの名物料理を巡ってもらうという企画ですね。さきほどのシュウマイもそのメニューの一つです。例えば「野毛おでん」のお店の方は見た目がちょっと怖いんですけど(笑)、でもすごく優しくて頼りがいのある心配性の兄貴みたいな感じなんです。でも料理はおいしいし、本当にいいお店なのでそういうことを知っていただきたいなと思っています。
(はっしーさん)確かに僕も以前こちらに来させていただいたことがあるんですが、店主の方がちょっとコワモテな感じでドキドキしました(笑)。でもお会計の時に店員さんが「はっしーさんですよね」って聞いてくださって、そこからフレンドリーに話していただきました。すごくあったかい街ですよね。
(山下さん)そうなんですよね。あとは、横浜春節祭にきた方が楽しめる企画として、2月中旬に「ジビエフェスタ」を開催します。神奈川県内の鹿やイノシシなどを食町の飲食店や近隣のシェフに調理してもらって、それを食べながらビールが楽しめるビアガーデン形式のイベントです。2022年に初めて開催した時は、開始10分でジビエが完売するほど反響があって驚きました。このジビエフェスタに合わせて、子供向けの防災イベントや骨董市なども同時開催予定で、一日中楽しめるようにしたいと思っています。
(はっしーさん)街中にもランタンが設置されるんですよね。
(山下さん)吉田町は全長250メートルほどしかない小さな町ですが、その中心部分に獅子モチーフのランタンが置かれる予定です。見た目が可愛いですし、昼でも写真映えしますよ。
お酒を飲まない方やファミリー層の方でも、ランタンを目当てに散策して、ついでに美味しいご飯を楽しんでもらえたら嬉しいですね。
(はっしーさん)最後に、横浜春節祭に合わせて来街する方へメッセージをお願いします。
(山下さん)中華街やみなとみらいのような大きいエリアに比べると、吉田町は小さいし知名度もそこまでないかもしれません。でも、“オール横浜”で盛り上がる横浜春節祭をきっかけに、こうして連携できる機会ができたのは本当にうれしいですね。
もちろん、私たちもただ便乗するのではなく「吉田町ならでは」のイベントや食文化を発信して、一人でも多くの方に来てもらえるよう頑張りたいと思っています。これからも面白い企画を考えているので、ぜひ立ち寄っていただいて、バーやグルメ、ランタンなどを満喫していただければ幸いです。
1月29日~2月12日(水)までは、39回目を迎える横浜中華街の春節「2025春節~小龍報喜」にて、華やかなパレードや伝統芸能に触れられ、特別な縁起料理も堪能できます。夜や雨の日ならではの幻想的な景色も魅力的ですので、ぜひ足を運んでみてください。
横浜春節祭2025
場所:横浜ベイエリア、首都圏、神戸エリアなど約50会場
会期:2025年1月15日~2月28日
巨大ランタンオブジェの展示や中華獅子による獅子舞などいろいろなイベントが盛りだくさん!詳しくは公式サイト(https://www.shunsetsu.jp/)をご確認ください。
山下大輔さん●地元民に愛されている鶏肉専門店「梅や」の4代目。2023年には横浜ベイクォーターに作りたてのチキンブリトーやカオマンガイが楽しめる「横浜梅や CHICKEN EVERYDAY」をオープンするなど、精力的に仕事に取り組んでいる。現在は吉田町名店街会の理事長を務める。
はっしー(橋本陽)さん●グルメプレゼンター。今まで全国15,000軒以上の飲食店を自腹で訪問し、テレビやSNSで食べ歩き&お取り寄せグルメを楽しくプレゼン。TBS「ラヴィット!」本気肉調査隊やテレビ朝日「キッチンカー大作戦!」などにレギュラー出演中。食で日本を元気にするため、農林水産省の国産食材アンバサダーや総務省の地域力創造アドバイザーを務めるほか、横浜中華街で史上初の公式グルメ大使として活動。2025年からは横浜春節祭の公式グルメ大使に就任し、横浜ベイエリアを中心とする横浜春節祭の魅力と美味しさを発信中。
野毛おでん
住所:神奈川県横浜市中区吉田町2-6
営業時間:平日16:00~21:15、土曜11:30~14:00、16:00~21:15
定休日:日曜
※本記事の内容はインタビュー時点の情報にもとづいています。実際に訪問される際は、事前に営業時間やイベントの有無を確認することをおすすめします。
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