love walker ロゴ

  • Xアイコン

47年の歴史の中に新しい発見がいっぱい!たくさんの猫の写真と建物に癒される「大佛次郎記念館」

2025年03月14日 17時00分更新

 みなさん、こんにちは。

 私たち、横浜市芸術文化振興財団は、美術、音楽、ダンス、古典芸能など、アートの力を活かして、横浜の魅力を高める活動をしています。

 この連載ではリレー形式で10回に渡り、新たなアートイベントの楽しみ方、文化施設周辺の街歩きなど、アートを切り口に街の魅力をお届けします。

 第3回は、横浜港やみなとみらいを一望できる横浜を代表する観光スポット、「港の見える丘公園」のほぼ中央に建つ「大佛次郎(おさらぎじろう)記念館」を紹介します。

 「大佛次郎記念館」は、大正から昭和に活躍した横浜生まれの作家・大佛次郎の生涯や業績を紹介している文学館です。広報担当が、公園の知られざる秘密や、記念館の魅力、開催中の「大佛次郎×ねこ写真展2025」の見どころ・楽しみ方などをご紹介します!

前回の記事はこちら:

あなたの地元にもあるかも!知られざる郊外部のアート活動

過去の連載はこちら

広がり続ける「港の見える丘公園」

 横浜開港当時、現在の山手・「港の見える丘公園」一帯は外国人居留地でした。その頃の様子は、大佛次郎の「霧笛」や「幻燈(げんとう)」といった開化小説や、鞍馬天狗シリーズの中にも書かれています。

 1962(昭和37)年に横浜市が「港の見える丘公園」を開園。終戦後、平野愛子が歌った流行歌「港が見える丘」にちなんで、命名されたそうです。素敵な名付けですね。

 大佛次郎の没後、遺族から蔵書や遺品が横浜市に寄贈されたことを受け1978(昭和53)年公園を拡張して「大佛次郎記念館」が開館。さらに1984(昭和59)年に「神奈川近代文学館」、1996(平成8)年には「山手111番館」が開館。現在も西洋館「岩田家住宅」を移築する計画が進行中。公園は拡張を続けています。今後も、広がり続ける「港の見える丘公園」から目が離せません。

薔薇の頃の「港の見える丘公園」と「大佛次郎記念館」

「大佛次郎記念館」の建物の魅力

ロビーでは、7匹の猫たちが来場者を迎える

 記念館で、まず目につくのが「猫」。大の愛猫家で「生涯に500匹以上の猫を飼った」とエッセイに綴った大佛次郎。館内の猫のオブジェや絵画は、大佛自身のコレクションです。猫のオブジェを探しながら、館内を巡るのも楽しいですよ。

大佛次郎の居室を再現した部屋。実際に、猫の置物が至るところに置かれていたとか

 もうひとつ紹介したいのが優雅な“サロン”。書棚には大佛次郎の初版本がズラリと並びます。書棚の上には、生まれ故郷の港町・横浜にちなみ、船窓風の装飾が。中には開花期の横浜の浮世絵が。横浜港を一望しながらゆったりとした時間を過ごせる場所となっています。

2階サロン。書棚の上の丸窓の中に横浜浮世絵が入っている

「大佛次郎×ねこ写真展2025」の見どころ

 大佛次郎は、エッセイの中で「猫は僕の趣味ではない。いつの間にか生活になくてはならない優しい伴侶になっているのだ。」と書き残しています。そんな大佛次郎にちなんだ公募写真展「大佛次郎×ねこ写真展」は、2017年から毎年開催しています。 今回は、昨年より100点以上多い482点の応募作品が、ズラリと1階を埋め尽くしています。どの一枚にも応募者の方の猫愛が溢れており、見飽きることがありません。

 お気に入りの一枚を選ぶ人気投票も好評開催中です。

「大佛次郎×ねこ写真展2025」展示風景

同時開催「大佛次郎と山口蓬春―作家と画家、重なるまなざし」

 また、「大佛次郎と山口蓬春―作家と画家、重なるまなざし」展も同時開催。山口蓬春は大佛次郎と同時代に活躍した日本画家で、大佛次郎のエッセイや小説にいくつかの作品を提供したほか、「天皇の世紀」の挿画も手掛けています。愛猫家の大佛次郎に対し、山口家では愛犬を家族さながらに育てたとそう。展示の中では、二人がそれぞれ撮影した愛猫・愛犬の写真なども展示されています。

「大佛次郎と山口蓬春―作家と画家、重なるまなざし」展

 併設の喫茶室「ティールーム霧笛」は、猫モチーフの絵画や置物に囲まれる猫好きにはたまらない空間。そこで供される大佛夫人直伝のチーズケーキは、ぜひともご賞味いただきたい逸品です。

 いかがでしたでしょうか。建物の前は通ったことがあるけど、入った事はないという方は、是非この機会に足を踏み入れて見ませんか。

▼スポット・イベント紹介

大佛次郎記念館 公式HP https://osaragijiro-museum.jp/

https://x.com/ojmm_tw

Instagram

Facebook

YouTube

■大佛次郎×ねこ写真展2025

日時:1月21日(火)~4月20日(日)
https://osaragijiro-museum.jp/exhibition/12490

▼執筆者紹介

文:大房奈央子

プロフィール:富山県出身。1993年より横浜在住。2016年より大佛次郎記念館に勤務。日々、大佛次郎の作品や業績、人となりを知ってもらうため奮闘している。

横浜市営バスとベイバイクをこよなく愛し、二つを駆使して各区を巡るのが楽しみ。

この記事をシェアしよう

横浜LOVE WALKERの最新情報を購読しよう