横浜・伊勢佐木町は全長1.4km、歴史も長~い商店街! その魅力再発見と賑わい創出の秘策
2025年05月19日 12時00分更新
1月15日(水)から2月28日(金)まで、横浜中華街を中心に「横浜春節祭2025」が開催されました。市内約50か所に「巨大ランタンオブジェ」が設置されたり、獅子舞演舞披露が行われたりと、大盛況のうちに幕を下ろしました。
本企画では、横浜中華街グルメ大使で横浜春節祭公式グルメ大使でもあるはっしー(橋本陽)さんが、横浜春節祭を盛り上げる6人のキーパーソンに特別インタビューを敢行。今回お話を伺うのは、協同組合伊勢佐木町商店街の理事長、牛山裕子さんです。横浜の賑わいを象徴する伊勢佐木町商店街で舵取りを担っている牛山さん。牛山さんが管理する伊勢佐木町のビルにある評判の寿司屋「鮨の吉祥」にて、絶品のおまかせ握りを堪能しながら、牛山さんの生い立ちと、時代と共に変化する街への熱い想いを伺いました。
まちづくりへの情熱の原点は、街の発展を願う人たちの背中を見て育ったこと
(はっしーさん)牛山理事長、本日は美味しいお寿司にご案内いただき、ありがとうございます。「鮨の吉祥」さんは、伊勢佐木町の中でも評判のお店ですよね。こちらのお店との関わりも深いとお伺いしました。
(牛山さん)ええ、このビルは私の会社が所有しているんです。ですから、「鮨の吉祥」さんには特別な思い入れがあります。どの街でもそうですが、評判の良い店が増えることが、街の魅力向上にも繋がっていくと思っています。
(はっしーさん)そうですよね。私もお店が目的で訪問した時に、その街の新たな魅力に気づかされたことが多々あります。牛山さんは本牧で生まれ育って結婚後に伊勢佐木町に住まれているとのことですが、幼い頃の街の記憶で印象的なことはありますか?
(牛山さん)イセザキモールは1.4キロメートルもあるんですよ。横浜で一番が長い商店街だと言われています。幼い頃の記憶の街にはいつも活気がありました。いまでも350を超える店舗が軒を連ね、創業明治・大正の老舗も今なお20軒以上残っています。子供の頃は、通りを行き交う人々のエネルギー、お店から聞こえる活気ある声、そして何よりもこの街独特の温かい雰囲気を肌で感じていました。実家が病院を営んでいたこともあり、地域の人々と深く関わる両親の姿は、私の目に焼き付いています。両親のみならず、この町を作ってきた先人たちお客様一人ひとりを大切にし、街の発展を願う人たちの背中を見て育ったことが、今の私のまちづくりへの情熱の原点かもしれません。
(はっしーさん)大学卒業後は海外での生活も経験されたとのことですが、その後、再び伊勢佐木町に戻られたきっかけは何だったのでしょうか?
(牛山さん)海外での経験は貴重でした。異文化に触れることで、故郷である伊勢佐木町への想いはさらに強くなっていったように思います。時代の変化とともに、かつての賑わいに陰りが見え始めた伊勢佐木町の現状を憂い、「この街の活気を取り戻したい」という強い思いがありました。また結婚を機に、伊勢佐木町で夫が営む不動産業を手伝うことがさらにまちづくりについて考える機会にもなりました。様々な縁があり今の立場で活動させていただいています。
イベントやグルメで伊勢佐木町を盛り上げる
(はっしーさん)理事長に就任されてから、様々な活性化策を打ち出されていますよね。特に力を入れていることはありますか?
(牛山さん)長年培われてきた伊勢佐木町の良さを守りながら、新しい風を吹き込むための施策を行っています。その一つが、地域住民や若い世代も楽しめるイベントの企画です。伊勢佐木町は、路上ライブから巣立ったゆずさん、往年の歌手・青江美奈さんに代表されるように音楽に縁のある町です。音楽イベントやアートイベント、地元の食材を使った食のイベントなど、多種多様な催しを通じて、商店街に新たな賑わいを創出しています。
(はっしーさん)先日コロナ禍後に久しぶりに開催された「ザキ祭り」も大変賑わっていましたね! キッチンカーもたくさん出ていて、若い世代も楽しんでいる様子が印象的でした。
(牛山さん)「ザキ祭り」は、若手理事が中心となって運営しているんです。様々なジャンルのキッチンカーやテント約20店が出展し、地元の若いお客様を中心に多くの方に来ていただきました。出演者も若いアーティストや学生などが中心で、それぞれのファンや親族の方もイベントに足を運んでくれることで、町を知ってもらう良いきっかけになっています。また多様性を受け入れる町なので、海外の方達もとても多いんです。
イベントは単に人を集めるだけでなく、地域の人々の交流を促進し、ルーツを問わず商店街への愛着を育む大切な機会だと考えています。
(はっしーさん)空き店舗の活用も積極的に進めているとお伺いしました。美味しい食べ物は人を呼び寄せる求心力があるので、個性的な飲食店が増えることも期待したいです。
(牛山さん)もちろんです。個性的なショップやギャラリー、地域コミュニティの場などを誘致することで、商店街の魅力を高め、新たな人の流れを生み出そうとしています。伝統を守りながらも、時代のニーズに合わせた柔軟な発想で、伊勢佐木町の新たな可能性を切り拓きたいと思っています。美味しい食事が楽しめるお店が増えることも、街の魅力向上には不可欠ですよね。
(はっしーさん)本当にそう思います。それぞれのお店が個性を出していくことで、それがその街らしさにも繋がりますし、逆にこの街だからこそ出店したいと思ってもらえる街の環境作りも大事ですよね。地域との連携も重視されているとのことですが、具体的にどのような取り組みをされていますか?
(牛山さん)商店街の活性化には、地域全体との連携が不可欠だと考えています。近隣の大学や企業、他の商店街などとの連携を強化し、地域全体で盛り上げていくための取り組みを進めています。顔の見える関係を大切にし、互いに協力し合うことで、より大きな力を生み出そうという信念を持っています。先日も横浜春節祭に際し、多くのご理解とご支援をいただきました。伊勢佐木町モールの入口に設置された龍のランタンオブジェは2年越しで実現した事例で、理事の方々の支援なしには実現できませんでした。
(はっしーさん)素晴らしいですね。地域が一丸となって盛り上げようという熱意が伝わってきます。最後に、今後の伊勢佐木町に対する想いを教えていただけますか?
(牛山さん)伊勢佐木町は、私にとってかけがえのない故郷です。ここで育ち、ここで生きてきたからこそ、この街の魅力を誰よりも知っているつもりです。これからも、この街の活気と賑わいを守り、次世代へと繋げていくために、精一杯努力していきたいと思っています。
(はっしーさん)理事長のお話を聞いていると、伊勢佐木町への深い愛情と、未来への強い希望を感じます。ところで、今日は飲んでいらっしゃいませんが、普段お酒は飲まれないのでしょうか?
(牛山さん)いいえ、私、実はお酒大好きなんです。でもいつ事件や事故があり、すぐに駆けつけなければいけないかわからないので、普段は控えているんです。一日の終わりに、寝る前に大好きなブランデーを一杯だけ飲むのが、ささやかな楽しみです。
(はっしーさん)それは、街に対する強い責任感の表れですね。本日は貴重なお話、ありがとうございました。そして、美味しいお寿司をありがとうございました!
(牛山さん)こちらこそ、ありがとうございました。これからも伊勢佐木町の魅力を発信していきたいと思いますので、ぜひまたいらしてください。
牛山さんは理事長として、グルメプレゼンターのはっしーさんとの会話の中でも、時代の変化に対応しながら、伊勢佐木町が持つ独自の魅力を磨き上げ、新たな賑わいを創造しようとする情熱を語ってくれました。その行動力と街への深い愛情は、多くの人々の心を動かし、横浜・伊勢佐木町の未来を明るく照らしてくれることでしょう。これからの牛山さんの活躍、そして伊勢佐木町商店街のさらなる発展に、ますます期待が高まります。
牛山裕子さん●結婚を機に、伊勢佐木町で夫が営む不動産業を手伝う。1995年頃からまちづくりに関わり始め、「まちづくり協定」の策定で力を発揮。次第に様々な会合に声がかかるようになった。現在は協同組合伊勢佐木町商店街の理事長を務める。
はっしー(橋本陽)さん●グルメプレゼンター。今まで全国15,000軒以上の飲食店を自腹で訪問し、テレビやSNSで食べ歩き&お取り寄せグルメを楽しくプレゼン。TBS「ラヴィット!」本気肉調査隊やテレビ朝日「キッチンカー大作戦!」などにレギュラー出演中。食で日本を元気にするため、農林水産省の国産食材アンバサダーや総務省の地域力創造アドバイザーを務めるほか、横浜中華街で史上初の公式グルメ大使として活動。2025年からは横浜春節祭の公式グルメ大使に就任し、横浜ベイエリアを中心とする横浜春節祭の魅力と美味しさを発信中。
取材に協力いただいたお店
鮨の吉祥
住所:神奈川県横浜市中区伊勢佐木町3-104 登美屋第7ビル
営業時間:17:00~24:00(ラストオーダー23:30)
定休日:火曜日
※本記事の内容はインタビュー時点の情報にもとづいています。実際に訪問される際は、事前に営業時間やイベントの有無を確認することをおすすめします。
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