戦国LOVEWalkerでお城&メタ散歩を楽しもう①
天下人、豊臣秀吉と日本一の名補佐、秀長の豊臣兄弟。ふたりの天下統一の象徴、大阪城を歩こう
2025年11月26日 17時00分更新
2025年12月22日刊行の「戦国LOVEWalker2026」の大きなテーマは2026年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の主人公である豊臣秀長と豊臣秀吉の天下人兄弟だが、豊臣家の居城と言えば、言わずと知れた大坂城(当時は”大坂”)。現在の大阪市にある大阪城の天守閣は、実は、豊臣時代・徳川時代に続く3代目となる。
この天守閣は94年前の昭和6年(1931)、市民の寄付金によって建造された。もっとも古い「復興天守」で、鉄骨鉄筋コンクリート造。国の登録文化財にもなっている。関東大震災の8年後で耐震の意識も強く、当時、最新の技術を使って建てられた近代建築だ。
「復興天守」とは、天守があった城ではあるが、デザインや仕様が過去に実在した天守を完全にトレースしたものではない天守を言い、観光資源や博物館などとして建てられたものが多い。大阪城の天守閣は豊臣秀吉時代の資料を基に造られているが、場所は、徳川時代の天守閣があった場所に建てられている。
江戸時代から残っている「現存天守」は12棟あり、国宝5棟、重要文化財7棟を数える。一方、古写真や図面などから、かつての天守を忠実に再建した「復元天守」は、材料や工法も当時のものにこだわり、外観や内部を再現したものを言い、ほかにも、存在が確認できないまたは、特定に至らない状態で建てられた「模擬天守」や「天守閣風建造物」などがある。
大阪城は戦国時代の大坂本願寺(石山本願寺)を前身とし、織田信長と戦った石山合戦、豊臣秀吉による築城、大坂の陣による落城、徳川幕府による再築、明治維新の動乱による焼失、明治維新後の陸軍管轄、戦後の公園整備と、日本の歴史と深いかかわりを持ちながら現在に至る。いま見ることができる石垣や堀、大手門・多聞櫓・千貫櫓などといった古建造物はすべて徳川時代以後のもので、一帯は国の特別史跡に、古建造物のほとんどは重要文化財に指定されている。
石山本願寺は、戦国時代末期から安土桃山時代初期には存在し、天文2年(1533)に本願寺教団の本山となって大きく発展し浄土真宗本願寺勢力の一大本拠地となった。その後、織田信長と対立し、本願寺法主の顕如が石山本願寺に籠って、元亀元年9月12日(1570年10月11日)から天正8年8月2日(1580年9月10日)にかけて戦った「石山合戦」で最終的に講和し明け渡したが、直後に火災焼失した。
天正11年(1583)3月、賤ヶ岳の合戦で羽柴(豊臣)秀吉が勝利を収めた後、同年6月、大坂を治めていた池田恒興を美濃国へ移し、秀吉が大坂を得ることになった。この年から築城が開始され、豊臣秀吉が天下統一の拠点とした初代大坂城は、「三国無双の城」と讃えられる豪壮華麗な城となった。本丸、二の丸の規模は現在の大阪城とほぼ同じで、それを取り囲む2km四方にもおよぶ惣構を備えた大城郭でした。都市大阪の基礎は、この秀吉の大坂城と城下町建設によって形成された
しかし、栄華を誇った豊臣氏も秀吉の死後、慶長19・20年(1614・15)の大坂冬・夏の陣によって大坂城と共に滅亡してしまう。豊臣氏の大坂城は、徳川幕府の再築工事によって地中深く埋められてしまったのだ。現在、地上で見られる大阪城の建築物は、天守閣を除くと全て徳川時代のものである。
徳川家康が秀吉に臣従し歴史を変えた会見の前日、家康は大阪城の秀長の屋敷に泊まった。その夜にいったい何が
徳川家康が豊臣秀吉への臣従を決意し、大坂城にやってきたのが天正14年(1586)10月26日。秀吉と家康は小牧・長久手の戦いで引き分けた後も敵対していたが、天正14年(1586)1月には織田信雄(のぶかつ)が家康を訪れ、調停にあたり、秀吉は5月に妹の旭姫(あさひひめ、朝日姫とも)を家康に輿入れさせ、さらに10月には旭姫を訪ねるという形で生母である大政所(おおまんどころ)も岡崎に送っている。
こうした事態を受け、ついに家康は大坂城での秀吉との対面・臣従を決意し、大坂に到着すると、翌日の会見に備えて秀吉の弟・秀長の屋敷に宿泊した。その秀長邸があったとされるのが、いまの大坂城の西の丸で、現在は西の丸庭園となっている場所(大阪城西の丸庭園)。ドラマなどで有名なのは、秀長邸の家康を訪ねて、翌日に会見をする予定の秀吉がやってきたという逸話。会談前夜に、突然秀吉が訪れたのはさまざまな史料から事実とされている。
秀吉が家康に臣従してほしいと話し、家康が、秀吉の陣羽織を所望して、秀吉に陣羽織を着させないと語ったという逸話が有名。豊臣秀長と浅野長政が事前に、家康に懇願した、ともいう。家康は翌日、大坂城に登城し、秀吉に謁見。諸大名の前、秀吉への臣従を誓った。
秀長はこの会談の後から病がちになり、天正19年(1591)病没した。秀吉のブレーキ役、名補佐の秀長の死は豊臣家の終わりのはじまりだったのかもしれない。
【大阪城天守閣・施設概要】
住所:大阪市中央区大阪城1-1
休日:年末年始(12月28日~1月1日)
営業時間:9:00~18:00(最終入館は17:30、季節により開館時間延長あり)
料金:大人 1200円、大学生・高校生 600円 ※要証明(学生証の提示)
※中学生以下、大阪市内在住65歳以上の人(要身分証明書)、障害者手帳などを持つ人は無料
公式サイト:https://www.osakacastle.net/
『戦国LOVEWalker2026 ウォーカームック』
発行:株式会社角川アスキー総合研究所
発売:株式会社KADOKAWA
発売日:2025年12月22日
定価:1,760円 (本体1,600円+税)
ISBN:9784049112979
サイズ:A4判/100ページ
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【目次】 千田嘉博先生インタビュー:「武将たちがあこがれた城」
特集:秀吉・秀長の城(長浜城、姫路城、郡山城、聚楽第、肥前名護屋城など)
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大河ドラマ特集(主演インタビュー、ドラマ紹介、仲野大賀さんインタビュー)
戦国メタ散歩:金沢城、三方原の戦い、河越城の戦いなど
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