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無料の芸術鑑賞イベント「藝大アーツイン丸の内2024」今年の作品の印象はポップ&ダーク

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の尾形凌さんの作品

「涅槃図2024」(尾形凌)という作品に描かれた酔っ払いのガイコツ

 秋といえば「芸術の秋」。アートに触れる機会が少ない私ですが、最近美術館の面白さに気付いて「アートをもっと気軽に楽しみたいな」と思っています。

 現在丸ビルで開催中の「藝大アーツイン丸の内2024」では、東京藝術大学卒業生の中から、これからの活躍が期待される若手アーティストたちの作品に触れることができます。入場は無料! ふだんなかなか接する機会がない生のアート、そしてこれから芸術界で活躍する若手アーティストたちの作品を無料で楽しめる機会はそうそうありません。ということで、さっそくイベントに行ってきました!

若手アーティストたちの作品が展示

 10月6日(日)まで、丸ビル1階のマルキューブでアートイベント「藝大アーツイン丸の内2024」が開催中です。この春の東京藝術大学卒業生の中から、将来の活躍が期待される若手アーティストたちに「三菱地所賞」が贈られ、マルキューブでの作品展示および丸ビルホールでリサイタルが開催されるイベント。

 三菱地所賞は美術部門と音楽部門に分かれており、マルキューブでは日本画やデザインなどの美術部門受賞者たちの作品を見ることができます。マルキューブはオープンなスペースなので、気兼ねなくふらっと入れるところが良い。

「藝大アーツイン丸の内2024」の様子

初日は通りすがりに立ち寄る人の姿がかなり多かったです

 目を引いたのは「軀(むくろ)」という作品。繭やさなぎ、貝殻をモチーフにしたそうで、そのすべてを凝縮したらこうなるだろうな…と思わせるビジュアルです。綿や毛糸、フェルトが使われていて温かみがあり、さっきまで生き物が入っていたかのような「生」の温度が伝わってくるかのようでした。

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の久保夏希さんの作品

「軀(むくろ)」久保夏希

 私の心をつかんだのは「涅槃図2024」という作品です。涅槃図とはお釈迦さまが入滅、つまり悟りの境地に入ったところを描いたもの。中心には涅槃像が描かれているのですが、その周りには妖怪らしきものや動物、現代人らしき人が描かれているんです。今、私たちが悟りを開くとしたらこんな感じなのかもしれません。ポップな感じのにぎやかな入滅で、ちょっと楽しそうでもあります。

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の尾形凌さんの作品

「涅槃図2024」(尾形凌)

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の尾形凌さんの作品

入滅ソングを歌うバンドかもしれない

 あと、私がいいなと思った作品が鹿内日向子さんの「深淵にふれる」。実家で使っていたような学習机の上に何かが積まれていて、黒くもやがかかった様子が描かれています。この絵を見ているうちに、心の奥に封じ込めたものが表層に出てくるような、忘れてしまったものが思い起こされるような、そんな気持ちになりました。

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の鹿内日向子さんの作品

「深淵にふれる」(鹿内日向子)

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の鹿内日向子さんの作品

机の上には絵画用具らしきものが。作品を生み出すまでの苦労がここに詰まっているんだろうと思わせられる

 ほか5人の受賞作品も展示されていて、大きな立体作品や映像作品など多種多様。ぜひマルキューブに足を運んで鑑賞、体感してほしいと思います。想像していたよりもポップでダークな印象の作品ばかりで、心を揺さぶられますよ。

 また、10月4日(金)から6日(日)にかけて音楽部門受賞者の方々によるリサイタルが開催されます。ピアノなどの楽器からテノール、長唄などこちらも幅広いジャンルの音楽が無料で楽しめるので、こちらもぜひ!

三菱地所賞 音楽部門 受賞記念リサイタル
スケジュール:
10月4日(金)19:30~20:30 島多璃音(ピアノ)
10月5日(土)13:30~15:00 川本怜美(オーボエ)
       18:30~20:00 前半:寺島弘城(テノール) 後半:西田幸里海(ソプラノ)
10月6日(日)13:30~15:00 落合真子(バイオリン)
       18:30~20:00 岩本留理子(長唄)
会場:丸ビル7階 丸ビルホール
※全公演整理券が必要になります。
※整理券は各公演開始の1時間前から配布します。整理券はなくなり次第終了となります。※就学前のお子様の同伴・入場はできませんのでご了承ください。

美術部門、音楽部門全受賞者による受賞セレモニー

 イベント開催の初日である9月30日には、マルキューブで三菱地所賞受賞セレモニーが行われました。受賞したみなさんの門出を祝うかのように、東京藝術大学の方々による演奏からのスタート。

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞セレモニーの様子

セレモニー演奏(演奏者:東京藝術大学)

 授与式では美術部門を代表して柴田まお さん、音楽部門を代表して寺島弘城さんがコメント。柴田さんは「今回受賞したのはコロナ禍で生まれた作品ですが、このように形として残すことができるのが作家、アーティストだと思います。これからも彫刻家として、一つ一つ丁寧にものを作っていきたいと思います」と話しました。

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の柴田まおさん

授与式での柴田さん

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞の柴田まおさんの作品

「Blue pledge」(柴田まお)

 寺島さんは「先輩方が受賞していて、いつか自分も、と思っていた賞をいただけてうれしいです。これからもより一層、頑張っていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします」と挨拶。テノールということで、とてもいい声だったのが印象的でした。

「藝大アーツイン丸の内2024」で三菱地所賞受賞の寺島弘城さん

授与式での寺島さん

「藝大アーツイン丸の内2024」三菱地所賞受賞者の皆さん

最後に全員でフォトセッション

 どの作品も心に残り、将来「私、この人の作品を見たことがあるよ」と言える日がくるかもしれないと思うと、みなさんの活躍が楽しみなりました。私が普段接する音楽は主にバンド系ですが、期間後半のリサイタルもぜひ聞きに行きたいと思います。アートもリサイタルも自分の日常から少し遠いと感じていましたが、だからこそ触れてみると新鮮で面白いですね。


藝大アーツイン丸の内2024
開催日時/~10月6日(日)
場所/丸ビル1階マルキューブ・3階回廊(美術展示)、7階丸ビルホール(リサイタル)
入場/無料


文 / 風都ナツメ(LoveWalker編集部)

東北出身。
居酒屋や旅先では初めて見る郷土料理や海外メニューを頼みがち。


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