【連載】総務省と東京都、5G施策で連携スタート
2021年03月22日 10時00分更新
東京都 戦略政策情報推進本部 次世代通信推進課です。
戦略政策情報推進本部は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。
都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。
2020年12月から私たちの部署は、総務省と5Gやその先の6Gに関する施策について、情報交換・意見交換をしていくこととなりました。その新たな関係性の始まりと、都庁舎内で行われた総務省による講演の様子を少しご紹介させていただきたいと思います。
ところで、「ただ意見交換を始めただけでわざわざ記事にするの?」というお声もあると思いますが、一職員の目には、小さいけれども大きな一歩に映りました。そのため、今回は取組の紹介よりも個人的な所感に重きを置いて書き記したいと思います。
以前、こちらをご紹介しました。
■都庁舎内にスマートサイネージを設置
※過去の連載記事はこちら:東京都 戦略政策情報推進本部 ICT推進部 次世代通信推進課note連動企画
とてもウェルカムな総務省の皆さん
2020年11月下旬、私は幹部職員2人に付いて霞が関にある総務省本省を訪れていました。
用件は1点のみ、「今後お付き合いさせていただけませんか?」ということ。
総務省は5Gの周波数帯を通信キャリアに割り当て、無線事業の免許を与える権限を持ち、いつまでに5Gが利用可能なエリアをどのくらい拡げていくのかといったロードマップをまとめ、さらには次世代の通信技術である6Gの検討を開始している……。
東京都としても、国の政策や方針の影響は大きく、素早く情報をキャッチして現在取り組んでいる都内の5G環境の整備の加速化(https://note.com/smart_tokyo/n/n4a6eef4dce91)につなげたいと思っていました。
そもそも、国と都は様々な分野において連携して施策を進めています。もちろん、私たちの部署も国の5G施策の動向は注視していたのですが、なかなか直接お会いするというところまではできていませんでした。
本当に勝手なイメージなのですが、総務省というと役所同士の都庁職員の私から見ても、他の省庁と比較して「お堅い」印象があります。そのような総務省が私たちの打診に対して、どのような反応を示されるのかわからない状況でした。ですが、応対していただいたのは課長クラスの方お二人を始め、課長補佐クラスの方が5名も!私も1年だけ国へ出向していたことがありますが、省庁の課長補佐というと都の課長クラスが会うような方。そんな皆さんが、ようこそ!といった雰囲気で出迎えていただき、とても驚きました。
勝手なイメージを抱いていたことを反省しながら、打合せは和やかに始まり、こちらからの打診についても即答で「是非やりましょう!」との回答をいただきました。
国と都は様々な分野において連携して施策を進めている一方で、国による法人二税の偏在是正措置などに代表されるように意見が真っ向から対立することもあり、緊張関係が続いている部分もあります。徹底して議論を交わしていくことも大切ですが、国民・都民の視点に立ち、手を取り合えるところは積極的に協力していくことが大事だと思います。今回、5Gではいつでもお話しできるような関係を構築させていただき、ガッチリと手を握って進められると思っています。
少し脱線しますが、国にいたときに厚生労働省の若手官僚から都庁のイメージを聞いたことがあります。彼から見て都庁は「厚労省の依頼に対して、数ある自治体の中でも簡単には応じない雰囲気。必ず一言、いや二言はある。」として、政策議論をきちんとするところを認めていただきつつも、調整する際は少々気を遣う相手とのことでした。庁内で働く者から見ても、「きちんと議論する」というのは都庁に広く存在する文化のようにも感じます。
講演会
そのような経緯があり、12月半ば、総務省の企画官の方に都庁までお越しいただき、職員に講演をしていただきました。
内容は、携帯電話の移動通信システムの歴史から、5Gが実現する未来のイメージ、ローカル5G、6G等、1時間で非常に多岐にわたるご説明をいただきました。どれも興味深いお話で、参加者からは質問が相次ぎ、想定していた質問時間をオーバーしての閉会となりました。
講演内容の中から個人的に印象的だったものを少しご紹介させてください。
まず、都の取組である、公有財産に5Gアンテナ基地局を設置するために通信キャリアの申請や相談を一元的に受け付ける「ワンストップ窓口」を、財務省理財局でも開設するそうです。
国の省庁がこうした取組を導入してくれることで、一層全国的な展開になっていくのではないかと期待が膨らみました。今後、財務省理財局とも連携し、より良い仕組みづくりについて意見交換したいと思います。
そして、ローカル5Gの電波の周波数帯が拡張されることに伴う一連の事務改善の動きです。
例えば、大学のキャンパスや病院等の敷地の間を公道や河川等が通っている場合にも、自己の土地利用と同等の扱いとしてローカル5Gのエリアの構築を可能とすること。さらに、ローカル5Gの事務手続についても、軽微な変更ならその都度許可申請を求めていたのですが、届出制にするなど、簡略化も進められていました。
こうした事務改善の大切さは私も日々感じるところで、手続を簡略化したり不要にすることで社会コストを抑え、事業者の経済活動をスムーズにしていくことが、人口減少している日本の未来を考えると重要だったりすると思っています。
講演後は、都庁舎内に設置した5G(https://note.com/smart_tokyo/n/n9b8c1a1bfe61)の共用アンテナやスマートポール(https://note.com/smart_tokyo/n/n8b309d8031da)、そしてちょうど近くで行っていた自動運転タクシーの実証実験(https://autonomouscar-tokyo.jp/2020kettei.html)の様子もご覧いただきました。総務省の皆さん、本当にありがとうございました。
おわりに
こうして総務省と東京都の連携が始まりました。
東京都は都心のイメージがありますが、山間部もあれば島もあり、自然豊かな側面もあります。
都内が等しく5Gを使えるようになるには、国や通信キャリア、メーカーなど、様々な方々と力を合わせることが重要です。これからも協力して取組を進めて行きたいと思います。
都民の皆様もぜひご意見お寄せいただき、勉強させていただければと思います。
◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo
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