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【連載】データ利活用実証プロジェクト報告 3/5(MaaS Tech Japan)

2021年05月12日 10時00分更新

※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。

新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。

 都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。

 前回はこちらをご紹介しました。

【連載】5Gって、実際どれくらい凄い?~都庁舎で実験してみた~

※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画

 次世代通信推進課の隣のチームが昨年実施していた「データ利活用実証プロジェクト」の報告の全5回シリーズの第3回目として、小田急電鉄、西武鉄道及び他の鉄道会社の協力の下、MaaS Tech Japanが実証した「官民連携プラットフォーム構築に向けた公共交通機関の混雑情報提供システムの検討」のプロジェクトについてご紹介します。

「公共交通機関の混雑情報提供システムの検討」を通じて目指したもの
「3密回避した移動」と「公共交通事業者の乗客数減防止」を両立させる情報提供を目指す

 コロナ禍の状況において、混雑に関連する情報の重要性が高まりました。本プロジェクトでは、感染拡大防止の観点で、混雑を避け安心して移動できる情報提供サービスと、混雑平準化という公共交通機関の適切な利用を促すような、都民にも交通事業者にも双方にメリットのある情報提供のあり方を検討しました(プロジェクト実施期間:2020年8月~11月)。

プロジェクトの概要

1) 各鉄道事業者の混雑情報の配信状況の調査及び事業者ヒアリング

 各鉄道事業者のウェブサイトやアプリにおける列車や駅の混雑情報の配信状況を調査し、想定される混雑情報取得環境について鉄道事業者へヒアリングを実施しました。

※クリックすると拡大して表示

 各社へのヒアリング結果から、混雑情報の集計・配信にあたり、車両に取り付けたセンサーから取得・加工した「応荷重データ」や自動改札機の出入数データを集計・加工した「入改札データ」など、各社・各路線ごとに異なるデータを利用していることがわかりました。さらに各データから混雑情報へ変換するために、相応のコストやデータ管理業務が発生していることもわかりました。

2) 混雑情報配信サービス・アプリUIの検討

 現在も各鉄道事業者によって各路線にあわせた最適な混雑表現や情報配信がされている一方で、東京都全体・複数の路線に跨いだ利用者を想定した場合は、各社ごとに情報提供サービスが分散し、差異もあるため鉄道利用者にとって分かりづらい部分もあることが想定されます。

 鉄道利用者への統一的な混雑情報の見せ方としては、混雑情報をそのまま伝えても行動変容が生じにくいため、「空いている」という情報を前向きに発信することで、混雑時間帯を避けた移動時間のシフトや行動変容を促し、安心と移動(経済活動)とを両立するような示し方を行なうことが有益ではないかという仮説のもと、協力いただいた鉄道事業者にヒアリングを行ない、そのコンセプトについて賛同を得ました。

 混雑情報配信サービスのモックアップ(画面イメージ)作成を通じて、混雑情報をお客さまへ配信する方法(データ表示方法、伝達方法)の検討を行ないました。

3) 混雑情報配信システムの検討

 前述の通り、各鉄道事業者の混雑情報の元となるデータがそれぞれ異なるため、「空いている」情報を統一的に表示するためには、各社が保有するデータの変換が必要になります。

 データ変換の担い手としては、「各事業者が個別に変換」「共通的にデータ変換する機能を民間が担う」「共通的にデータ変換する機能を官民連携DPFが担う」の3パターンが想定されます。それぞれにメリット/デメリットが想定されるため、実施目的やデータの活用方法、データ管理のオペレーションなどを明確に整理する必要があります。

4) 鉄道利用者へのアンケート(情報配信サービスへの受容性調査)

 鉄道利用者1030人へウェブアンケ―トを実施し、混雑回避の情報提供へのニーズを確認しました。

 「混雑を避けるための情報提供サービス」をおよそ9割の鉄道利用者の方が望んでおり、ニーズが高い情報であること、一方、鉄道会社による混雑情報配信はまだ普及途上にある状況であるということがわかりました。

おわりに

 今回のプロジェクトでは、「3密回避した移動」と「公共交通事業者の乗客数減防止」の両立を目指すというビジョンの共有と「空いている情報」を配信するというコンセプトに共感いただけたことが、検討を進めるに当たって重要なプロセスだったと思います。

 官民連携DPFの実現に向けたデータ流通・データ利活用を推進する立場として、まずデータありきのデータ中心の議論からスタートしてしまいがちです(自省…)。

 データ利活用により、どのような社会を実現したいのか、データを保有する企業・団体やそのデータを活用する可能性のある企業、サービスを受ける都民も含め、それぞれの状況やニーズの正しい理解と多くの関係者(ステークホルダー)の方々との丁寧なコミュニケーションを心掛け、検討を進めてまいります。

◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo

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