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【連載】テレビ会議~簡単に見えて難しい裏の世界〜

2021年06月09日 10時00分更新

※新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。

新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。

 東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部です。(旧 次世代通信推進課note)。デジタルサービス局は、デジタルの力を活用した行政を総合的に推進し、都政のQOSを飛躍的に向上させるため、新たに設置した組織です。その中で、ネットワーク推進課は、東京の成長戦略やICT利活用の更なる推進のため、2019年(平成31年)4月に新たに設置された組織です。その中で、次世代通信推進課は、TOKYO Data Highwayの構築を推進し、いつでも、誰でも、どこでも「つながる東京」の実現に向け、取り組んでいます。

 都民の皆様がどこにいてもサクサクつながる環境を構築するため、全国初となる5Gアンテナ基地局を搭載するスマートポールの試行設置や通信事業者が5Gアンテナ基地局を設置しやすいように、行政財産を開放するなど様々な取組みを展開しています。こうした日々の取組みを都民の皆様に情報発信していきます。

 前回の紹介記事はこちら。

【連載】データ利活用実証プロジェクト報告 4/5(ゼンリン、NTTデータ)

※過去の連載記事はこちら:東京都 デジタルサービス局 デジタルサービス推進部ネットワーク推進室(旧 次世代通信推進課note)連動企画

 コロナ禍において、オンライン会議が目に見えて増加していると感じている人も多いのではないでしょうか。以前は東京都で開催される会議は対面で行なわれるものがほとんどだったのですが、知事が出席する会議も含めてテレビ会議への移行が進んできております。

 次世代通信課が関わって、初めてテレビに踏み切ったのは2020年3月5日に経済同友会様と行なった会議となっておりまして、開始してから1年が経過しようとしています。この時には、一切テレビ会議の設備が整っていない環境で、以降失敗を繰り返しつつも手探りで改善と会議形態の向上を図ってきました。実際にテレビ会議を運営していく中で、技術的な課題に直面することも多く、この投稿でいくつか紹介させてもらえればと思います。

ステージ1 専用装置によるテレビ会議の施行(2020年3月~5月)

 テレビ会議の施行が始まってからの1~2ヵ月は、まず会議を滞りなく行なうことを重点的に行なっており、設備も非常にシンプルな構成をとっていました。可能な限り臨場感を出すために、65型の大型ディスプレーで対向の映像を表示し、専用のテレビ会議装置を利用することで、映像(4K)および音声を鮮明に送信することに努めていました。

 この時期には東京都だけではなく、対向となる団体様にもテレビ会議を行なう環境が存在していないことも多く、都職員が専用の会議端末を現地まで運び接続を行なっていたこともありました。専用会議装置はシンプルな作りでできているため、一度操作を見てしまえば誰でも手軽に使えるようになるという反面、タブレットやノートパソコンに比較すると精密機械になるため、持ち出しを行なう際には落とさないかどうかを心配してしまうこともありました。

ステージ2 インフラ環境の見直し(2020年6月~8月)

 テレビ会議の利用が進んでくると、徐々にそのサービスに関しての要望が増えてくる傾向にあり、音声や映像の品質を良くしてほしい、多数の参加者との会議も行ないたいとの要望が上がってきます。

 こちらはテレビ会議を実施したある日のインターネット通信の利用状況を計測した図となっています。東京都側は専用端末を1台用意し、監視用・バックアップ用に2台のノートパソコンがテレビ会議に参加している環境となります。テレビ会議では、相手の映像を受信するだけでなく、自らの映像も送信する必要があるため、ダウンロードとアップロードでの利用割合がほぼ1対1の比率となります(YouTubeの視聴のみの場合、ほぼダウンロードのみで利用)。

 また、データ量についても平均で1つの端末あたりダウンロードとアップロードにそれぞれ1~2Mbpsの利用速度となっており、大容量の使用になっていることがわかると思います。インターネット回線というと、1Gのプランなども一般的に普及していますが、必ずしも1Gbpsの速度が提供されているというわけではなく、他の人と共有しているため、速度が思った以上に出ないことも多いことにも注意が必要です。事前に該当曜日の時間帯での速度チェックなどを実施しておくことも必要となります。

 また、テレビ会議端末はWi-Fiを利用してインターネットに接続していることもあり、こちらに注意も払う必要が出てきます。Wi-Fiの干渉という言葉を聞かれたことがある人も多いのではないかと思いますが、こういった事象はモバイルルータやテザリング機能をオンにしたスマートフォンが会場内に持ち込まれることで発生する可能性が高くなります。詳細な内容はお見せできないのですが、会議室内を飛び交っているWi-Fiの情報をツールで可視化したところ、テレビ会議中には東京都で管理しているSSID以外にも多数のSSIDが存在しているのが確認できておりました。こういったWi-Fiが混雑した環境下では有線LANを活用した運用も検討していく必要があります。

ステージ3 様々な会議形態への対応(2020年9月~)

 インフラ環境が整い、今度は会議参加者の利便性を向上させるための取り組みが進んで行きます。東京都では従来からペーパレス会議を促進する取り組みとして、資料共有用のツールが導入されており、参加者はiPadで資料を閲覧することが可能となっておりました。しかしながら、このツールは人が同じ場所に集まったことを想定してのものとなっており、外部参加者に対しての共有はできないものでした。

 都庁側では、外部参加者の映像を1台目の大型ディスプレーに投影しつつ、共有資料や動画を2台目のディスプレーを投影する一方で、外部参加者も進行状況が明確に伝わるように上記のペーパレス会議システムで利用されている資料を共有する必要がありました。

 こういった要望を受け、次の画像に示すような会議へと今は進歩してきております。

おわりに

 東京都で知事が外部とテレビ会議を行なう際には、マスコミの取材が入ることも多く、あたかもテレビ撮影に臨んでいるかのような雰囲気となります。準備を行なう職員はもちろん、会議に参加する職員たち皆が円滑を会議を進めていけるよう入念に取り組んでいますが、時には予期せぬアクシデントに見舞われ、会議の進行が止まってしまうこともあります。ただ、専用設備・機材、潤沢なスタッフが常に存在するわけではない以上、発生して然るべきものという考え方が重要となってきます。

 トラブルが発生した際にどういった対処を行なうか、次回起こさないようにするにはどうするか、今後も多く開催されるであろうテレビ会議を支援していく中、研鑽していく日々が続いていきます。

◆この記事は、下記より転載しています
https://note.com/smart_tokyo

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