第26回
ラー博にまつわるエトセトラ Vol.21
あの銘店をもう一度第14弾 1968年創業、幻の塩ラーメンがラー博に復活 函館「マメさん」
2023年03月28日 10時00分更新
みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。
2022年7月より、過去にご出店いただいた約40店舗の銘店を2年間かけて、3週間のリレー形式で出店していただく「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」と、2022年11月7日より、1994年のラー博開業時の8店舗(現在出店中の熊本「こむらさき」を除く)が、3ヶ月前後のリレー形式で出店する「あの銘店をもう一度“94年組”」がスタートしました。おかげさまで大変多くのお客様にお越しいただいております。
前回の記事はこちら:
ラー博にまつわるエトセトラ Vol.20 あの銘店をもう一度第13弾 継ぎ足され続ける秘伝の"築炉窯出し"スープ 博多「元祖名島亭」
過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話
あの銘店をもう一度の第14弾は、1985(昭和60)年に惜しまれつつ閉店し、2000年にラー博で復活を果たした函館「マメさん」です。出店期間は2023年4月4日(火)から4月24日(月)です。
マメさんとの出会いはドラマティックでした。1999(平成11)年、函館の塩ラーメンを調査している頃、「昔大繁盛した幻の塩ラーメンがある」という情報を入手し、聞き込みを続けたところ、そのお店をやっていたのが、函館の老舗製麺会社「岡田製麺」の代表取締役であった岡田芳也氏だということが分かりました。
早速、岡田氏を訪ね、「マメさん」復活の話を切り出すも、岡田製麺の社長という立場があること、そして閉店から15年も経っていることから断られてしまいました。その後も交渉を重ねたものの、首を縦には振ってくれることはありませんでした。しかしある日、岡田氏から函館に来てほしいという連絡が入りました。
岡田氏は従業員に内緒で、昔の「マメさん」の味を再現していたのです。
「実は私が一番マメさんの復活を望んでいました。しかし私も経営者ですので、従業員の前でそんな簡単にやりますとは言えませんでした」とのことです。こうして15年の月日を経て、ラー博に「マメさん」が復活することとなりました。
そのマメさんはいかにして誕生したのか?
「マメさん」の創業者 故・岡田芳也氏は、高校生の頃、たまたま立ち寄った屋台のラーメン店「龍鳳」の味に感動し、通い続けていました。
時は流れ、実家の製麺所「岡田製麺」に勤めていた岡田氏は、交通事故で閉店・療養中だった「龍鳳」の店主と偶然に出会いました。その後、愛してやまないあの味への想いを伝え、ついには作り方を伝授されることとなりました。
そして1968(昭和43)年、岡田氏は函館駅前のビルに「マメさん」をオープン。
「龍鳳」の味をグレードアップさせた塩ラーメンは瞬く間に大人気となり、わずか11席の小さな店ながら、1日400杯を売る大繁盛店となりました。しかしオープンから3年後、岡田氏は家業を継ぐため「岡田製麺」に戻ることとなりました。その後、「マメさん」は後継者不在のため、1985(昭和60)年、大人気のまま閉店。かつて岡田氏が惚れ込んだ味は、またしても幻の味となってしまいました。
復活の詳細はマメさんのHPでご確認いただけます。
https://www.hakodate.ne.jp/okadamen/road/index.html
「マメさん」は当館の企画「新横浜着 全国ラーメン紀行」の第8弾として期間限定で出店していただきました。復活したマメさんの味は、元々の「マメさん」の味をベースに新たな郷土のエッセンスを加えた温故知新のラーメンであることから「新・函館ラーメン マメさん」という屋号になりました。
2001(平成13)年2月25日にラー博の営業を終え、その年の4月、地元函館に帰郷オープンしました。
地元からの期待も高く、多くのお客様、そしてメディアに紹介され、行列店となりました。2013(平成25)年に函館市末広町から函館市宝来町に移転。2017(平成29)年に「マメさん」創業者の岡田芳也氏はご逝去され、現在はご子息が厨房に立たれています。
タレは昆布や帆立、カニ等、魚介の旨味を凝縮。スープには「比内鶏」、「山水地鶏」の丸鶏をはじめ、豚、節類、野菜をふんだんに使用。弱火で長時間煮だし濁らせないスープはサッパリとしていながらコクも充分。「マメさん」ゆかりの焦がし背脂の香ばしさがアクセントとなっております。
製麺所の社長でもあった岡田氏だからこそ、麺には特にこだわりました。麺にはうどん用の中力粉などをブレンド。つなぎとしてフノリが練りこまれており、函館ならではの潮の香りを表現するとともに、しなやかでソフトな麺に仕上げました。手間を惜しまず包丁切りにして、食感を損なうことなくご提供いたします。
具材はシンプルにチャーシュー、メンマ、ネギ、そして函館ラーメンでは定番のお麩。
次回は、銘店シリーズ第15弾 「支那そばや」さん。鵠沼時代のラーメンを復刻します。
お楽しみに!!
新横浜ラーメン博物館公式HP
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