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階段降りたら異世界気分!? 昭和30年代にタイムスリップできる地下通路知ってる?

2023年07月21日 12時00分更新

 ブログ「超高層ビル・都市開発研究所」を運営し、9年間ほぼ毎日都市開発ネタを発信するマニア「きりぼうくん」。本連載では、丸の内に広がる地下空間の楽しみ方を、マニアならではの知見とともに解説してもらいます!

 今回は、丸の内地下通路の歴史と、当時の姿を感じることができるスポットを紹介。実際に地下探索をしている中で“とある異空間”を発見した模様もお届けします。

どうも「きりぼうくん」です。厳しい暑さが続きますが、丸の内地下の移動はエアコンが効いたビル内の涼しいルートで快適に移動しています! 詳しいルートはコチラの記事にて♪

 日々開発が進み、新たなビルや商業施設、店舗がどんどん生まれる丸の内。外から見ると昔からある建物でも、中に入ると綺麗にリノベーションされていたり、イマドキな装飾が施されていたりして、親しみが持てるのに飽きないところが、老若男女に愛され続けている街の魅力の一つだと思います。

 で・す・が、建てられた当初の姿がそのまま残った場所や、リノベーションされていても残った過去の痕跡を探すのも、都市開発マニアである僕の大のご馳走(笑)。ということで、今回はあえて、新陳代謝が激しい丸の内で今も残る、歴史を感じるスポットを探してみたいと思います!

丸の内エリアで1980年以前から残っている建物の竣工年 (Google Earthより引用)

丸の内地下ダンジョンは、交通事故を避けるために生まれた!?

 歴史スポットを巡る前に、まずは丸の内地下ダンジョン誕生のいきさつをお伝えするべく、丸の内全体のざっくりとした歴史をご紹介しましょう。

 そもそも丸の内エリアの開発は、明治維新後の1890年に三菱財閥2代目当主・岩崎弥之助が政府から払い下げを受けたことでスタート。1894年、丸の内初の近代的オフィスビル「三菱一号館」の竣工を皮切りに、ロンドンのロンバード街に倣った赤煉瓦街が整備され、「一丁倫敦(いっちょうろんどん)」と呼ばれるオフィスビル街が形成されていきます。

東京駅丸の内地下北口から北側へ数十メートル行ったところにあるM10出入口付近には、歴史を紹介した展示があります

1912年頃の馬場先門通り。作中右には「三菱一号館」の姿が。当たり前ですが今と変わらない姿が当時の絵に描かれているとロマンを感じますねぇ

明治時代、明治生命保険本社が置かれた「三菱二号館」の絵。取り壊された後の1934年には、今も残る「明治生命館」が建築されました

 1911年には初代「帝国劇場」が開館、1914年には日本の鉄道網の起点となる東京駅が開業し、1923年には「旧丸ビル」が完成。大手町~丸の内~有楽町にかけて、現在の丸の内エリアの基盤となる姿が出来上がります。1930年代に入ると、東京駅と丸の内のビジネスエリアとの間で人の往来が増えたほか、市電や自動車などの交通量も増加。それに伴い交通事故の恐れもかなり増えたのだとか。この状況を緩和するべく1937年に作られたのが、東京駅南口と「旧丸ビル」を結ぶ全長100mの地下通路。これが、丸の内地下ダンジョンのはじまりとなったそうなんです。

文化芸術の中心施設として1911年に完成した初代「帝国劇場」。現在建っているのは2代目ですがこちらも2025年を目処に閉館予定。今後3代目が建つ予定です(時期は未定)

同じくM10出入口付近に設置されている「丸の内歴史往来図(丸の内名所再見・時空遊覧)」。江戸時代(過去)から現在、未来までの丸の内の姿が描かれています。江戸城と新幹線が同じ絵に収まっているのが面白い! 人々の往来の様子がかなり細かく描かれているのでぜひチェックしてみてください♪

 戦後の高度経済成長期に入ると、1956年に丸ノ内線東京駅が開業、そして1958年の「大手町ビル」竣工以降、次々と初期建造物の建て替えが進行。1960年には日本で初めての都市計画駐車場として整備された「丸の内駐車場」が完成。この高度経済成長期に建設されたオフィスビルには地下のフロアも設けられ、オフィスワーカー向けの飲食店や物販店舗が入るようになりました。

 それ以降、駅とビルを結ぶ地下通路が徐々に増えていき、1990年のJR京葉線の東京駅開業に伴って、現在の地下通路はほぼ完成。21世紀に入ってから、再開発事業による超高層ビルへの建て替えが進み、それに伴って地下通路の新設や延伸がどんどん進んでいるのです。

行幸通りより北側が描かれた箇所。「新丸ビル」の背後には江戸城や城下町の様子も描かれていて、時空を超えた絵画になっていることが分かります!

絵の中には「丸の内歴史往来図」も。空から自分を見ているかのようで絵心を感じました

これぞダンジョン。「大手町ビル」地下で配管剥き出しの異空間を発見!?

 丸の内地下誕生への歴史をお伝えしたところで、実際に今も残る史跡スポットを探してみたのでご紹介。今回は、現存する建物の中で最も古い風景が見られた「大手町ビル」です(※きりぼう調べ)。

 1958年に竣工した地上9階、地下3階の「大手町ビル」。当時の建築基準法の関係で高さ31m以内に9階分のフロアを入れる設計だったため、その後にできた他のオフィスビルに比べて、地下を含め全体的に天井が低いのが特徴です。

 2022年に大規模なリノベーションが完了しましたが、天井高の様子は現存していました!

地下2階の飲食店街の様子。天井がかなり低く、手を伸ばせば届いてしまうほど! このフロアにある喫茶店「リトル小岩井」や「喫茶室 サンマリ」はリニューアル前から長年ある名店で、より当時の香りを感じられます

 外装をはじめ地下1、2階の飲食店街まで一新され、一角にはオシャレな休憩スポットもありますが…エレベーターは、昭和のホテルのようなテイストでレトロ! ポーン♪ という到着を告げる音でさえも懐かしく感じます(恐らくエレベーター設備自体は新調されていると思いますが)。

飲食店街の延長線上には、アーチ状に壁をくり抜いて作った可愛らしいベンチが。僕、実はこういうデザインも好きで、通りかかるたびに少し座って休憩しています(笑)

そのまま散策。エレベーターホールは、色調やタイル張りの壁、大理石のような柱がレトロで、かなり昭和の香りがしました

付近の壁はリノベーションされてポップなイラストが描かれていて新旧交わるテイストになっています

 ここからがきりぼう的大発見です。

 エレベーターの裏側へ回ると、なにやら怪しい鉄の扉が「お入りなさい」と言わんばかりに開いているではありませんか! 早速覗いてみると、これまたレトロな大理石調の階段が! 興奮しながら、まだ何かありそうだと地下3階まで降りると、配管剥き出しの怪しげな狭い通路が登場。 変電設備室などがあり通常では一般の利用はほぼなさそうですが、昭和の香りが漂うテンションが上がる空間で、これぞダンジョンといった景色でした!

その裏手に回ると、怪しげな扉を発見…

扉の向こうには、竣工当時からそのままと思われる階段が!

階段は吹き抜けになっていて、最上階まで見上げることができました。螺旋の形が真四角ではなく少しいびつなところが無骨な感じでたまりません。まるで遺跡に迷い込んだような気分!

さらに地下3階まで降りると…

先ほどの綺麗でオシャレな風景とは一線を画す、配管むき出し&コンクリート壁の異世界へと続くような通路を発見!

通路を進んでいくと、変電設備室のような作業員が入る場所が多々ありました

一般人はほぼ通らなそうですが、商業エリアと繋がっていて通行可能なことを考慮してか、割と新しい案内サインも設置されていました

 いかがでしょうか? 「大手町ビル」はリニューアルして一見全てが新しく見えても、地下を探検してみると、半世紀以上変わらない風景が突如現れるところが面白いですよね。また、その土地、そのビルの歴史を知った上で訪れることで、グッと感動が増すことも、都市開発マニアとして皆さんにお伝えしておきます(笑)。

 次回は、今回お届けしきれなかった、さらにマニアックなスポットを多数ご紹介します! 実際に訪れ探検していますので、ぜひお楽しみに!

文/きりぼうくん

超高層ビル、タワーマンション、駅ビル、地下街、再開発ネタを発信する「超高層ビル・都市開発研究所」の運営をしているブロガー。デベロッパー、ゼネコンのニュースリリース、さらには内閣府や都道府県など行政機関が出す情報を得て、現地を実際に巡るスタイルで取材。記事は9年間ほぼ毎日更新。Twitterでもアツく情報を投稿し、フォロワーは約3.6万人に及ぶ筋金入りの都市開発マニア。

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・Twitter 「超高層ビル・都市開発研究所の中の人 (きりぼうくん)

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