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無料で大丸有エリアを走る便利な「丸の内シャトル」知ってる? <丸の内を彩る人々>第3回 日の丸自動車興業株式会社 井本さん・星野さん 

 こんにちは! まちづくり法人リガーレです。

 ここ大手町・丸の内・有楽町(以下「大丸有エリア」)の中を走る「丸の内シャトル」を、みなさんはご存じでしょうか? 丸の内シャトルは、大丸有エリアの企業による協賛金で運行しており利用料金は無料です。

 今年で運行20周年を迎える丸の内シャトル。この事業をご担当する日の丸自動車興業の井本さん・星野さんにお話しを伺いました。

利用料金無料! 大丸有エリアを走る「丸の内シャトル」

◆聞き手:リガーレ 眞田

――シャトルバス発足の経緯をお聞かせください。

 もともと当社はお台場エリアで無料巡回バス事業を実施し、多くの方々にご利用いただいておりました。

 そこで再開発が進む大丸有エリアでも、我々から同様の無料シャトルバスを提案したのがきっかけです。大丸有エリアの多くの企業様がスポンサーになっていただけたことで、2003年8月から運行を開始し、ちょうど今年で20周年を迎えました。

丸の内シャトル運行式

――お二人が、丸の内シャトルバスを担当されて、特に思い出に残っていることをお聞かせください。

(井本さん)
 私は、この丸の内シャトルバスを長年担当しています。街中を無料で巡回するシャトルバスは、今でこそ多くのエリアで見られますが、丸の内シャトルバスの運行が始まった20年前は非常に珍しいものでした。

 この20年間で丸の内シャトルの認知度も高まり、多くのワーカーや来街者に利用されている現状をみると、街の人々の移動の手段として貢献できていることを嬉しく感じています。

 ただ、この20年間には、いろいろな出来事がありました。運行当初の丸の内シャトルでは、当時の最新技術を導入した「電気バス」も使用していました。しかし現在の電気自動車のような安定した性能はなく、頻繁にエンジンが止まっていました(笑)。いまでも覚えているのが、JR東京駅前でバスのエンジンが止まり、そのまま復旧せず、乗客の皆さんに降車していただき、レッカー車で移動させたこともありました。その時は冷や汗をかきました。

 この思い出深い電気バスは今も当社の車庫で保管しています。今後、シャトルバス事業の歴史を振返るイベントなどがあれば、その時には登場するかもしれません。

電気バス

 電気バスもそうですが、丸の内シャトル事業では常に新しいチャレンジを試みてきました。運行サービスが安定して多くの人々に利用されるようになった頃に「丸の内シャトルバス・アプリ」を開発しました。これも当時としては新しいチャレンジでした。複数のバスがぐるぐるとルートを走るシャトルバスは、利用者の皆さんに各バス停の到着時間を正確にお知らせすることができない点がネックでした。そこでバスの位置情報をスマホで知らせるアプリを提供するようになって利用者の利便性が一気にあがりました。

(星野さん)
 まだ私は社会人経験自体が短いのですが、このシャトルバス事業を担当させてもらえて、大丸有エリアの多くの企業の方々に会うようになり非常に刺激的な日々をすごしています。正直に言いますと、私は学生時代には大丸有エリアをほとんど知らなくて、このエリアの担当になって必死に街のことを勉強しました(笑)。

 それでも最近、少しずつ大丸有を理解できて、この街の店舗・施設、ストリート等もわかるようになり、いまでは自分で友人達をガイドすることもできるくらいに詳しくなりました。

――20周年記念イベント「きみのえがまちをはしる!ラッピングバスをはしらせよう」では、初めて小学生をターゲットにされましたが、その理由をお聞かせください。

(井本さん)
 丸の内シャトルは、街のワーカーや来街者といった大人の利用が多いですが、休日等はご家族連れの利用者もいらっしゃいます。ですが、子供達をメインターゲットにした取り組みは確かに今回が初めてですね。

 イベント内容としては、小学生達に「20年後の自分の姿」を描いてもらい、その絵を全て丸の内シャトルバスの車体に掲出し「ラッピングバス」として大丸有エリアを走るという企画です。

 丸の内シャトルが走り続けたこの20年間で、大丸有エリアは大きく変化しました。20年前の2000年代初頭は、大丸有エリアは働くことに特化した街で、週末になると人通りもまばらになりました。そこから丸ビル竣工を契機に、大丸有エリアで活動する人々も街の機能も多様化していき、いまのまちの姿に変化していきました。

 このようなダイナミックな変化の中で、丸の内シャトルは多くの人々を様々な施設に移動してもらう手段として貢献し続けてきました。これからの20年も大きな変化が起きると思います。この先の時代の主人公である子供達に、描いてもらった未来の絵を、この先も走り続けるシャトルバスに掲載することには意義があると思います。

丸の内シャトル20周年イベントの様子

(星野さん)
 20周年企画の経験から、私はもっと多くの子供達や若者達に、街に溶け込んだシャトルバスの存在を知ってもらいたいと感じました。その為にも今まで以上にSNSを活用したいと思います。

 私も大丸有エリアを担当して初めて知ったのですが、大丸有と皇居エリアは夜景がとても美しいですよね。当社が週末に実施している2階建てバスのSKYBUS「夜景コース」は、丸の内から出発し、東京駅、大丸有や皇居の夜景を見て、東京タワーやお台場の美しい夜景をバスで巡るナイトツアーですが、とても人気があります。

SKYBUS「夜景コース」

 若者層にも、大丸有の美しい夜景を、SNSを通じて知ってもらいたいですね。

――最後に、井本さん・星野さんが活動する上で、大切にしている価値観をお聞かせください。

(井本さん)
 私は「タイミング」を大切にしています。企画を提案するタイミング、人と会うタイミング。それがずれると効果が薄れてしまうので、常に良いタイミングで実行に移せる準備を心がけています。

(星野さん)
 私は、いつも自分自身の目標をかかげ、モチベーションを高めることに心掛けています。

(井本さん)
 今回の20周年記念イベントも、良いタイミングで巡り合えたと感じています。

 この記念イベント前にも、次世代の子供達に向けた取組として、東京に来る修学旅行生達に普段は馴染みのない大丸有エリアをシャトルバスに乗って「社会科見学」してもらう企画を打ち出しました。このエリアの人々の活動を垣間見ることができる「コワーキング施設」やエリアの資料館等をシャトルバスで巡るMAPを無料で各地の中学・高校に配布する取り組みです。

 この取り組みの経験から、子供達をターゲットにした取り組みの重要性を我々は理解しました。ですので、この20周年企画案をリガーレさんから提案頂いた時に、必ず実現させるべきだとすぐにアクションを起こすことができました。とても良いタイミングだったと感じています。

(星野さん)
 私も今回の20周年企画の経験から、次の目標として若者層をターゲットにした施策を企画したいと感じています。リガーレさんが立上げた、街の素材をアップサイクルするブランド「Ligaretta」のように、若者層は環境問題や社会課題解決に興味を持つ傾向があると感じています。

 私達も、千代田区さんと連携して災害発生時の負傷者をシャトルバスで移送する体制を整えているので、そのような活動を広くSNSで発信したり、「バス×まちづくり」の取組をもっと多くの人々に知ってもらう取組ができればと感じます。

アップサイクルブランドLigarettaを身に纏って

 本日お二人からお話を伺い、丸の内シャトルが街の一部のように調和している理由が少し理解できた気がします。小学生たちの未来の絵がラッピングされた丸の内シャトルは今年12月1~25日の間で走行の予定です。

 もし皆さんが見かけることがありましたら、このシャトルバスは、多くの子供達、日の丸さんのご担当者、協賛企業の想いで走り続けていることを思い出して頂けますと、リガーレとしてもとても嬉しいです!

走行予定の小学生たちの絵がラッピングされた丸の内シャトル

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