エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀のアート散歩 第17回
”さまよい、探索し、発見する” 「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」がお台場から麻布台ヒルズに移転して2月9日に開業するので内覧会に行ってきたぞ
2024年02月07日 15時00分更新
アート集団のチームラボと森ビルが共同で手がける「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」(以下、チームラボボーダレス)は、チームラボにとって、東京の常設展示の場=フラッグシップ的な施設で、2018年6月21日から2022年8月31日までは東京都江東区青海のパレットタウン内で開催していた。筆者も、開業当時から何度も足を運び、ユニークな体験をしてきた。そして、2024年2月9日、麻布台ヒルズに移転し、パワーアップして、再オープンする。
チームラボボーダレスは、独立した50以上の作品群が複雑に関係し合う。アートコレクティブ・チームラボの境界のないアート群による「地図のないミュージアム」。期せずして雪の麻布台ヒルズで、久しぶりに体験した世界は、懐かしくもシェイプアップされ、導線の迷宮感はよりスムーズに進化していた。
簡単には把握できない位置関係の各部屋から、様々なアートの群体が、違う部屋や空間、通路にはみ出て移動し、他の作品と関係し影響を受け合い、その時にしか経験できない創造が出現する。それぞれの作品には境界線がなく、時には混ざり合う。そのような作品群による境界なく連続する1つの世界が、あたかもチームラボボーダレスと言う有機体(デジタルだけど)のようだ。
観客(と言うか参加者、共犯者?)は、境界のないアートに身体ごと没入し、境界なく連続する1つの世界の中で「さまよい、探索し、発見する」。新しいチームラボボーダレスは、チームラボいわく「境界のないアート群がより進化し、より多くの場所へ移動し、複雑に関係し合い、永遠と変化し続ける、境界なく連続する1つの世界を創ります」とのこと。実際に、そこにどれだけ滞在するかは、人それぞれで、何を体験するかも、その人のキャラクターは勿論、たまたま飛び込む日時によっても同じ瞬間は無く、雪の東京をついて扉を開けた筆者もまさに、この時だけの時間を過ごした。
猪子寿之氏「僕らは、できれば、⼈々の固定概念の枠組みを外し、世界と⾃分との境界、そして他者との境界をなくし、⼈々の価値観を広げることをほんの少しでもできたらと思っています」
移転前のチームラボボーダレスは、2019年1月1日から12月31日までの1年間の来館者数の合計が219万8284名となり、単一アート・グループとして世界で最も来館者が多い美術館「Most visited museum (single art group)」として、ギネス世界記録に認定されている。また、米国のTIME誌の特集「世界で最も素晴らしい場所 2019年度版(World’s Greatest Places 2019)」に選出され、第25回ティア・アワード(Thea Awards)にて、優秀功績賞(Thea Awards for Outstanding Achievement)を受賞している。
チームラボ代表の猪子寿之氏は今回のオープンについて、以下のコメントをしている。
「こんにちは。チームラボ猪子です。
今日は来て頂いて本当にありがとうございます。
僕らは、アートコレクティブ・チームラボとして、2001年からアートを創り続けています。
エプソンチームラボボーダレスは、チームラボの境界のないアート群による「地図のないミュージアム」です。アートは、部屋から出て移動し、他の作品と関係し影響を受け合い、他の作品との境界線がなく、時には混ざり合います。チームラボボーダレスは、そのような作品群による境界なく連続する1つの世界です。この新しいチームラボボーダレスでは、境界のないアート群は、より複雑に関係し合い、永遠に変化し続ける境界のない⼀つの世界を創ります。
チームラボを設立する以前から、世界は境界がなく連続しているにもかかわらず、認知上分断してしまうこと、特に、レンズで⾒ると、自分の身体がある世界と見ている世界が分断されることに興味がありました。チームラボを設⽴した2001年頃から、レンズや遠近法は、空間の平⾯化の論理的な方法論の一つだと考え、レンズや遠近法とは違った、空間の平⾯化の論理を模索し始めました。⼈間はこの世界をどう認識しているか、認識と⾝体がどのように関わるのかを知りたかったのです。
レンズを通して世界を撮ると、
①レンズで撮った世界を表⽰する画面が境界となり、境界の向こう側にレンズで切り取った空間が出現します。身体のある世界と見ている世界の間に境界が生まれるのです。当然、映像の中の物体に触れることは認知上不可能です。
②そして、視点が固定され、無自覚に身体を失ってしまいます。
③本来、人間の視野は広く、視線とフォーカスは動き回りますが、レンズで撮った世界はフォーカスが1点で動かないため、視野が狭くなり、意志を失います。
レンズによる空間の平面化とは違って、
①画面が認知上の境界とならず、⾝体と切り取った世界が曖昧に連続し、人々が映像のどこにでも触れられ、
②視点が自由に移動できるため⾝体的知覚ができ、映像を自由に歩きながら見られ、人々がおのおのに映像のどこにでも近づくこともでき、
③フォーカスが無限にあることによって、視野が広がり意志を失わない。
そのような空間の平⾯化の論理を模索しはじめたのが、チームラボの初期の試みでした。その平面化の論理を構築し、平面化したものを「超主観空間」と名付けました。
2004~5年に制作した《花紅》は「超主観空間」による初期作品で、ここチームラボボーダレスでは、リメイクし《Walk, Walk, Walk: 探し、遠ざかり、また 出会う》として出現しています。
通路を歩いている人達の作品がそれです。
論理を構築することは私たちにとっては重要で、それにより、平面化する作品空間は時間を持ち、動的な変化を表現できるため、人々の存在によって動的に変化する絵画を描くことができるからです。
そして、作品世界が⾝体と連続し、人々の存在によって変化し、自分と一体となる身体的美術、そして、意志のある身体で歩きながら体験していく、無限に広がる身体的な空間芸術をつくろうと思ったのです。
そう思い、創り続け現在に至り、それが、ある種実現したのが、この空間です。
最後になりましたが、僕らは、できれば、⼈々の固定概念の枠組みを外し、世界と自分との境界、そして他者との境界をなくし、⼈々の価値観を広げることをほんの少しでもできたらと思っています。
そして、世界から、東京に訪れる多くの方に、多様な楽しみの⼀つになって、この場所を好きになってもらう、きっかけの一つになったら幸せです。
皆様が、長く応援してくださったおかげで、こんなめちゃくちゃなことを、またやらしていただくことができました、本当にありがとうございます。そして、ここからまたさらに未来に、何かにつながっていく場所にしたいと、おもっています。
これからも、応援よろしくお願いします」
■この空間は見逃せない
広大な施設内の様々な仕切りはそこで体験できる作品をある程度は規定しているが、実際には横断的な要素が、カラスや異形の行進として仕切りを越えていき、そのたびに見えるものが変わっていく。ここでは、あくまでも筆者が体験したものを紹介しているが、目安に過ぎないことは言うまでもない。
EN TEA HOUSE:https://en-tea-house.teamlab.art/jp/azabudai/
■施設概要
森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
https://borderless.teamlab.art/jp/
#チームラボボーダレス #teamLabBorderless
麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1(東京都港区麻布台1-2-4)
開館日
2024年2月9日~常設
開館時間
10:00~21:00
*最終入館は閉館の1時間前
*開館時間が変更になる場合があるので、公式ウェブサイトで要確認
休館日
第一・第三火曜日
*休館日が変更になる場合があるので、公式ウェブサイトで要確認
チケット価格
大人(18歳以上):3,800円〜
中学生・高校生(13~17歳):2,800円
子ども(4~12歳):1,500円
3歳以下:無料
障がい者割引:1,900円〜
*事前日時指定予約制
*大人と障がい者割引につきましては変動価格制を導入し、日によって金額が異なる。日別の価格を確認の上、日時指定チケットを購入すること
*現地での購入の場合、上記価格に+200円となる
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