love walker ロゴ

  • Xアイコン

【風景版画の流れをたどる】失われゆく江戸の風景を描いた最後の浮世絵師・小林清親から、日本の新たな風景を発見した新版画まで

2025年05月12日 12時00分更新

 三菱一号館美術館では、2026年2月19日から5月24日の期間に「清親から巴水まで―ミュラー・コレクションにみる浮世絵・新版画(仮称)」の開催が決定いたしました。

清親から巴水まで―ミュラー・コレクションにみる浮世絵・新版画(仮称)
会期:2026年2月19日(木)~2026年5月24日(日)
主催:三菱一号館美術館、スミソニアン国立アジア美術館、朝日新聞社

川瀬巴水《春のあたご山》

川瀬巴水《春のあたご山》 1920(大正9)年
スミソニアン国立アジア美術館
(Robert O. Muller Collection, S2003.8.623)

 最後の浮世絵師のひとりと呼ばれる小林清親が1876(明治9)年に制作を開始した『東京名所図』は、明治期の風景版画へ大きな変革をもたらしました。黄昏どきの表情や闇にきらめく光の様相を描いた作品群は「光線画」と呼ばれ、深い陰影により江戸の情緒まで捉えています。このような視点は、失われゆく江戸の風俗を惜しむ人々の感傷や、それらを記録しようとする写真の意欲とも重なっており、同時代の浮世絵師たちが文明開化により変貌していく都市を、艶やかな色彩によって楽天的に捉えた開化絵とは一線を画するものでした。

 明治末期に浮世絵の復興を目指した新版画は、その技術ばかりでなく清親らが画面に留めようとした情趣を引き継いで、新しい日本の風景を発見しようとしました。清親から吉田博・川瀬巴水らに至る風景版画の流れを、アメリカのスミソニアン国立アジア美術館が所蔵するロバート・O・ミュラー・コレクションの作品によって辿ります。

 来年の開催をご期待ください!

この記事をシェアしよう

丸の内LOVE WALKERの最新情報を購読しよう