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横浜市立盲特別支援学校

 日本テレビ系で毎週水曜よる10時から放送中の「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」は、弱視の高校生が主人公のドラマです。その舞台に横浜市立盲特別支援学校が使われています。本校は、およそ130年の歴史ある学校です。視覚に障害のある幼児児童生徒への教育活動を行なっています。

 まったく見えない全盲の人と、見えにくいロービジョンといわれる弱視の人がいますが、本校では在学者の多くが弱視です。この弱視について、本校公認キャラクター「しもん」と、弱視の職員で「みゆき」と「まちこ」の3人が弱視あるあるについて話をしていきます。

 さて今回は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、増えているセルフレジやタッチパネルについてです。

 もしもお目めに合いましたら、読んでみてください。

 前回の記事はこちら:
【連載】便利グッズを活用してレッツ クッキング!

※過去の連載記事はこちら:「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」ロケ地・横浜市立盲特別支援学校より弱視あるある

ホットスポット みゆきビジョンはこう見えます

ホットスポット まちこビジョンはこんな感じ

しもん:ドラマでレンタルビデオショップの話が出てくるよね。ショップで見えにくいこととかある?

みゆき:レジ前のホットスポットはケースに入っているから近づけなくて見えづらい。

しもん:値段も見えにくいよね。

まちこ:あれっ? しもん見えにくいの?

しもん:まばたき少ないからドライアイかもー。

みゆき:茶色の塊にしか見えないからね。

まちこ:あとレジで次の人を待たせてるプレッシャーみたいなものがあるかな。

みゆき:近づいて見ることができないし、後ろに人が並んでると、早く決めなきゃと思っちゃうよね。

しもん:ドラマにバーガーショップが出てくるけど、注文しづらい?

みゆき:メニューをルーペで見てると時間かかるし、お店の壁に貼られたメニューは見えないから、お店のホームページでメニューを決めてから買いに行くなあ。

ドラマに出てくるショップ「BBバーガー」のメニュー

まちこ:この間行ったお店では、レジの店員さんは商品のバーコード読みだけをしてくれて、支払方法とかがセルフだったよ。

しもん:どうゆうこと?

まちこ:支払方法などが表示されているタッチパネルの中から、自分が支払いたいのものを選んで払うのよ。

みゆき:あー、私はそれいやだなぁ。タッチパネルは見にくいしねぇ。

しもん:困っていそうな人がいたら、「お手伝いしましょうか」の一言が欲しいよね。

みゆき:ルーペでゆっくり見て覚えれば、次は1人でできるのにって思うけど。

まちこ:袋を持参すると、袋詰めもセルフよね。

みゆき:「袋に入れましょうか」って言ってくれる店員さんもいるよ。

まちこ:最近は、コロナの影響も手伝ってセルフレジが増えてきたね。

しもん:あれってどうなの?

みゆき:使い方をゆっくり教えてもらえると、次は1人でできそうなこともあるんだけどね。

しもん:そうなの?

みゆき:弱視はね、慣れるとできることが多くなるの。最初はまったく見えなくても、慣れてくると見えてるように動けるの。

しもん:視力が上がるの?

みゆき:そうじゃないけど、なんとなくは見えているから、見えている人と同じような動きができるようになる。

しもん:やっぱり視力が上がるんじゃない?

みゆき:そうだね。ボタンの位置とか配置とか覚えれば、形や色で判断できたりするからね。

しもん:なるほど。

みゆき:そういうのを「生活視力が上がる」って表現したりします。

まちこ:このご時世だもんね。いろいろ気を使います。

しもん:セルフレジは、うちのおばあちゃん使えないって言ってたなぁ。

みゆき:へぇ。しもんにはおばあちゃんがいるのね。

しもん:そうなんですよ。大家族なんです!

しもん:昨日、焼き鳥屋さんに行ってきたんだけど、タッチパネルで注文するシステムだったんだよね。

まちこ:最近タッチパネル多いよね。てか、共食いでは…

みゆき:食欲の秋だねえ。

しもん:いやいや芸術の秋ですよ。 

自画像を描くしもん

みゆき:テーブルから持ち上げられるタブレットは近づけてみるよ。

しもん:タブレットが固定されている店もあるよね。昨日のお店もそうだったなぁ。

みゆき:それは厳しいよね。近づけないから。

まちこ:店員さんが気を利かせて注文を聞きに来てくれるところも多いよ。

みゆき:回転ずしも注文するシステムだもんね。

まちこ:2階建ての上の新幹線レーンでガーッとやって来るのはビックリしたなぁ。

みゆき:あれいいよねぇ。

まちこ:その前は、玉子と間違えて数の子を取ってしまったけど、新幹線レーンがあればもう大丈夫!

しもん:これまた感染対策で、透明なアクリル板が増えたよね。

みゆき:乾杯をしようとしてもアクリル板だったり。

まちこ:ビールをつごうとしてぶつかって、ガッシャーンってこともね。

みゆき:アクリル板越しだと声も聞き取りにくくなるしね。

しもん:そうそう。レジの人の声も聞きにくくて、「いくらですか?」って聞くこと増えたもんね。

まちこ:椅子に座ろうとして頭をコツっとぶつけたりもします。えへっ。

まちこ:券売機は苦手だなぁ。

みゆき:わかるー。

しもん:そうなんだー。

みゆき:近づいてじっくり見たいんだけど、後ろに並ばれたりすると焦っちゃって(汗)

しもん:そんなこと思っているんだー。

みゆき:先にどうぞとか、譲ってばかりで、いっこうに買えないの。

しもん:いつまでたっても食べられないじゃん!

みゆき:援助依頼すればいいんだけど、人に頼りたくない気持ちもあるんだよね。

しもん:そうなの?

みゆき:人に迷惑をかけず、自分で何でもできれば、思うままに生きられる気がしちゃうんだよね。

しもん:わかる気がする。

みゆき:でも、人の優しさは素直にうれしい♪

まちこ:小銭をすぐに出せるようなお財布もあるよ。

みゆき:ドラマでユキコちゃんが使ってたよね。

まちこ:見た目は普通の長財布。だけど、小銭を仕分けできるようになってるの。

しもん:おー便利!

コインレール付き本革長財布

コインレール付き本革長財布(内側)

まちこ:弱視の友達は券売機だと、とりあえず左上のものを押すんだって。

しもん:へぇーなんで?

まちこ:左上はその店の売りメニューがあることが多いらしいよ。本当かどうかは知らないけど。

みゆき:なるほど。そういう傾向なのかぁ。

しもん:でも本人は、何を頼んだかわからないままなの?

まちこ:そうなのよ。ドキドキしながら待つみたいよ。

しもん:ギャンブラー精神カッコイイっす!

 こうしてまだまだ3人、いやっ2人と1羽の話はつづきます。

 次回も読んでいただけたらうれしいです。

 もしも、お目めに合いましたら。

「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」

 日本テレビ系で毎週水曜夜10時から放送中。

 勝ち気だけど恋には臆病な盲学校の女の子・赤座ユキコ役の杉咲 花さんと、喧嘩上等だけど根は純粋なヤンキー・黒川森生役の杉野遥亮さんによる新世代ラブコメディー!

文/横浜市立盲特別支援学校専攻科
「みゆき」と「まちこ」のイラスト/関口 千秋
「しもん」のイラスト/横浜市立盲特別支援学校

プロフィール
しもん:横浜市立盲特別支援学校、略して市盲が名前の由来。校章の幸福の青い鳥がご先祖様。公認キャラクター就任1年目。
まちこ:13歳で網膜色素変性症(色変)と診断。徐々に視野狭窄が進行。黒猫をめでながらお酒を飲むのが大好き。
みゆき:生まれつき弱視。右目は緑内障で13歳の時失明。ハンドミルでコーヒーを入れてその香りと共にチョコレートを楽しむのが習慣。

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