店内ぜんぶエモい♡ 半世紀続く純喫茶「ローヤル」潜入取材 全世代のノスタルジーに刺さるんです!
2023年04月03日 12時00分更新
外から眺めると、キラキラして洗練されたイメージが先行する丸の内。でも実は、過去と未来が交錯するたくさんの“エモい”が隠れているんです♪ そんな古き良き昭和レトロなスポットを、丸の内初心者で一人遊び好きな「LOVE Walker」女子編集部員クルミ(26)が実際に巡り感想を綴る本連載。
記念すべき第1回目は、有楽町駅前の老舗喫茶店「ローヤル」に訪れました!
カオスな複合ビルの地下に現れる“王室”
有楽町駅の真ん前に建つ「東京交通会館」 。1965年に建てられたこちらは、当時の近代派建築を象徴するアーチ状の窓や煉瓦壁の外観をはじめ、中に入れば、白と黒のタイルが張られた床、大理石調の壁など、昭和の面影をそのまま残した懐かしい香りが漂う複合ビルです。特に地下1階は、地方のアンテナショップや新旧入り混じった飲食店、酒店にギャラリー、果ては水煙草専門店まで入居する、なんともカオスなフロア。その一角に、一際目立つゴージャスな店構えの喫茶店があります。その名も「ローヤル」。響きからしてもなんだか荘厳な感じがしますね〜
外観から見所満載でつい見惚れていると、私よりも先にどんどんお客さんが入っていくので、慌てて入店(汗) リサーチして比較的空いていると踏んで訪れた午後4時でも、4割ほどの席は埋まっていました。
店内には2つの大部屋があり、入ってすぐの部屋はほぼ満席だったので、奥へ。すると目に飛び込んできたのは、赤色の上品なラウンジチェアがずらりと並ぶ光景。まるで赤い絨毯が敷いてあるかのようです。暖色で落ち着く照明と相まって、席まで歩く私の気分はまるで王様♪ とまではいきませんが、店名の由来である“王室”のような品のある雰囲気が自然とココロを落ち着かせてくれます。
居心地の良さの秘密は、店とともに歩んできたベテランスタッフ!
「東京交通会館」のオープンと同時に開業し、半世紀以上営業している「ローヤル」。実業家であり、高級感のあるものが大好きだった初代支配人の意向から、お店のさまざまな箇所に煌びやかな装飾が施されています。
客層はというと、今回訪れた平日は周辺で働くサラリーマンや昔から通い詰めるシニア世代がメイン。ですが休日は、がらりと変わってレトロ好きな若者でごった返しているそう。行列ができることもあるといいます。
店内装飾のほとんどが当時のままですが、中には時代とともに変わりゆくものも…。現在、客席を分けるために使われているポール。付いているカバーを取ると、今は使われていない電球が! 「昔はこの灯りだけで営業していて、もっと薄暗くてムードがある空間だったんだよ。でもお客さんがだんだんお年を召してきて『新聞が読めない』という声が多くなったから今の明るさにしたの(笑)」 そう教えてくれたのは、店長の野山さん。フレンドリーで気さくなキャラクターが常連客に愛されている、お店の名物マスターです。
野山さんとあれこれ話をしていると、ふと、ここのスタッフさんは、全員が年配のオジサマだということに気づきました。聞けば年齢層は50代~70代。募集条件が「厨房も接客も経験のある男性」なので、自然とこういうメンバーになったといいます。中にはこの店一筋20年以上、常連客の名前やいつも注文するメニュー、希望の席まで全て頭に入っている熟練ウェイターもいるのだとか。カッコイイ!
スタッフの制服は、丸の内エリアで働くサラリーマンのようなシャキッとした白シャツとネクタイ。注文の気配を感じるとさりげなく客席を訪れて、お客さんが帰った後はささっと片付ける姿にいぶし銀を感じますね〜
お店に流れるノスタルジックで落ち着いた空気感は、外観や内装だけでなく、野山さんはじめお店を長年守ってきたスタッフさんがいるからこそ生まれるものなんだなぁと、しみじみ。
どこまでも期待通りな“シンプル・イズ・ベスト”な喫茶メシ
目に入るモノすべてが可愛くてすっかり注文を忘れていたわたくし。小腹も空かせていたので、まずは人気メニューの「エビピラフ」を注文します。カラフルで小ぶりの具材たちが混ざったピラフは、平皿に盛られてなんともシンプルなビジュアル。食べてみると、ほのかに効いたガーリックと絶妙な塩気に、自然とスプーンが進みます♪「うんうん、 そう! この味だなぁ」と1人で頷いてしまうほど落ち着く味わい。華美ではなく、何の変哲もない“普通の美味しさ”が喫茶メシの魅力なのだと実感しました。
さて、お次は甘いものを! と思い注文したのが、お店のおすすめ「季節のフルーツパフェ」。これがなんと今回、最後にして最大のトキメキだったんです♪ グレイヘアにダンディズムを感じるスタッフさんが、慣れた手つきで小脇に抱え運んできたパフェ。真っ赤ないちごとホイップクリーム、アイスクリームのみというシンプルなで構成で、全世代が思い描いたそれのど真ん中をいく“ザ・パフェ”としか言いようのない見た目に衝撃。
素朴かつキュートなデザインは、幼い頃にアニメやシールで何度見てキュンキュンしていたことか。懐かしいなぁ。「ローヤル」では何十年も変わらず提供され続けてきた品ですが、現代ではなかなか出会うことがないだけに、新鮮さを感じて注文する若者が急増しているのだそうです。うんうん、大共感。
味ももちろん安定の美味しさ。重みがあって濃厚なホイップクリームと酸味のあるイチゴ、バニラアイスと一緒に食べれば、ショートケーキを食べているようなガツンとくる甘さがクセになります。器の底に溜まるいちごシロップを混ぜれば味変もできて、食べ応え◎。
ここで完全に甘いものスイッチが入って暴走モードに入ったわたし。“こんな時はとことんいった方が後でつまみ食いしなくていいのよね”なんて強引な言い訳をつぶやきながら、若い女性客に大人気だという「喫茶店のプリン」もオーダー。昭和の香りが漂う、一度は見たことのあるオーソドックスなフォルムにまたまたキュン♪ お味は、ねっとりした食感でものすごく濃厚。国産卵の風味がふわっと鼻を抜けます。
今年26歳を迎える私でも、どこか懐かしさを感じて何時間でも居たくなる「ローヤル」。お伝えした全ての要素が合わさって、訪れた誰もが高貴な気分になれる場所と言えるでしょう。東京のど真ん中で一息つきたくなったら、ぜひ訪れてみてくださいね!
お腹がいっぱいになったところで、記念すべき第1回目の「昭和レトロさんぽ」はおしまい。さて次はどこに行こうかな♪
ツーショットを快くOKしてくれた優しい野山さん。ありがとうございました!また来ます♡
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