三菱重工業

「もの作りの最前線にいる誇りを胸に技術を追求」極めて高度な溶接技術で、国産ロケットの未来をひらく

H3ロケットの開発を続ける「三菱重工業」で、溶接技術者として重要な役割を果たす村橋 遼さん

H3ロケットのメインエンジンは緻密な溶接技術が必須

2025年2月2日打上げのH3フライト5号機は準天頂衛星「みちびき6号機」を予定どおり静止遷移軌道に投入した(提供:三菱重工業)

 国内におけるロケット開発の歴史において、常に主要な役割を果たしてきた「三菱重工業」。2014年度からはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共に、次世代国産ロケットであるH3ロケットの開発に着手。2年の延期と初号機の失敗を乗り越え、2024年2月に打上げを初めて成功させると、2025年2月までに計4機を打上げている。

 このH3ロケットのエンジンを製造している工場が、名古屋誘導推進システム製作所 小牧北工場だ。村橋 遼さんは、H3ロケットのメインエンジンLE-9も担当する溶接技術者。自身の仕事について「宇宙空間で使用される製品、特にLE-9のような液体燃料エンジンは高度な技術が必要。外観はもちろん、内部まで完璧な溶接が求められます」と話す。

村橋 遼さん

技術をさらに高めて社会インフラの充実に貢献していきたい

一昨年度からの2年間は講師に従事

 業務外では、会社の軟式野球部に所属する村橋さん。溶接技術に加えて、休日の部活動はもちろん、始業前と昼休憩時のトレーニングを欠かせないアクティブでポジティブな人柄も高く評価され、年齢的には若手ながら新人技術者を育成する講師に抜擢されたこともある。14年前、そんな村橋さんに入社を勧めたのは今も現役の同社社員である父親の伸幸さんだった。

 「親子で日本のもの作りを支えられていることが誇り」と現在の充実ぶりを語ると同時に、「ロケットの打上げ成功には、1か所の不備も許されません。日々精進して、技術を磨き続けていきたいです」と目標を掲げる。見据えるのは未来だ。「H3ロケットを使った人工衛星による宇宙開発が進むことで、社会インフラの充実に貢献していきたいですね」。

父親の伸幸さんと共に

世界に誇るロケットエンジンのほか、飛昇体や衛星本体も製造

H3ロケット用第1段エンジ(LE-9)は日本独自方式で従来エンジンに比べ1.4倍の推力を実現した(提供:三菱重工業)

 H3ロケット用に開発されたメインエンジンLE-9は、金属造形やバルブの電動化の採用で低コスト、高信頼性を実現。世界に誇れる愛知県小牧市産の傑作だ。鹿児島県の種子島宇宙センターまたは秋田県の田代試験場で燃焼試験を実施するなどして、さらなる精度の向上に努めている。

 このほか、同工場ではLE-9をはじめとする航空・宇宙エンジンのほか、飛昇体、制御機器関係製品、衛星に搭載する電子機器、衛星本体も製造している。

小型実証衛星の「RAISE-4」。JAXA公募により選定された8つの機器の実証テーマを軌道上で確認する為の衛星(提供:三菱重工業)

三菱重工業 名古屋誘導推進システム製作所 小牧北工場
住所 愛知県小牧市大字東田中1200
電話 0568・79・2113(代表)
1884年創立。同工場は1972年に操業を開始した。航空・宇宙エンジン、飛昇体、制御機器関係製品の開発、生産、修理などを行っている。

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