廃墟ビル、空室ビル、移転予定ビルなど退廃が彩る大手町の古参ビルを巡る
2025年08月15日 12時00分更新
高層ビルや歴史的建造物など、丸の内の建築群を現場のレポートを交えながら紹介する連載「丸の内建築ツアー」。今回は、大手町の北側に建ち並ぶ古参のビル「東京消防庁 本部庁舎」・「旧気象庁庁舎」・「大手町合同庁舎第3号館」を紹介します。
消防119番の入電数が全国一ともいわれる「東京消防庁本部庁舎」は高さ119m
大手町エリアの北西側、西側を内堀通りに面した場所に位置する「東京消防庁 本部庁舎」は、東京都内で発生する火災や災害、事故などの多様な危機に対応する中枢拠点として機能しています。本部庁舎は地上14階、地下3階で、建物の高さは61.5m、通信鉄塔を含めた全体の高さは119mに達し、延床面積は26,309㎡となっています。建築主は東京都、設計は東京消防庁と日建設計、施工は大林組が担当し、1976年3月に竣工しました。
東京消防庁は約1万8,000人の消防吏員を擁し、日本最大、かつ世界最大規模の消防機関として知られています。本部庁舎も、それにふさわしい規模と機能を備えた超高層庁舎であり、防災モデルビルとして建設されました。構造は鉄骨鉄筋コンクリート造で、優れた耐震性と堅牢性を兼ね備えています。ちなみに、通信鉄塔を含めた本部庁舎の全高119mという数値は、消防の緊急通報番号「119」にちなむものとなっており、ユーモアを感じさせます。
敷地の南側には「丸の内消防署」も併設されており、1階部分には消防車両を停めるスペースも確保されています。外観は、北側の本部庁舎が白を基調とした柱と梁のアウトフレームが印象的なシンプルなデザインで、超高層ビルとしての存在感を放っています。エントランスには車寄せの庇があり、屋上にはHマークのあるヘリポートと、赤白の通信鉄塔が目を引くランドマークとなっています。一方、南側の丸の内消防署の建物は濃いベージュを基調とした落ち着いた外観で構成されています。外構部分は赤レンガを用いた意匠と緑豊かな植栽空間が調和しており、敷地の北西側には彫刻家・宮脇正雄氏による赤御影石と金属でつくられた彫刻作品「いのち」が設置されているのも特徴です。
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