「八重洲」の地名はオランダ人の名前!? 意外と知らない丸の内とオランダの関係を大追跡!
2025年08月08日 12時00分更新
丸の内エリアの古き良きレトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。今回は、ちょっと変わったテーマで街を歩いてみました。それは「オランダ」です! 「なぜ突然オランダ⁉」って思いますよね? 自分でもそう思いながら(笑)、いざ出発です。
駐輪場の片隅にひっそりと隠れる帆船の像。これは一体…⁉
JR東京駅丸の内駅舎の目の前に立つ「丸の内ビルディング」。通称”丸ビル”の名で親しまれる「丸の内ビルディング」のすぐ南側に、とある像を発見しました。といっても、木々に囲まれた自転車置き場の一角にひっそりと置かれていて、全く人目に付かない…。私もうっかり通り過ぎてしまったのですが、「あれ、なんか立ってた⁉」と思って引き返したほどです(笑)。
よく見ると、なかなか立派な帆船の彫刻です。名前は「デ・リーフデ号像」というそうで、昔のオランダの船なのだとか。正確な大きさはわからなかったのですが、身長156cmの私がちょっと見上げて視界に納まるくらいの高さ。こんな像があったなんて、今まで全く気づきませんでした!
横から見てみると、あれ、なんだかちょっと傾いているような…⁉ でも、風を受けて膨らんだ帆やパタパタとはためく旗の表現がまるで本物の船のようで、まさに海上を前進しているよう! なるほど、真っ直ぐ立っているより、少し傾いている方が波を受けて進む様子がよりリアルに見えますね~。よくできてる!
案内板があったので、読んでみました。この彫刻は、1980(昭和55)年4月22日に、オランダ王国のファン・アフト首相が来日したとき、オランダ王国政府に代わって首相から日本政府に寄贈されたものなのだとか。おぉ、そんなに由緒正しい像だったとは!
オランダ船「デ・リーフデ号」は、1600年(慶長5)年4月19日、現在の大分県臼杵市に漂着した船で、当時、日本に漂着した初のオランダ船といわれているそうです。オランダ王国が像を贈ってくれるほどですから、やはりただの船ではなかったのですね~!
日本とオランダは江戸時代の鎖国の頃から深い関係があるのは私も知っていましたが、この「デ・リーフデ号」がそのきっかけを作ったのかも。丸の内でこんな歴史に触れられるとは、またひとつ新しい発見でした。こんなに立派な船なのだから、「見えづらい自転車置き場ではなくて、もっと目立つ場所にこの像を置いてあげて~!」と勝手に思ってしまいました(笑)。
あれ? でも、どうして船が漂着した大分県臼杵市じゃなくて、丸の内に置かれているんだろう…?
「八重洲」の地名の由来はなんとオランダ人だった!
その理由がわかりそうなスポットがあると聞いて、続いてJR東京駅東側の「八重洲地下街」(東京都中央区八重洲2-1 地下1F・地下2F)、通称「ヤエチカ」へ行ってみました。この地下街、とっても広くて複雑なので、「どこかなー?」と思いながら歩いていると、飲食店が並ぶ一角にありました、どーん!
この像は「ヤン・ヨーステン記念像」というそうです。首から上だけの像ですが、大きく見開いた目が前を真っ直ぐ向いていて、おぉ、これはなかなかの迫力! なんだか目が合いますね…。何も知らなければ「だ、誰⁉」と思ってしまいそうです(笑)。
こんなに存在感があるのに、ほとんどの通行人は意外にもスルー。。。逆に言えば、すっかり地下街になじんでいるということですよね!
この方は、1600年(慶長5)年に日本に漂着した「デ・リーフデ号」に船員として乗っていた、オランダ人のヤン・ヨーステンさん。江戸に上った後、徳川家康に通訳として重用され、海外との交易に当たっていたそうです。おまけに「八重洲」という地名の由来も、この人にあるのだとか。えー、そうなの⁉
旗本となった彼は江戸城近くに屋敷まで与えられ、「ヤン・ヨーステン」にちなんで日本名は「耶揚子(やようす)」に。それが転じてこの周辺は「八代洲(やようす)」と呼ばれるようになり、のちに「八重洲」という地名になったというのが、有力な説だそうです。ヤン・ヨーステン→やようす→やえす。なるほどー! 東京のど真ん中の地名が、まさかオランダ人の名前に関係したものだったとは驚き!
現在「デ・リーフデ号像」が立っている丸の内2丁目周辺は、その昔「八代洲河岸(やよすかし)」と呼ばれていて、ヤン・ヨーステンの屋敷もこのあたりにあったのだとか。となると、「デ・リーフデ号像」が丸の内にあるのも納得! オランダというと長崎のイメージが強いですが、丸の内周辺にもいろいろな歴史が残っているんですねー。
駅に食べ物…。丸の内界隈でいろんな「オランダ」を発見!
ちなみに、壮麗な赤レンガ造りやドーム屋根で知られるJR東京駅丸の内駅舎も、オランダと関係があるんですよ! この丸の内駅舎とオランダのアムステルダム中央駅は、2006年4月に姉妹駅の提携を結んでいるんです。どちらの駅も国を代表する歴史的な駅で、両国の近代化を象徴する駅という共通点がありますね。
せっかくなので、最後にオランダにまつわるおみやげを探しに行きました。残念ながら、「ザ・オランダのお菓子」といったものは見つからなかったのですが、「大丸東京店」(東京都千代田区丸の内1-9-1)の地下1Fにある「カステラ本家 福砂屋」で、「オランダケーキ」なるものを発見! ココア風味のケーキにクルミやレーズンがたっぷりとのっていて、とってもおいしそう♪
それにしても、なぜ「オランダケーキ」という名前なんでしょう? オランダのお菓子なのかな? お店のスタッフさんに聞いてみたところ、正確な文献が残っておらず、諸説あるらしいのですが、「昔、このようなケーキをオランダから仕入れていた」「カステラの歴史に敬意を払いつつ、長崎に由来のある『オランダ』の名前を付けた』」などと伝えられているそうです。へー、面白いですね!
一見、チョコレートケーキのようにも見えますが、食べてみると、紛れもなくカステラの味わいでした! ふんわりしっとり、やさしい甘さで、ココアや卵の風味もしっかり感じられて、これはおいしい~。上にのったクルミやレーズンがいいアクセントです。今日回ったオランダにまつわるスポットや歴史に思いを馳せながら、2切れをあっという間に完食しました!
ということで、第26回の「デ・リーフデ号像」のレポートはおしまい! 次はどんな「レトロ」に出合いに行こうかな~。
デ・リーフデ号像
住所:東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング南側
時間:10:00~23:00(丸の内ビルディング一般来館者用駐輪場の開場時間)
料金:なし
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