大岡越前 vs 遠山の金さん、江戸の2大ヒーローの仕事場はどこにある? 大丸有の南北町奉行所跡で名裁きの声を聞いた!
2025年10月31日 12時00分更新
丸の内エリアの古き良きレトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。今回は、昭和の時代劇でもおなじみの歴史的スポットを巡ってみました。「え、そんなの実際に丸の内界隈にあるの?」と思っていましたが、それがあったんです!
庶民の味方に徹した江戸のシゴデキ、大岡越前が活躍した「南町奉行所」
そのスポットとは「南町奉行所跡」。江戸時代に名奉行といわれた大岡越前守忠相(おおおかえちぜんのかみただすけ)が活躍した舞台です! 「大岡越前」といえば、時代劇ファンなら知らない人はいないですよね。
場所は、JR有楽町駅の中央口を出てすぐ目の前の有楽町駅前広場。商業施設などが立ち並ぶところでで、私も何度も通り過ぎていますが、そんなスポットなんてあったかな…?
中央口を出たらすぐに見えると思ったら見当たらず、円形の屋根の周囲をぐるっと回ってみると…、ありました! 「南町奉行所跡」の碑です。隣には説明板と、幅数メートルほどの石垣が残されていて、人ごみの中でかつての歴史を静かに伝えていました。
奉行所というのは、現代でいうと都庁、裁判所、警視庁、消防署などの複合施設です。つまり、江戸の町民の行政、司法、警察、消防を一手に引き受ける重要な場所ってことですね。この裁判所で約20年間、執務したのが大岡越前守忠相。「お白洲(おしらす)」(裁判)で江戸の人々の揉め事を名裁きで解決していったと伝えられています。
ということは、ここに、あの真っ白な砂利が敷かれた庭のような裁判のスペースもあったということですよね! 数々の「大岡裁き」のエピソードがこの場所で繰り広げられていたかと思うと、なかなか感慨深いです。「これより、お白洲を開く!」という、奉行所の開廷を告げる声が頭の中に聞こえてきましたよ(笑)。
石垣は、発掘調査の際に出土した下水溝だそうです。待ち合わせの人などがよく腰かけていたりするので、私はてっきりベンチ風のしつらえだとばかり思っていたのですが、まさか奉行所の跡だったとは!
まるでタイムカプセルのよう! 地下広場に残る大岡越前の痕跡
地上にある「南町奉行所跡」には碑と石垣くらいしかありませんが、実はこの地下にお宝が眠っていました。階段を下りて「有楽町地下広場」へ行ってみると、壁際に「穴蔵(あなぐら)」と「木樋(もくひ)」の展示が! これらは「南町奉行所」の敷地内から出土した本物だそうです。300年以上も前の遺構がこんなところで見られるなんてすごい!
「穴蔵」は「南町奉行所」内に掘られた地下室で、壁に立てて展示されています。天井まで届く高さで、そうと知らなければ、まるで木で作った渋いオブジェか何かのよう。説明板には、この地下室から出土した木札のレプリカも展示されているので、忘れずに見てくださいね。伊勢神宮の神官が大岡越前守忠相の家臣に宛てたもので、「大岡越前守様御屋敷」の文字が書かれていました。
「木樋」というのは、江戸時代の水道管のこと。「穴蔵」の両脇には木のベンチがありますが、この木樋を再利用したものなんですって! 実際に座ってみると、なんてことのない普通のベンチなのですが、これって300年前に人々の生活を支えたライフラインなんですよね。そんな遺構に座れるなんて、なんとも貴重です。
東京駅のすぐ近くには「北町奉行所跡」が。ここでは遠山の金さんが大活躍!
ここでひとつ疑問。「南町奉行所跡」の「南町」ですが、ということは、「北町奉行所跡」なんていうのもあるのかな?と思って調べてみたら、やはりありました! 場所は、JR東京駅の日本橋口から徒歩3分ほどの「丸の内トラストタワーN館」のすぐ裏です(東京都千代田区丸の内1-8周辺)。
周囲は高層ビルに囲まれていて、これまた「え、ここに?」といった雰囲気ですが、植え込みの間にひっそりと置かれた説明板を発見! これは「南町奉行所跡」よりも気づかれないかも…。
「北町奉行所」は、「南町奉行所」と同じく、行政、司法、警察の職務を担っていたそうです。南北に管轄が分かれていたわけではなく、月替わりの交代で執務に当たっていたといいます。
ここで3年間ほど奉行を務め、活躍したのが遠山景元、時代劇で有名なあの「遠山の金さん」です! 「金さん」は、遠山家の家督継承者が代々名乗る通称「金四郎」が由来だとか。大岡越前と、遠山の金さんが南北の奉行所で大活躍。へー、面白いですね!
植込みの中に石組みの溝がほんの少しだけ残されていました。これは、かつての奉行所の下水溝の一部。もともとは3~4段の石積みだったそうですが、発見されたのは一番下の1段だけ。なんとなくさみしい気もしますが、それだけ長い年月が経っているということですね。
ということで、第30回の「南町奉行所跡」のレポートはおしまい! 都会の喧騒の合間に300年以上も前の江戸のドラマが隠れていたことに感動した1日でした。次はどんな「レトロ」に出合いに行こうかな~。
南町奉行所跡
住所:東京都千代田区有楽町2-9-18
時間:24時間(有楽町地下広場は7:00~24:00)
料金:見学無料
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