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【丸の内MEMO】丸の内「Espace 1894」で触れる次世代の才能 AATMグランプリ・相波エリカが描く仮想と現実が共存する曖昧な現代の姿

 丸の内を歩けば、いたる所にアートが息づいているのを感じる。その文化の発信源として欠かせないのが、2007年から続く若手アーティストの登竜門「アートアワードトーキョー丸の内(AATM)」だ。

 全国の美大・大学院の卒業制作から選抜された才能が集うこのアワードは、これまでに約500名ものアーティストを輩出してきた。いわば、未来の巨匠たちの“最初の一歩”を定点観測できる場所なのだ。

 今回、19回目(2025年)で見事グランプリに輝いた相波(あいば)エリカ氏の個展「serious and unimportant ー in games」が2月19日、三菱一号館 Espace 1894で開幕した(3月15日まで)。

三菱一号館 Espace 1894の会場で相波エリカ氏

大事とされているものと、そうじゃないもの。
仮想と現実が交差する現代人の感覚に刺さる連作が刺激的

 今回の展示作品は、「アートアワードトーキョー丸の内(AATM)」のグランプリ受賞作2点を中心に連作として制作された8点からなる。内覧会が実施された2月18日の朝まで制作をつづけた、という。

 相波エリカ氏の作品は、物語を思わせる要素が随所にちりばめられ、現実から少し距離を置いた、どこか違和感のある風景が描かれている。その風景は不穏さを感じさせるが、それは生成AIやインターネット、ゲーム空間などによって現実の時空が拡張された現代社会と接続する、絵画空間の新たな挑戦でもある。相波氏自身が語る「現実に介入する無数の架空の世界」とは、私たち一人ひとりの想像のなかに存在する世界であり、一人一人が違う価値観の中、それぞれの空間を作っている。

 三菱一号館美術館内のスペース「Espace 1894」の歴史の重みを感じる建築のなかで、相波氏が描き出す「serious and unimportant ー in games」の世界と不思議な響き合いを生んでいる。デジタルとリアルが交差する現代を生きる僕らの感覚に、鋭く、かつ軽やかに刺さる。

≪serious and unimportant ー in games1≫。グランプリ受賞作品

≪serious and unimportant ー in games2≫。グランプリ受賞作品

≪serious and unimportant ー in games4≫。≪serious and unimportant ー in games5≫

≪serious and unimportant ー in games 6≫

相波さんのコメント

 「架空の世界の境界と現実の世界の境界が曖昧になってきています。ゲームの世界、映画の世界、小説の世界、AI の世界、真剣な遊びの世界、そして現実の世界。現実に介入する無数の架空の世界。重要なものと重要でないもの。どちらを本当に大切にしたいものなのかわからなくなってきています。    

 展示タイトルの『serious and unimportant』は、世の中で大事とされているものと、そうじゃないものが混ざり合う世界をイメージしています。最近はゲームの技術が戦争に使われたりして、バーチャルの世界がどんどん現実に介入してくる怖さや不穏さを感じることがあります。現実が大事なのか、二次元が大事なのか……。

 その境界って人それぞれで曖昧ですよね。そんな『ミックスされた世界』を表現したいと思っています。今回は、これまでのようなカラフルな感じではなくて、戦場で砂埃が舞うような『砂っぽさ』を色味に出したいと思いました。実は、今日(内覧会)の朝まで描いていた作品もあるんです。

 ニュースや映画から受ける不安や熱量をそのまま画面に閉じ込めました」

相波エリカ氏

多摩美術大学名誉教授の建畠晢氏のコメント

 「大賞の相波エリカの作品は、日常的ではあるが、どこか現実感を 欠いた光景を描いてみせている。そこに半ば抽象化されたあいまいな物語が宿っているようでもある。一見、類型的に思えなくもない描写が、かえって彼女ならではの独特の雰囲気を持った絵画空間を創出している点に魅せられた」

 相波エリカ●プロフィール

 1996年生まれ、2023年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業、2025年東京藝術大学美術研究科絵画専攻修了。現在は東京を拠点に制作活動を行っている。作品制作において、現代社会に感じる社会観や精神面を絵や色を用いて、絵画を含め、立体作品、壁面や空間全体を使ったインスタレーションとしての表現を試みている。

 主な展示歴に、「Mixed Juice」多摩美術大学(2021、東京)、「The Noodles」多摩美術大学(2023、東京)、「serious and unimportant」東京藝術大学(2025、 東京)、「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2025」行幸地下ギャラリー(2025、東京)、 受賞歴に、2023年多摩美術大学卒業制作優秀作品受賞。

作家本人の熱量に触れる「ギャラリートーク」も必聴

 展示期間中の2月28日には、会場内で、相波氏本人によるギャラリートークも開催される。聞き手はAATM事務局の水田紗弥子氏。作品の裏側にある制作背景を直接聞ける貴重な機会だ。

 次世代の才能が世界へ羽ばたく瞬間を、ぜひその目で目撃してほしい。

日時: 2月28日(土) ①13:30~14:00 / ②15:00~15:30

定員: 各回定員15名(予定)

詳細・申込:https://peatix.com/event/4800473

■開催概要

●展覧会名

AATM2025 グランプリ受賞者展 相波エリカ個展「serious and unimportant ー in games」

●開催期間:

2026年2月19日(木)~3月15日(日)

●時間:

10:00~18:00(月曜休館 ※2月23日は開館)

●場所:

三菱一号館美術館 Espace 1894(東京都千代田区丸の内2-6-2)

●料金:

観覧無料

●公式サイト:AATM2025 グランプリ受賞者展 相波エリカ個展「serious and unimportant ー in games」|イベント|Today’sピックアップ|Marunouchi.com

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