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ラー博にまつわるエトセトラ Vol.19

あの銘店をもう一度第12弾 隠れ家的ご当地ラーメン岐阜・飛騨高山「やよいそば」

2023年02月20日 12時00分更新

 みなさんこんにちは。2024年の3月に迎える30周年に向けて、これまで実施してきましたさまざまなプロジェクトが、どのように誕生したかというプロセスを、ご紹介していく「ラー博にまつわるエトセトラ」。

 2022年7月より、過去にご出店いただいた約40店舗の銘店を2年間かけて、3週間のリレー形式で出店していただく「あの銘店をもう一度“銘店シリーズ”」と、2022年11月7日より、1994年のラー博開業時の8店舗(現在出店中の熊本「こむらさき」を除く)が、3ヵ月前後のリレー形式で出店する「あの銘店をもう一度“94年組”」がスタートしました。おかげさまで大変多くのお客様にお越しいただいております。

前回の記事はこちら:
あの銘店をもう一度第11弾 これぞ「博多とんこつ」の神髄 博多とんこつ「麺の坊 砦」

過去の連載はこちら:新横浜ラーメン博物館のウラ話

 第12弾は、知る人ぞ知るご当地ラーメン、岐阜県高山市に古くから根付くラーメン文化「飛騨中華そば」を代表して1948(昭和23)年創業の老舗「やよいそば」さんです! 1996(平成8)年の出店以来となりますので約27年ぶりの登場です! 出店期間は2023年2月21日(火)から3月13日(月)。

中華そば

 まずは、飛騨高山の場所からご説明です。

 高山市は、日本列島のほぼ中央に位置し、岐阜県の北部(飛騨地方)にある市。全国の市町村で最も面積が広い。その広さは東京都とほぼ同じ面積を有しています。江戸時代から続く歴史的建造物や伝統文化が今もなお残る、風情ある町並みが人気です。また、車で50分ほど北に進むと世界遺産となった白川郷があります。

岐阜県高山市までのアクセス(参照:メディクスタクシー

 飛騨中華そばの歴史についてです。

 飛騨中華そば(高山ラーメン)の歴史は今から80年以上遡り、1938(昭和13)年に創業した「まさご」が発祥。高級料亭の板前であった坂口時宗氏が、東京・芝浦での料理修業中、中国人が作る麺料理を見て中華麺の打ち方を学び、屋台を引き商売を行ったのが始まりと言われています。

飛騨中華そばの元祖「まさごそば」

 京文化の影響を色濃く受ける高山の蕎麦やうどんは関西風ですが、中華そばは関東風です。もちろん、「まさご」の坂口氏が東京で修業したからですが、高山が江戸幕府の天領となり、醤油文化が発達したという土壌も影響していると考えられます。

 飛騨高山で「そば」と注文すると「中華そば」が出てきます。いわゆる「蕎麦」を頼む場合は「日本蕎麦」又は「生蕎麦」と呼ばなければ伝わりません。高山は蕎麦の歴史も古いのですが、店舗数は中華そば店のほうが圧倒的に多く、地元の人も中華そばを常食します。

やよいそばの「中華そば」

 そして飛騨中華そばの特徴です。

●スープとタレを一緒に煮込む
ラーメンはスープとタレを別々に作り、丼にタレを入れてスープを注ぐことが一般的ですが、飛騨中華そばでは、寸胴の中でスープとタレを合わせて煮込みます。そのため、午前中と夕方では煮込み時間により味わいが変化し、地元の人は好みの時間帯にお店を訪れます。

●年越しは日本蕎麦ではなくラーメン
飛騨高山では、年越しに日本蕎麦でなく、ラーメンを食べる習慣があります。シーンと静まった大晦日の夜、外には人通りがありません。そして12時近くになり除夜の鐘が鳴るや否や、急に大勢の人が次から次へと外出し始めます。その目的はラーメン店。飛騨高山では、厳密にいうと年越しではなく年を迎えてからラーメンを食べる習慣があります。

 今回出店する「やよいそば」の創業は1948(昭和23)年。現存する飛騨中華そば店の中では2番目に古い老舗店となります。屋号「やよいそば」は、すぐそばにある「弥生橋」からきております。

昭和30年代のやよいそば外観

 1996(平成8)年10月5日、新横浜ラーメン博物館にオープン。約5か月の出店期間中、当時全国的にあまり知られていなかった「飛騨中華そば」を求めるお客様で連日賑わいを見せました。

 やよいそばの特徴をまとめました。

●麺
全国的に見てもかなり珍しい平打ち細ちぢれ麺。低加水(小麦粉に加える水分が少ない)のためスープとよくなじみ、のど越しと歯切れが良いです。飛騨高山は水が美味しいこともあり、今回の出店ではその水で作った自家製麺を本店から取り寄せます。

●スープ
鶏ガラ、野菜等で十分にダシを取り、そこへ鰹節等の節類を加えて更にダシを引き出したスープに、醤油などで味付けし、丸二日以上煮込みます。こうすることで、「やよいそば」独特のコクと旨味を兼ね備えた色濃いスープが完成します。

●具材
至ってシンプルな具材ですが、濃い醤油スープの味を引き立てる重要な役割を果たします。昔ながらの中華そばに欠かせないメンマ、油分の少ないスープに旨味を加えるバラチャーシュー、そして飛騨中華そばに無くてはならない「飛騨一本太ねぎ」。岐阜県の伝統野菜にも認定されており、柔らかく粘りがあり、甘みが強いのが特徴です。寒い季節にしか味わう事が出来ない食材のため、この時期の出店になったのです。

白い部分が多いのが特徴の飛騨ねぎ(出典:JAひだ

 

 次回は銘店シリーズ第13弾は博多「元祖名島亭」さんについて発表させていただきます。

 お楽しみに!!

新横浜ラーメン博物館公式HP
https://www.raumen.co.jp/

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文/中野正博

プロフィール
1974年生まれ。海外留学をきっかけに日本の食文化を海外に発信する仕事に就きたいと思い、1998年に新横浜ラーメン博物館に入社。日本の食文化としてのラーメンを世界に広げるべく、将来の夢は五大陸にラーメン博物館を立ち上げること。

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