シリーズ<丸の内を彩る人々>を開始します!
こんにちは! まちづくり法人リガーレです。
オフィス街のイメージが強いここ大手町・丸の内・有楽町(以下「大丸有エリア」)ですが、企業や店舗で働く就業者達だけでなく、起業家、クリエイター、アーティスト、学生などエリアで活動する人々、またファミリー層など街を訪れる方など、多様な人々が思い思いに活動するまちでもあります。
そんな大丸有エリアで元気に活躍する人々を紹介するシリーズ「丸の内を彩る人々」を、今後みなさんにお届けしたいと思います。今回は記念すべき第一回です。
丸の内仲通りアーバンテラスを彩るキッチンカー
毎日、丸の内仲通りに整然と配置される黄・赤・緑のカラフルなイスとテーブル。このオープンカフェは『丸の内仲通りアーバンテラス』と呼ばれ、2017年から始まった道路の一歩進んだ活用方法です。
このアーバンテラスでは、様々なフードやドリンクを提供するバリエーション豊かなキッチンカーが営業しています。屋外でくつろぐのが気持ち良い季節のアーバンテラスでは、キッチンカーのフードとドリンクを楽しむ人々でいつも満席。この街にとってなくてはならない存在であるキッチンカーの中でも、ひときわ目立つシルバーの可愛い車両の中から、いつも笑顔で美味しい珈琲を提供してくる方がいます。
鎌倉珈琲探偵舎のキッチンカーを営業する橋本奈美さんです。
初回となる「丸の内を彩る人々」では、日々丸の内仲通りでこだわりのコーヒーを提供し、またこのまちの移り変わりを見届けている橋本さんをご紹介します。
◆聞き手:リガーレ 大谷 典之
――橋本さんが活動の拠点として丸の内を選んだ理由をお聞かせください
私が丸の内を選んだというより、丸の内に偶然出会ったという印象ですね。
「丸の内仲通りアーバンテラス(以下アーバンテラス)」が始まった2015年、アーバンテラス運営会社の担当者さんから、共通の知人を通じて、私に「丸の内仲通りでキッチンカー事業がスタートするので、第一号として出店してみないか?」とお声がけを頂いたのがきっかけです。当時の私は、主に鎌倉エリアでキッチンカー営業をしていました。
初めて丸の内仲通りに私がキッチンカーで到着した時のことを鮮明に覚えています。2015年11月の秋、紅葉の落ち葉で彩られる丸の内仲通りに、私のシルバーのキッチンカーを停車させた時、もともとキッチンカーを置くことを前提にストリートと街並みが計画されたかのように、まちになじんだのを覚えています。キッチンカーと丸の内仲通りの相性の良さに、私だけでなく、アーバンテラスのご担当者さん達もビックリされていました。
――その後8年間、丸の内でキッチンカー営業をされて、丸の内に対する印象などをお聞かせ下さい
そこから、私は丸の内エリアと丸の内仲通りのオープンな空間の魅力にハマっていきました。
丸の内は大企業や店舗が集積するエリアですが、道路という公共空間である丸の内仲通りは、オープンでゆっくりとした時間が流れていて、私達キッチンカー運営者という“個”の事業者が、自分たちの個性で彩ることができるゆとりのある空間だと感じています。
私は丸の内以外のエリアでもキッチンカーで営業していますが、丸の内エリアで活動すると“人と人”や“人と企業”、“人とまち”が関わりを持てるという独特の特徴があると感じています。
丸の内エリアでは、3×3 Lab Futureや有楽町アートアーバニズム「YAU」といった多様な施設で、社会課題をみんなで考えるようなイベントやワークショップが常に開催されていて、私もよく参加しています。
参加したイベントで、私のキッチンカーのお客様と偶然会ったり、お客様から同僚を紹介してもらったりする機会も多いですね。そうやって、どんどん私と同じような興味や価値観を持つ方々や企業などと交流を持つようになり、私のビジネスにも繋がる案件も増えてきました。
他エリアでも、常連になってくれたお客様との交流はあります。個人と個人のいわば“点”の交流ですね。
一方、丸の内エリアでは、個人と個人の交流が、更に新しい個人や企業との繋がりに発展して“面”のような広がりのある交流に発展していく印象を持っています。
――橋本さんは、いつもコーヒーを購入されるお客様に“さりげない一言”を添えてくれる印象があります。
「仲通りも落ち葉で秋らしくなって来ましたね。私この季節が一番好きなんです」といった一言です。その一言が今お話しいただいた面的な交流につながっているのではないでしょうか?
実は私は人付き合いが苦手で、ひきこもり体質です(笑)。ですが、仕事になると、私が理想と感じている“カフェの店員さんの役”になりきれるんです。接客によって、お客様に楽しかったと感じてもらえる瞬間を提供したいと思っています。その想いから、自然とお客様と会話しているのかなって思います。
最近、私のキッチンカーのお客様同士が仲良くなったという嬉しい出来事がありました。
お二人ともカメラが趣味の方ですが、お一人は昔からの私のお客様で、もう一人は海外から丸の内に赴任されているワーカーの方です。偶然、お二人が私のキッチンカーでコーヒーの提供を待っている時に、手にしているカメラをきっかけに会話をされるようになったのです。それをきっかけに、お二人はカメラや撮影に関する話題で楽しく会話される仲になりました。私のキッチンカーの前で待ち合せをしている訳ではないのですが、お互いコーヒーを買うおおよその時間帯を把握していて、どちらかが先に来ると、もう一人を待ちながらコーヒーを楽しみ、出会えるとカメラの話題を楽しんでいます。お二人は程よい距離感を維持しつつ、共通の趣味で豊かな交流をされています。お一人は海外から期間限定で丸の内に赴任されているので、もうすぐ本国に帰任されます。それでもお二人の交流は続いてくれるといいなと思っています。
――仲通りのキッチンカーが、エリアワーカーや来街者との交流拠点になっているのですね
そう感じています。数年前に地方から丸の内に来られたご夫婦が私のキッチンカーでコーヒーを購入してくれたのですが、そのご夫婦が最近また来てくださりました。最初にお会いした時は、私は建設中だった「丸の内二重橋ビル」の前でキッチンカー営業をしていて、私がご夫婦に「このビルは2018年秋に竣工するんですよ」といった会話をしました。ご夫婦はその時の会話をよく覚えてくれていて、竣工した丸の内二重橋ビルと私のキッチンカーをセットで写真撮影をされていました。
このように、丸の内仲通りのキッチンカーを起点とした、人と人、人と企業、人と街との、ささやかですが豊かで幸福を感じられる交流が生まれています。
――最後に、橋本さんが活動をされる上で大切にしている価値観を教えて下さい
ちょっといきなり難しい質問ですね(笑)。
そうですね、大切な価値観というほどでもないですが、私は日々気を付けていることとしては、“人と比べることで苦しくなる。日々の出来事はそのまま受け入れて、自然体で日々を過ごす”ことですね。
人はコミュニティという居場所を求める存在である一方で、コミュニティに属する他人と自分を比較して苦しむこともある。また人を羨ましがる気持ちも出てくる。ですが、そんな感情に引っ張られずに、自然体で生きていきたいし、人々とフラットに付き合うように努めています。
そんな自然でフラットな交流を通じて、私のキッチンカーを選んでくれたお客様には、少しでも幸せなひと時を感じてもらえればと思います。
本日のインタビューを通じて、橋本さんが日々キッチンカーからみる丸の内の風景、橋本さんのキッチンカーを起点としたささやかで豊かなコミュニティが日々生まれていることがわかったような気がします。
みなさんも、丸の内仲通りでキッチンカーを見かけた場合、ぜひ素敵なフードやドリンクを楽しみ、豊かな時間をお過ごしいただけると、我々リガーレとしてもとても嬉しいです!
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