第7回
1946年から続く草野球大会で生まれる、新たな丸の内コミュニティ! 〈丸の内を彩る人々〉第5回 ~丸の内軟式野球大会の歴史と舞台裏・後編~
2024年03月07日 11時00分更新
こんにちは! まちづくり法人リガーレです。
前回は、歴史ある丸の内軟式野球大会について、大いに盛り上がったトークをお届けしました。今回も引き続き、山本寛明さん、古井茂さんとのトークをお届けします。
77回もの歴史を誇る野球大会! 〈丸の内を彩る人々〉第4回 ~丸の内軟式野球大会の歴史と舞台裏・前編~
・取材日:2023年10月24日(火)
・場所:DMO東京丸の内
・聞き手:リガーレ事務局 真田、大谷、福士、髙山
・話し手:山本 寛明さん
元々ご自身も野球をプレイされていた経験もあり、日本プロ野球OBクラブで社会人生活をスタートし、野球選手が引退した後のマネジメントや野球教室の企画・運営をご担当されたのち、現在の株式会社サンプラックスに移る。丸の内軟式野球大会の事務局業務は2015年からお務めいただく。その温かい人柄と堅実な仕事ぶりで、伝統ある大会を最前線で支え続けている。
古井 茂さん(カメラマン)
1975年、丸の内のタウン情報誌「月刊丸の内」を発行する株式会社菱芸出版に入社。丸ビルクラブ(当時の野球大会の主催)との関係もあり、丸の内軟式野球大会では第30回大会から写真を撮り続ける。今では丸の内軟式野球大会の歴史を一番知る人と言っても過言ではない。
※本記事内の試合や開会式の様子の写真は古井さんが撮られた写真を使用しています
野球大会を通じたコミュニティづくり
真田:リガーレはこのエリアのコミュニティ活動をやっていこうという軸を持っているので、昔は表彰式とパーティーを大会終了後に別途開催していたようです。トロフィーや賞品はこの場で渡していました。
山本:そう、決勝が終わった直後は何もしていませんでしたね。私が担当する前はMARUNOUCHI CAFE倶楽部21号館で、担当後は3×3 Lab Futureでやっていましたね。
注)MARUNOUCHI CAFE倶楽部21号館:新東京ビルに以前存在した会員制クラブ
真田:そんなことがまさにリガーレが目指す、人と人との交流の場なんだろうなと思っているので、こういった機会を復活させたいなと考えています。
山本:昔決勝まで行っていたようなチームからは、「今年やらないんですか?」と聞かれたりすることもあります。
大谷:せっかくだからリガーレの他の取り組みも知ってもらうという意味で、総会とかにも出てもらえるといいね。全チーム声かけると50~60人くらいにはなるんですかね?
山本:表彰式を兼ねてやっているので、負けたチームはあんまり来ないんですよ(笑)。
大谷:なるほど。せっかくなので上位チームだけではなく、皆で一緒にできるよう、舞台をうまく整えて実施したいですね。
野球大会こぼれ話
真田:丸の内エリアのビルに、大会の結果を記したトーナメント表のパネルを掲示しています。ただ、有楽町ビルと新有楽町ビルが閉館になってしまうので、来年は少し掲示数が減ってしまうかもしれません。パネルも、各ビルの防災センターの方が手書きで毎週書いてくださるので、それぞれの味があるんです。
このパネルは再利用ができる素材(Recoボード)なので、この前髙山さんと初めて各ビルの防災センターに回収に行ったんですね。
髙山:そう。そしたら防災センターの方から「これ、回収されちゃうんですかね…?」って言われて。実は箱にしたり何かの材料にして使ったりしていたみたいなんですね。「持っていかないで…」っていう感じがして少し申し訳なかったです。
山本:それはそれで別の再利用の仕方があって良いですね。
福士:意外なことに、野球大会の歴史の一覧みたいなものは整理されていないんですね。
山本:そうですね。最初は紙しかなくて、その後ハードディスク、今はクラウドになってっていう形なので、おそらく紙の時代のものが残っていないんでしょうね。
福士:山本さんが野球大会をご担当される前は、別の方がいらしたわけですよね。
山本:自分の前は、リガーレさん自身で運営・事務局をしていたんですよ。まだ大手町ビルに事務所があった時代ですね。
真田:確かどこかでチームの参加料を上げているんですよね。
山本:僕が担当して2年目だったと思います。参加料について、4万円だったのを6万円にするっていうので、参加チームに対して説明会を開いたんです。ちょっと荒れ気味になるんですよね(笑)。「なんでこんなに上げるんだ!」って。
真田:それから、注目すべきは優勝旗ですね。旧丸ビル(1923年竣工、1997年解体)の刺繍が入っているんです。これいつから使っているかご存知でしょうか?
古井:確か第8回大会(1953年)だったと思います。それより前はもっとペラペラの旗だったんですが、それを第7回大会の優勝チームに渡して、旧丸ビル1階の刺繍屋さんに頼んで制作したようです。
真田:もう70年近く使われている旗なんですね。
古井:旗の真ん中の野球のボールの刺繍が珍しいみたいで、昔どこかのデパートで全国の優勝旗を集めた展示にも貸し出したらしいです。
山本:旗と一緒に毎年の優勝チーム名を記したペナントも作っているんです。いつもペナント製作をお願いしている方に聞くと、「この旗はもうそろそろ変えた方がいい」って。ペナントに記すチーム名の部分も刺繍になっていて、文字の型を職人さんが手作業で起こしていたんです。ただその職人さんが亡くなられてしまって、代わりにできる方がいないのでその技術が失われてしまったんですよ。これからはできるだけアナログに近いフォントをパソコンで選んで起こすんですが、「回」の文字なんかは旧書体で、今のパソコンでは出せないものもあるんです。
真田:そういう意味でもこの旗は長く使っていきたいんですが、なかなか保管が難しいですね。
古井:だいぶくたびれた感じになってきましたよね。
第80回大会に向けて
真田:第80回大会が近いので、何かやってみたいなとは思っています。
山本:以前の横浜スタジアムみたいに、決勝をそういう場所でやったら嬉しいでしょうね。
真田:東京ドームでも神宮でも横浜スタジアムでも…。
山本:球場も年々取りづらくなってきてるんですよね。お金を払えば済むということでもなくて。
真田:毎日新聞社さんにも協賛をいただいていますので、今日お話ししたような歴史みたいなものを記者さんに掘り下げてもらって記事にしてもいいですね。
山本:それこそ選手の中でもすごい古くから出ている人もいるかもしれないですしね。
最後に
真田:最後にお二人から何か伝えておきたいことがあればお願いします。
山本:とにかくこの大会を続けていって、盛り上げたいなと思います。コロナ禍で他の大会が中止になって、何人かから「もうここしかないんです」って言われた時は、「あぁ、続けてよかったな」と思いましたね。今年はコロナが明けて最初の年でしたけど、選手の皆さんがコロナの前よりも「野球やっててよかった」っていう表情でしたね。
休日にこうやって企業で集まって野球をするっていうのは、ただ余暇を楽しんでいるだけではなくて、意味のあることをやっているので、大会の形は変えずに、その新しい活かし方みたいなものを考えていけたら面白いのかなと思います。
大谷:普段の仕事ではない、スポーツを通じて交流できるというのはすごく大きな意味がありますね。
古井:昔の話ですけど、優勝チームと準優勝チームが同じビルのテナントだったので、大会が終わったあとも一緒に飲みに行った話も聞いたことがありますね。
大谷:ビジネスマンの交流って名刺交換から始まるじゃないですか。それ自体も良いんですけど、そうではない趣味やスポーツ、夜の時間帯の偶然の出会いみたいな、堅苦しくない場所から生まれる交流とかつながりは、緩やかだけど強いものになりますよね。野球大会もそういったものを演出する場所だと再認識するきっかけになりました。
山本:せっかくこれだけ色んな会社や部署の人が出てきているので、彼らは彼らで一生懸命野球をやってもらって、そこをうまくつなぐのが僕らの仕事かなと。
大谷:SNSで大会のことを調べると、「民間で一番大きな大会では?」とか「東宝ゴジラが勝ち進んでるよ」とか書いてあって。他の人から見ても一大イベントに映るので、そのインパクトを僕らも再認識していきたいですね。
福士:和気あいあいとしながらもこれほど長く続いているので、その雰囲気を社内に伝えつつ、会社内での野球部のプレゼンスを上げていけるようなお手伝いができるといいですね。チームに取材したりコメントを寄せてもらったりして、リガーレが発信する、みたいな。
山本:決勝戦を横浜スタジアムでやるみたいな企画はどちらかというと強いチーム向けになってしまうので、もっとたくさんのチームに向けたものも考えていかなければですね。
福士:負けたチームから選手を選抜してドリームチームとして編成して出場できる、みたいな仕掛けも面白いかもしれませんね。
山本:去年、真田さんが交流試合の企画をしていただきましたね。そういうのも大きい球場でやると面白いのかもしれないです。
注)2022年に、日本未来スポーツ振興協会vs野球大会参加企業混合チームの特別マッチを開催
髙山:企業混合でチームを作っても良いですよね。
山本:営業vs経理みたいな(笑)。
髙山:チームの色が出そうです。経理部の守備すごい!とか(笑)。
山本:営業部は全然守らないけど打ちまくる(笑)。
福士:普段はビジネスの第一線で活躍する皆さんなので、机上で戦略を立ててみたりするなど、少し違ったアプローチで交流してもらうのも面白いですね。
真田: あっという間の1時間半でした。引き続き野球大会を盛り上げていけるようによろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
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