県を代表する2001年発売のロングセラー、その味わいはどのようにして出来上がるのか

大分麦焼酎「西の星」誕生と製造の舞台裏──さわやかな味と香りの秘密を徹底解説

2024年07月05日 11時00分更新

深い味わいの秘訣は原料大麦・ニシノホシと減圧蒸留
さらに自社で汲み上げた地下水、オリジナル酵母を採用

 さて、ここからは製造の過程を探ってみましょう。

 焼酎づくりは原料処理から始まります。米と比べると、麦は麹菌が付着しにくい傾向にあるそうですが、ニシノホシは麦の中でも比較的やわらかいため、麹づくりにも適しているといいます。

 麹をつくるために、まず麦を水に浸して含有する水分量を増やし、続けて蒸すことで「でんぷん」をα化します。こうすることで、麹菌が繁殖しやすい状態になるのです。麹菌をまんべんなく散布したら、製麹機という特殊な機械の中で、厳密な温度管理をしながら40時間ほどかけて麹菌を繁殖させます。

大麦麹、水、酵母をタンクに入れて「一次もろみ」をつくります

 続いては麹を元に「もろみ」をつくっていきます。「一次仕込み」と呼ばれるこの工程では、前の工程でできあがった大麦麹に、水と酵母を加えて、専用のタンクに投入します。

 5日ほどかけて発酵させると、アルコール発酵に必要な酵母が増え、また麹菌由来のクエン酸を含んだもろみができます。ちなみに、使用する水は同社が地下から汲み上げた水で、酵母も同社が独自に開発した「いいちこ酵母」を使っているそう。原料となる大麦は共同研究で開発、酵母もオリジナル、そして水も自社の敷地から汲み上げる三和酒類……創作精神に溢れた企業の姿勢がうかがえますね。

一次もろみにさらに水、蒸した大麦・ニシノホシを加えて、さらに発酵させます

 一次仕込みでつくったもろみを「一次もろみ(酒母)」と呼びます。一次もろみに再び「水」と蒸した大麦・ニシノホシを加えて、さらに発酵させて「二次もろみ」をつくっていきます。

 この工程でも、厳密な温度管理が不可欠。それに加えて、棒で物理的にかき混ぜて酵母が働きやすい環境を保つ「櫂入れ(かいいれ)」と呼ばれる作業も、仕上がりに大きく影響します。

 続いて、いよいよ蒸留の工程に入っていきます。西の星では「減圧蒸留」と呼ばれる蒸留方式を採用しています。減圧蒸留とは、蒸留器内の気圧を下げて行う蒸留です。

 どこにメリットがあるのかというと、気圧が低くなれば沸点が下がるので、大気圧下の100℃よりも低い温度で蒸留が可能になるのです。三和酒類では40〜50℃で蒸留していて、加熱による影響が抑えられるため、口当たりの良い爽やかな飲み口を実現しているといいます。

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