「かわいい」と「カッコいい」が継承される秋田犬ふれあいスポットとねぶり流し館を訪ねて【秋田市の旅#2―伝統編】

 意外な名物から興味を引く観光スポットまで、東日本にはまだ知られていない魅力がたくさん。実際につなぐ旅編集部が東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポートします。今回は秋田県秋田市の旅をお届けします!

 東北の夏は短く、だからこそ夏祭りは各県から観光客が訪れて大変な盛り上がりを見せます。秋田の夏祭りは「竿燈まつり」。ニュースなどでは見たことがあるのですが、本物の竿燈もぜひ見てみたい。

 また、私は何を隠そう、私は大の犬好き。秋田犬は絶対に欠かせない!ということで、まずは張り切って秋田犬に会いに出掛けました。

アート編はこちらから、グルメ編はこちらから)

生後2カ月の秋田犬が可愛すぎるんですけど!!

あら~~~~~^^

 秋田犬ってキリッとまじめそうな顔つきなのに、もふもふの毛で親しみやすそうなところが良いですよね。くるりと巻き上がっているしっぽは大きいドーナツみたいだし、ふわふわで大きい手にもキュンとします。

 久保田城跡地の千秋公園では、2024年11月4日(月)までの期間、「秋田犬ふれあい処 in 千秋公園」という、誰でも秋田犬と触れ合うことができるというやばいイベントが開催されています。(年によって開催期間が異なるため、公式HPをご確認ください)

休憩時間があるので事前にチェックを

暑い日でしたがランナーが多い

 基本的にもてなしてくれる秋田犬は1頭ですが、イベント開催時などは2頭いることも。この日は普通の日でしたが、成犬の「銀光女(ぎんこうめ)号」と生後2ヵ月の子犬(名付け前)がスタンバイしていました。(もてなしてくれる秋田犬は日によって異なります)

こちらが銀光女号。ふれあい処に何度も出勤しているのでスタッフさんにも慣れた様子

子犬は歯がかゆいのか、ずっとおもちゃや冷却用ペットボトルをかじっていました。もう手が立派

ふれあい処の様子。左側に子犬、右側に銀光女号がいます

 秋田犬は天然記念物に指定されている日本犬6犬種のうち、唯一の大型犬。穏やかな性格で飼い主想いの犬種です。ふれあい処では秋田犬保存会のスタッフの方が訪れた人に説明をしたり、犬の体調や気分を見て触れていいかどうかの確認をしていました。私が訪れたタイミングでは体調も気分も大丈夫そうで、ケージ越しになでさせてもらえることに。もふもふでしっかりした立派な毛!

※触ることができる場合、ケージ越しになります。秋田犬の体調・気分によっては触れないこともあります

茶色い毛をめくると黒い毛が出てくる

 「ふわふわの毛の下に、アンダーコートといわれる少し硬い毛があるんですよ」とスタッフさん。二層の毛が空気を含むことで保温効果があり、寒い雪国でも元気に過ごすことができるのだそう。

 もともと秋田犬はマタギと一緒に獲物を追う狩猟犬でした。が、闘犬が盛んになったことで土佐犬などとの交配が進められ、本来の「秋田犬」の姿が失われてしまうと危惧されるように。そこで秋田犬保存会が設立され、「秋田犬標準」を制定したり品評会を開いたりして犬を保護し、現在に至ります。今の私たちが純粋な秋田犬に会うことができるのは、保存会の方々の努力のおかげなんですね。

「秋田犬標準」は「体高体長の比100対110」など厳しく定められています。現在2歳の銀光女号は今度品評会に出るそうで、立ち姿が凛々しい…

子犬の方は生後2カ月ということで元気があり余ってる!

私の足元にじゃれつき、そしてカメラ目線をくれました。鼻に草がついてる~

秋田犬ふれあい処 in 千秋公園
住所:秋田県秋田市千秋公園1(千秋公園二の丸)
HP:https://www.akita-yulala.jp/see/5000019278

毎年130万人以上が来場!東北の夏を彩る伝統の祭り

 もう一つ、秋田を代表するのが夏の「竿燈まつり」。毎年8月3日から6日までの4日間にかけて行われる祭りで、稲穂に見立てた竿燈(かんとう:たくさんの提灯がついた長い竹竿)が夜空を彩ります。私はニュースでは見たことがあったんですが、本物は見たことがないんですよね。

 取材のタイミングではちょうど祭りが終わった直後だったので、「秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)」で実際の竿燈を見ることにしました。

大きい!

この竿燈の差し手(竿を持つ人)の対象年齢は中学生。重さ30kg!?

 竿燈まつりは五穀豊穣を願う祭りで、江戸時代中期に始まったといわれ、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。祭りでは差し手と呼ばれる男性たちがこの竿燈を手のひらや額、肩、腰などに乗せてバランスをとる技を見せ合うのだそう。これはすごい迫力だろうなあ!

奥にあるのが成人用竿燈。この展示ホールは吹き抜けで3階部分まで高さがあるのですが、その天井に付くくらいの長さ

提灯の下部分には板があり、ここに火のついたロウソクを立てるのだそう。燃えないように気を遣いながらバランスをとってスゴ技を見せる差し手のみなさん、すごすぎ

 ミニ竿燈を体験できるとのことで、職員の嶋﨑一歩さんにコツなどを尋ねました。「園児用竿燈(幼若)は重さ5kgですが、体験用のミニ竿燈は1kgくらいですね。体の横に肘をつけて、赤い印(竿に印がついています)を見るようにするとバランスが取れると思いますよ」とのこと。

 実際にやってみたところ、この重さなら意外とできる…! 子どもの頃に手のひらに傘を乗せてバランスを取って遊んだことがある人ならコツがつかみやすいと思います。

竿燈は竿の先で重さが分散されているからなのか、「1kg」よりは軽い感じがする

2階、3階には竿燈まつりを含めた市内の民俗芸能についての展示がありました

秋田市だけでこんなに民俗芸能がある!

秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)
住所:秋田県秋田市大町1丁目3-30
HP:https://www.city.akita.lg.jp/kanko/kanrenshisetsu/1003644/

旅の中で垣間見えた、「伝統を大切に守ろう」という意識

 秋田犬を守ろうと活動する人々のおかげで今もこうして秋田犬に会うことができ、江戸時代から脈々と受け継がれてきたからこそ竿燈祭りが見られるんだなあ、と当たり前のことをしみじみ感じさせられました。いつか真夏の竿燈祭りを現地で見たい!

アート編はこちらから、グルメ編はこちらから)

郵便ポストの上に竿燈

街灯も竿燈型

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