エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀「大阪・関西万博2025をブラタマキ」 第2回

「大阪・関西万博」一番人気のイタリアパビリオンをガチ解説! カラヴァッジョの名画、ダ・ヴィンチの至宝が生で見られる! ミケランジェロ「復活のキリスト」もやってくるって!?

ファルネーゼ・アトラスの前で筆者

SNSから人気に火がついたイタリアパビリオン

 2025年大阪・関西万博を筆者が歩く連載の第2回は、大人気の「イタリアパビリオン」に行ってみた。

 エリアLOVEWalker総合研究所による、2025年4月28日~5月5日集計のXトレンド解析では、1位の「英国パビリオン」、2位の「大屋根リング」に続いて、3位がイタリアパビリオンとなっている。

 ただ、英国パビリオンはアフタヌーンのメニュー騒ぎなので、パビリオンとしてはイタリアパビリオンが一番人気といえよう(櫻井翔が大阪・関西万博の大屋根リングに登場! 5,000円アフタヌーンティーの“紙コップ騒動”も話題に)。

多くのファンが集まるイタリアパビリオン。屋上はイタリア式庭園になっていて、イータリーのレストランがある。Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

 イタリアパビリオンで大きな話題を集めているのは、一堂に会していることが奇跡ともいえる、紀元2世紀の彫刻「ファルネーゼ・アトラス」、カラヴァッジョの絵画「キリストの埋葬」、レオナルド・ダ・ヴィンチの素描、といった世界の至宝が展示されていることだ。

ティントレットによって描かれた「伊東マンショの肖像」が出迎える展示空間 Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

 また、屋上のイタリア式庭園やトリノで開業し世界中で人気を博すレストラン「イータリー」での食事なども喜ばれている。

 さらに、5月18日からミケランジェロの彫刻「復活のキリスト」の展示が始まり、閉幕する10月13日までパビリオンで観られるのだ。イタリア大好きの筆者もさっそく、人気パビリオンを訪れた。

展示室の全体

 今となっては予約を取るのも大変で、多くの人が並ぶパビリオンだが、最初から人気だったわけではない。

 きっかけになったのはSNS。開幕以来、訪れた一般のお客さんの口コミで、このパビリオンにとんでもないものが展示されていることが一気に広まったのだ。

 1970年の大阪万博はもちろん、2005年の愛・地球博の段階でも、2006年に始まったTwitter(現X)などSNSは本格始動していなかった。つまり、日本で初めてのSNSがある本格大型「国際博覧会」が大阪・関西万博なのだ。

ルネサンスの理想都市を現代的に再解釈したパビリオン

 イタリアパビリオンのテーマは「L’Arte Rigenera la Vita(芸術が生命を再生する)」。

 イタリアの伝統と最新技術を融合させ、ルネサンスの理想都市を現代的に再解釈したパビリオンは、建築家マリオ・クチネッラ、MCA(マリオ・クチネッラ・アーキテクツ)による設計で、木造3階建ての構造に「ピアッツァ(広場)」「テアトロ(劇場)」「ジャルディーノ(庭園)」が再現されている。

 さらには、イタリアはカトリック文化を背景に、生物の多様性や人間の個性を尊重する哲学、多様性(ダイバーシティ)、「全ての生物が生まれながらに性を持ち、多様性を互いに認め合うべき」という考え方をパビリオンで表現しているという。

夜のライトアップされた外観。Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

 万博会場のセービングゾーン(南東エリア)にあり、西ゲートからのアクセスが便利。“国宝級”のアートとしては、古代ローマの「ファルネーゼ・アトラス」、カラヴァッジョの「キリストの埋葬」、レオナルド・ダ・ヴィンチの直筆スケッチがあり、5月18日からは、ミケランジェロの「復活のキリスト」も展示される。

 最新技術としては、心臓移植などの先進医療技術のほか、持続可能な木造建築や最先端のデジタル技術も展示する。

 5月18日から展示されるミケランジェロ・ブオナローティ(1475年〜1564年)の『復活のキリスト』は、1514年〜1516年頃の製作で、。高さはおよそ205cmの大理石像。キリストの復活の瞬間を象徴し、右手に十字架を持つ姿で描かれる。大理石のなめらかな質感や布のドレープ、身体のやわらかさが特徴。普段はイタリア・ラツィオ州バッサーノ・ロマーノのサン・ヴィンチェンツォ・マルティーレ教会に安置されている。

 ミケランジェロの作品はルネサンスの芸術的革新を体現し、カラヴァッジョの『キリストの埋葬』やレオナルドの素描とともに、過去と現代の対話を表現している。ミケランジェロの彫刻は、解剖学的に正確な身体表現と大理石の繊細な質感が特徴だが、『復活のキリスト』は、キリストの静かな威厳と復活の瞬間をとらえ、ルネサンスの理想美を体現した傑作。生で見るのが楽しみでならない。

最新アートから古代ローマの名作まで
見どころ満載の展示を紹介!

 それでは、イタリアパビリオンの展示を紹介していこう。

■ヤゴ 『循環器系』

 ヤゴは心臓の鼓動を、科学的知識と技術的スキルから始まり、芸術的で感覚的な体験に変わる芸術作品に変えていく。このインスタレーションは、生命の継続的で無限のリズムを象徴するために円形に配置された30個の白い液体セラミックのハートで構成されている。

■オリアナ・ペルシコ 『pneumOS』

 この作品は、データを音に変換する5つのサウンド メンブレンと、都市の呼吸をシミュレートする呼吸バッグで構成されている。

Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

■ティントレット 『伊東 祐益 マンショ』

 1585年にドメニコ・ティントレットによって描かれた「伊東マンショの肖像」は、ミラノ・トリヴルツィオ財団コレクションのもの。この肖像画は、日本からの大使の訪問に際してヴェネツィア元老院の委嘱により制作されたもので、ヨーロッパにおける日本初の外交使節団「天正遣欧使節」を率いた若き貴族、伊東マンショが描かれている。

 53×43cmのキャンバスに油彩で描かれたこの肖像画には、東洋的な顔立ちの青年が、16世紀後半のスペインの流行を取り入れた優雅な服装で描かれている。

 この肖像画の展示は、マウロ・ベッローニとクロマズーのクリエイティブ・チームによって実現された没入型ビデオによってより豊かなものとなっており、イザベッラ・カスティリオーニ教授のチームとブラッコ財団のコーディネートによる修復の際に、作品に対して行われた診断調査を詳しく見ることができる。

 2025年大阪万博におけるカスティリオーニの存在は、革新と国際協力の文脈の中で、東洋と西洋の文化間対話における重要人物を再発見する機会となるだろう。

■ファルネーゼ・アトラス

 紀元2世紀の大理石彫刻。日本初公開であり、ナポリ国立考古学博物館の至宝。長いマントで覆われ、両手で肩の天球儀を持ち、猫背で膝を曲げたアトラスの姿が彫られている。ファルネーゼ・アトラスは、高さおよそ2メートル、重さ2トンもあり、科学的知識と巧みな芸術的技巧の融合を象徴している。

 アトラスが支える球体は、6mmの浅浮き彫りで精巧に彫られている。これは宇宙を象徴するもので、星座、星座、四方位、天と地が当時の理論に従って描かれている。天空を支えようとする巨人の努力を表現するという明らかな芸術的価値に加え、この作品には、何世紀にもわたって天文科学に影響を与えたもう一つの価値もある。

 というのも、天球上の星座の表現は、古代においてもっとも正確なものの一つなのだ。アトランテ・ファルネーゼでは、技術的・科学的知識が、普遍的な物語、巨人の労働への共感、作品の芸術性と融合しているといえる。

 人間の感性、発展、革新の間のつながりを求めることが大阪万博2025におけるイタリアのメッセージ。まさに、ファルネーゼ・アトラスが今回の旅に同行することになった理由だといえよう。

■レオナルド・ダ・ヴィンチ 『アトランティックコード』

 ミラノのヴェネランダ・アンブロジアーナ図書館所蔵の「アトランティックコード」から、厳選された4点の素描を展示している。これらは日本で初めての一般公開になる。来場者はレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の多才な才能(科学、技術、芸術、建築)を、直筆で間近で体感できる。

 イタリアパビリオンのテーマ「Art Regenerates Life(芸術は命を再生する)」に沿い、レオナルドの作品はルネサンスの芸術と科学の融合を象徴している。「アトランティックコード」はレオナルドが残した1119枚のシートからなるコレクションで、科学(解剖学、物理学)、技術(機械、飛行装置)、芸術(スケッチ)、建築(都市計画)など幅広い分野のメモや素描を含む。1637年以来、ヴェネランダ・アンブロジアーナ図書館が所蔵している。

 今回の展示は、ミラノ市とイタリアパビリオンの協力により実現した。レオナルドがミラノで活躍した時代(1482年〜1499年、1506年〜1513年頃)の文化的影響を強調し、ミラノが創造性とイノベーションの中心地であることを示している。

 レオナルドの作品は過去へのオマージュではなく、芸術・工学・科学の融合によるイタリアの革新性、そしてイタリアのダイナミックなアイデンティティーを世界に伝えている。

 厳選された4点は、万博期間中にローテーションで展示する。通常はミラノの図書館で厳重に保管されており、万博での展示は極めて稀な機会になる。

■イタリアちゃん

イタリアパビリオンのマスコットキャラクター「イタリアちゃん」

 イタリアちゃんは、イタリアパビリオンのマスコットキャラクター。

 もともと、イタリア(さかのぼればローマ帝国から)には、「イタリア・トゥッリタ(Italia turrita、砲塔のあるイタリアを意味する)」というイタリアを擬人化した女性として描く風習がある。砲塔がある(イタリア語で“トゥッリタ”)城壁の冠を頭上に頂いた若い女性の姿で表現されている。

 イタリアちゃんのオリーブの枝はイタリアの平和への意志を象徴し、国内和合と国際的な兄弟愛を包含している。一方、紋章の右側を縁取るオークの枝は、イタリア国民の強さと威厳を象徴している。

 イタリアちゃんの生みの親であるSimone Legno(シモーネ・レーニョ)は、tokidoki共同創設者兼チーフ・クリエイティブ・オフィサー。ローマに生まれ、幼い頃に絵を描き始めた。tokidokiブランドは2005年に設立され、ポップカルチャーのライフスタイル・シンボルとして国際的に認知されている。

 Tokidokiは日本語で「ときどき」を意味し、日本と世界の文化に対する彼の愛情を明確に表している。シモーネはこの言葉を選んだ理由について、「偶然であれ、特定の人との出会いであれ、誰もが運命を変える瞬間を待っている」からと語っている。

 なお、2025年バチカン市国での25年に一度の「聖年」イベントの新マスコット「ルーチェ」(光の意味)もデザインしており、そちらはイタリアパビリオン内の「バチカンパビリオン hosted by Italy」の公式キャラクターでもある。

■イタリアンガーデン

 万博のシンボルである大屋根リングから見えるイタリア館の屋上には、彫刻、噴水、芸術家と技術者によってデザインされた緑地などで彩られたイタリア式庭園がある。

 植栽の間にはフランチェスカ・レオーネ の『A rose, is a rose, is a rose』(2023年)を観られる。酸化され傷ついた金属板を使用した作品は、再生され、高貴になることにより、時間、芸術、環境の間の現代的な対話のメタファーとなっている。

夜のガーデン。Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

■イータリーレストラン

 イタリアパビリオンの屋上レストラン「イータリー」は、イタリア式庭園の印象的な眺望とともに、食事と文化を融合させたユニークな体験を提供する。各地の味を楽しむ本格的な旅を通して、イタリアの食とワインの伝統のすばらしさを伝える。

 前菜には、新鮮なトマトを添えたブラータチーズ、ミックススライス肉、季節のサラダ、ファーストコースには、トマトソースのスパゲット・イータリー、カッチョ・エ・ペペのパスタ、ペスト・トロフィエ、ボロネーゼのタリアテッレ、カルボナーラ・リガトーニなどがある。

 また、肉料理や魚料理のメインディッシュ、マルゲリータ、ディアボラ、カプリチョーザ、マリナーラなどの定番ピザ、ティラミス、シチリア風カンノーロ、パンナコッタ、アイスクリームなどの伝統的なデザートも豊富に取り揃えている。

 パビリオンに週替わりで出展する18のイタリア地域とのコラボレーションにより、郷土料理の生物多様性と特殊性を高める美食のストーリーテリングを通じて、さまざまな料理の伝統を味わえるのだ。

 イータリーは2002年11月、オスカー・ファリネッティが紙にスケッチしたアイデアから誕生した。質の高い食品を、リーズナブルな価格で、すべての人に提供できる場所を作るというコンセプトのもと、イタリアの生物多様性を称え、食べて、買って、学んでほしいと考え、5年間のリサーチとプランニングを経て2007年1月トリノに初のイータリーをオープンさせた。

 世界初のイタリアン専門の多機能マーケットプレイス「イータリー・トリノ・リンゴット」の誕生以来、イータリーはイタリア国内および世界各地に40以上の店舗を展開している。

Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

バチカン美術館のカラヴァッジョの名作
『キリストの埋葬』を観る

 「バチカンパビリオン hosted by Italy」は、イタリアパビリオン内に設置されている。「美は希望をもたらす」をテーマに掲げた館内では、愛、献身、信仰の変革の象徴となったカラヴァッジョの名作『キリストの埋葬』が展示されている。

 パビリオンのロゴはサン・ピエトロ大聖堂と日本の太陽を融合し、キリストを「世界の光」として表現している。この空間は、再生と団結の世界共通言語として、芸術と信仰を称えている。万博の歴史の中で初めてのバチカンの公式出展である。

 2025年は、聖年にあたる。ボニファツィオ八世が1300年に最初の聖年を(もともと100年の周期で、のちに聖書のモデルである50年に変更され、さらに25年に固定)制定して以来、カトリック教徒はこの祝いを、罪のゆるし、とくに神のいつくしみを十分に表現した免償によって特徴づけられる特別な恵みのたまものとして経験してきた。

 バチカン・パビリオンは、「希望の巡礼者」をテーマとする2025年の聖年と融合しながら、「Via Pulchritudinis」(美の道)を通して、希望と信仰を伝えていく。

■カラヴァッジョ 『キリストの埋葬』

 バチカン・パビリオンの中心的企画として、イタリアのバロック期の巨匠、カラヴァッジョ(ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。1571年〜1610年)の絵画『キリストの埋葬』の展示が実現した。

 カラヴァッジョの『キリストの埋葬』は、聖フィリッポ・ネリと彼が創立したオラトリオ会にゆかりの深い、ローマのサンタ・マリア・イン・ヴァリチェッラ教会(通称:キエーザ・ヌオーヴァ)の「ピエタの礼拝堂」のために制作されたもので、現在はバチカン美術館の絵画館に置かれている。

 教皇庁の情報ポータルのバチカン・ニュースによると、聖年中の司牧と行事を監督し、大阪・関西万博のバチカン・パビリオンの館長を務める教皇庁福音宣教省・世界宣教部門副長官サルバトーレ・フィジケッラ大司教や、バチカン美術館のバルバラ・ヤッタ館長らによる記者会見では、ヤッタ館長が「『キリストの埋葬』は、バチカン美術館が所蔵する唯一のカラヴァッジョの作品として、同館の絵画コレクションの中心をなす重要なものである」と強調。

 この作品のテーマがキリストの復活へとつながるという意味で、また、同時代人からもすでに高く評価されていたカラヴァッジョのこの絵画が、まさに「希望をもたらす美」を体現しているという意味で、同作品が聖年を背景とする期間に日本で展示される意味があると語ったという。

 『キリストの埋葬』は1602年〜1604年製作、サイズは300&×203cmで、油彩・キャンバス。キリストがゴルゴダの丘で十字架から降ろされ、遺体が準備される場面を描いた作品。

 登場人物が乗っている大理石の板は、エルサレムの聖墳墓教会に祀られている聖墳墓を思わせる。油が塗られ、亜麻布に巻かれたキリストの身体を置くために使用された。印象的な3人のマリアが描かれている。聖母マリアは左側、マグダラのマリアは中央、そして両手を上げて悲しむクロパのマリア。

 表現的には、カラヴァッジョの特徴であるキアロスクーロ(明暗法)が際立つ。キアロスクーロとは、絵画や版画などで、光と影の対比を効果的に用いて、立体感や空間の奥行き、そして作品の劇的な雰囲気を表現する技法。イタリア語で「明暗」を意味する「chiaroscuro」が語源になっている。

 光が当たる部分(キリストの身体、顔)と影のコントラストで、奥行きと感情の強さを表現。光の方向が明確で、絵に立体感とドラマを生んでいる。特にキリストの肌の青白さ(死を象徴)と他の人物の温かみのある肌の対比が、死と生のコントラストを強調している。このエリアには、実際のサン・ピエトロ大聖堂の鐘の音が流れている。

 同作品が来日するのは2度目。1989年の春から夏に国立西洋美術館と京都国立近代美術館で開催された「ヴァチカン美術館特別展」で展示された。2021年には国立新美術館でこの作品を中心とする展覧会が開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で輸送困難となり、中止となった。待望のチャンスだ。

宮崎駿監督の『紅の豚』の世界が
1970年の大阪万博に続いて夢洲に降臨した

 また、見逃せないのが、1920年にイタリア人パイロット、アルトゥーロ・フェラーリンがイタリアから日本まで飛行した「木造プロペラ機(アンサルド SVA-9)」の実物大レプリカ。

 フェラーリンという名前にピンときた人もいるだろう。そう、スタジオジブリ作品『紅の豚』でポルコの友人として登場したフェラーリンは、アルトゥーロ・フェラーリンから名前をとっているのだ。

木造プロペラ機(アンサルド SVA-9)の最終目的地は東京で、途中、複数の国で給油・整備を行ったが、この長距離飛行は当時世界記録だった

 同一機による欧州〜極東間の飛行に世界で初めて成功し、その雄姿を見ようと、到着した代々木練兵場(現在の代々木公園)には20万人もの群集が集まったという。同機は、ローマ〜東京間、およそ1万8千キロを109日間かけて飛行した。

 その後、フェラーリン機は日本に残され、東京九段にある靖国神社遊就館で展示されていたが、現存していない。極東飛行50周年となる1970年(昭和45年)には、この年に開催された大阪万博(吹田市)で、原寸模型がイタリア館で展示された。このレプリカは万博終了後、日本に移譲され、航空自衛隊の浜松広報館(エアーパーク)に展示されている。

 今回のレプリカは、オリジナルの技術図面に基づいて忠実に再現したものだ。ジョルジョ・ボナートが率いるノヴェを拠点とする工芸会社HangarFusinaによって、情熱を込めて精密なオリジナルの技術図面に従って製作された。万博では例外的に被覆材や機械部品を取り外した状態で展示されている。

 万博後には航空機が完成してテストされ、飛行可能になり、フェラーリンの歴史的な飛行を再現するために使用される。今度は反対方向、つまり東京からローマへ。

 木製の骨組みをむき出しにした構造で展示するのは、2つの意味がある。1つは、この万博とイタリア館の中心テーマである持続可能な材料の使用。もう1つは、その時代を象徴する計器類を取り除いたこのレオナルド・ダ・ヴィンチ風の形態の並外れた工芸品は、時を超え、ルネサンス期とつながった神話となるというものだ。

「ファルネーゼのアトラス」の向こうにアンサルド SVA-9が見れるのも、このパビリオンだけ。Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025 Osaka

パビリオンに入った時に見ることが出来るイントロ映像にもフェラーリンが。日本に到着してからは各地でおもてなしを受け、侍姿になった写真も残っている

【イタリアパビリオン公式サイト】
https://www.italyexpo2025osaka.it/

【大阪・関西万博公式サイト】
https://www.expo2025.or.jp/

この記事をシェアしよう

エリアLOVE WALKERの最新情報を購読しよう

この連載の記事

PAGE
TOP