エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀のまち散歩 第31回

15年をかけたJR御茶ノ水駅の改良工事も節目に 「エキュートエディション御茶ノ水」全面開業、神田川の絶景も楽しめる画期的なスポットだ!

遂に全面開業するJR御茶ノ水駅のエキュートエディション御茶ノ水。こちらは聖橋エントランス

御茶ノ水駅の改良工事もいよいよ佳境に

 JR東日本は15年をかけて、御茶ノ水駅の改良工事を進めてきた。

 御茶ノ水駅のバリアフリー整備と駅施設の改良工事は、2010年度末に建物撤去などの準備工事を開始し、2013年度初からは作業ヤードを確保するために神田川に仮設桟橋を設置する工事を進め、この年度から本格工事に入った。

 そして2025年5月14日、周囲の風景や地形を活かし、大学や病院、楽器店など独特の文化をはぐくむ立地を生かした「エキュートエディション御茶ノ水」の全面開業を持って、全容が明らかになった。

2階にオープンする猿田彦珈琲前の筆者

 なお、仮設桟橋の撤去には1年ほどかかる予定で、神田川をしっかり見れるようになるのは2026年になる。ちなみに、この年は江戸城の外濠開削390周年にあたる。神田川も人工的に造られた外濠の一部である。

 総武線で御茶ノ水駅から近い駅に住む筆者も、2025年5月12日のプレス内覧に駆けつけた。イベントや会議などでもよく訪れる、神保町や神田への玄関口。付き合いの深い神田明神への至近駅でもあり、改良工事を見守ってきた身からすれば、うれしくもあり感無量だ。

今回オープンする店などエキュートエディション御茶ノ水のお店一覧

ポスター

案内図

開放的な空間デザインが魅力の
エキュートエディション御茶ノ水

 エキュートエディション御茶ノ水は、JR御茶ノ水駅構内のエキナカ商業施設。コンセプトは「こころ、くらし、ととのう」。

 自然光が差し込む開放的な空間デザインで、神田川の景観を取り込み、都会にいながら水辺のリラックスした雰囲気を提供する。館内に植栽を配置し、神田川沿いの緑を引き込んだような空間を創りだしている。

 プレスリリースには、以下のようにコンセプトが説明されている。

 「オンもオフも日々変化する気持ちに寄り添い、自然に触れ、ちょうどいい自分に出会える場所。日々のストレス・疲れを、コーヒーブレイクで気分が『ととのう』ように…。心地良い景色と都会の自然に触れて、仲間と楽しい時間を過ごして、必要なもの・ちょっといいものが『ととのう』ように…。そんな想いを込めたコンセプト。特別感や非日常感ではなく、ちょっといい日常をすごすためのアクセントとなる場所を目指します」

 聖橋とお茶の水橋の間に位置し、2階から神田川の渓谷を眺められるオープンテラス「おちゃテラス」を設置している。聖橋口改札側と茗渓通り側の二方向からアクセスできる。

エキュート・シリーズの中でも窓が大きく取られ、おちゃテラスのようなテラス部分が多いのは新しい

おちゃテラス。形式を眺めながら座れるスツールもある

テラスからは神田川の渓谷や、対岸の大学病院、聖橋などが一望に出来る

 一方、コミュニティスペース「おちゃのば」は、御茶ノ水エリアの魅力を発信するスペースになる。

 近隣で作られるおよそ8種類のフリーペーパーが手に取れるようにしてあり、イラストレーター竹内俊太郎氏による「まちあるきマップ」も設置されている。

茗渓通りエントランスから2階へ進んだ場所に、御茶ノ水エリアの魅力を発信するコミュニティスペース「おちゃのば」が設けられた

竹内俊太郎氏の「まちあるきマップ」

 カプセルトイ・コーナーもあり、「おちゃのばカプセル」は、御茶ノ水エリアの見どころをアクリルキーホルダーに仕立て、カプセルトイとして購入することができる。 第一弾は、東京喫茶店研究所二代目所長の難波里奈さん監修の「純喫茶」特集。

「おちゃのばカプセル」(カプセルトイ)。内覧日は購入できず、残念

御茶ノ水駅の歴史をおさらい

 渓谷のようになっている神田川は徳川家康によって人工的に造られた川で、この工事を命じられたのが仙台藩の伊達政宗。仙台藩は牛込橋(現在の飯田橋)から和泉橋(現在の神田佐久間町)までの工事を担当した。これが現在の神田川の原型。その後、水路として拡幅され、現在の形になった。

 御茶ノ水駅は崖ぎりぎりのところにあるが、1895年(明治28年)に、新宿駅から飯田町駅(1999年廃止)まで延伸した甲武鉄道(現在の中央線新宿~八王子)が延伸を計画した際、道路への影響を避けることを東京市から要請されたためだ。

 このため、御茶ノ水駅は東西を聖橋とお茶の水橋、南北を茗溪通りと神田川に挟まれた狭隘な位置に立地することになり、バリアフリー整備などの工事は、非常に難易度の高い大規模な工事となった。そこで、神田川上空の仮設桟橋から施工をすすめる工事計画となった。

 2025年4月にオープンしたエキュート秋葉原同様、JR東日本の「Beyond Stations構想」(交通の拠点を超えて、ヒト・コト・モノがつながる暮らしのプラットフォームへ)の一環である。

 エキュートエディションは、「エキュート」のシリーズの中でも、特徴・強みを環境や利用シーン毎にカテゴリーを最適化して提供する新業態として”編集”という 意味を込めて「EDITION」=「版」というサブネームがつけられた駅で、他には渋谷、飯田橋、有楽町、新橋、横浜がある。

担当者ににエキュートエディション御茶ノ水のコンセプトを聞く!

 JR東日本クロスステーション・デベロップメントカンパニーの宮尾健吾氏に、エキュートエディション御茶ノ水のコンセプトを聞いた。

窓の外に神田川沿いの景色が広がる施設で語る宮尾健吾氏

 「この施設の狙いですが、『Beyond Stations構想』というのがありまして、駅をただの移動の場所じゃなくて、生活や文化のハブにしていこうという考えなんです。御茶ノ水は、秋葉原とはまた全然違う立地で、秋葉原だとITとかキャッシュレスとか、新しいチャレンジを試している施設なんですけど、御茶ノ水はもうちょっとスタンダードな感じです」

 「オフィスワーカーとか、学生さん、近隣の大学や病院で働く方、病院にお見舞いに来る方とか、そういう人たちをメインに考えています。『エキュートエディション』は秋葉原の『エキュート』とはちょっと違っていて、ブランドをミックスして、地域に合わせた感じでやっています。高級すぎるブランドは避けて、親しみやすくて選びやすいお店を揃えています」

 「御茶ノ水の特徴はやっぱり神田川です。聖橋とお茶の水橋の間で、茗溪谷とか鉄橋とか、景色がめっちゃいいんです。2階に「おちゃテラス」ってオープンテラスがあって、そこでコーヒー飲みながらボーッと川を見たりできるんですよね。館内も、植栽をいっぱい置いて、まるで神田川の緑をそのまま持ってきたみたいな雰囲気にしてます」

 「ガラス張りにして、外から見ても明るくて、夜は照明でまた雰囲気が変わるんですよ。地形的にもおもしろい場所なんで、春先とか晴れた日はほんと気持ちいいスポットになるんじゃないかなと」

 「また、コミュニティスペースの『おちゃのば』というのがありまして、御茶ノ水の地域の魅力を発信する場所なんです。フリーペーパー、まちあるきマップなどを置いて、地域の人が発行してる情報誌を無償で設置しています。そこから街に繰り出してほしい、と思っています」

 「川の向こうの湯島とか、神保町とか、昔からのマンションや一軒家に住む地域の人たちにも来てほしいです。いろんな人が集まって、日常に『ちょっといい』時間を提供できる場所にしたいのです。閉鎖的な空間にならないように考えていて、ガラス張りにしたことで、外から『何これ?』と楽しめる施設を狙っています」

カフェから雑貨店まで気になるお店をチェック!

 5月14日にオープンする7軒の中から、気になるお店を見てきたぞ。

■猿田彦珈琲(カフェ。2階)

 「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をコンセプトに掲げる東京・恵比寿発のスペシャルティコーヒー専門店。エキュートエディション御茶ノ水店は、店舗初となる秋葉原方向の眺望が楽しめるテラスが登場。

 自分たちの目と鼻と経験と味覚で厳選した最高品質のスペシャルティコーヒー豆は、コーヒー農園と良好な関係を築きながら直接調達(ダイレクトトレード)している。焙煎から抽出まで徹底的にこだわる。

 猿田彦珈琲が考える、その時期に一番おいしい1杯を届けるために、季節ごとにエスプレッソブレンドの配合を変更し、季節によって変わる風味豊かで旬な味わいを楽しめる。

猿田彦珈琲初のテラス席

カフェラテ越しの景色

 クロワッサンと珈琲のモーニングは500円ということで、猿田彦珈琲ではもっともリーズナブル。学生も多い同店ならではの価格だ。

 カフェラテ(濃口)/1杯 540円(テイクアウト)、550円(イートイン)。オープン記念で、一部商品が100円引きになる(5月14日〜20日)。

テラス席から見える秋葉原方面の景色

■ケンエレブンシツ(2階。雑貨・アート作品)

 最新のアート&カルチャーを発信する、ギャラリースペースを併設した雑貨ショップ。

 フィギュア・雑貨・書籍・アップサイクルなど、いろいろなジャンルが混ざっており、「アート的に面白いモノ」が集積している。ふらっと来て、ちょっと遊んで、また戻りたくなる。 ケンエレブンシツは、好奇心をくすぐる“面白い部屋”。

■FARM8 STAND(2階。発酵スタンドバー)

 日本一酒蔵が多く、モノづくりのまちでもある新潟県からやってきた。たくさんの銘柄から自分好みを見つけることができる日本酒飲み比べ「SAKE SPOT」。

 日本酒の町ならではの上質な酒かすを新潟県の技術でおいしく取り入れやすくした、オリジナルのテイクアウトドリンク「Hacco to go!」がおもしろい。燕三条のすぐれた技術を体験できる「燕三条クラフト」もおすすめ。新潟県のおいしいもの・優れた技術を体験し、暮らしに取り入れられる店だ。

 オープン記念で、新潟県の純米大吟醸酒かす(500g入)を各日100個限定で100円で販売する(1人につき1個限り)。5月14日〜16日の3日間限定。

■ゴンチャ(1階。アジアンカフェ)

 「ゴンチャ(Gong cha)」は台湾発祥。世界で2300店以上展開するグローバルティーカフェ。上質な茶葉を使用し、抽出時の湯温や抽出時間にこだわり、店舗でていねいにティーを淹れている。

 人気のミルクティーをはじめ、茶葉本来の味わいと香りにこだわった上質なティーメニューの数々を、気分に合わせたカスタマイズでカジュアルに楽しめる。

■とんかつ まい泉食堂(2階。とんかつ・丼)

 「箸で切れるやわらかなとんかつ」のまい泉が、こだわりのとんかつと丼を届ける。

 満足のいくボリュームとやわらかさが自慢の「とんかつ膳」、定番の「かつ丼」はもちろん、揚げ物3種類を特製ソースをたっぷりかけて盛り付けた「まい盛り丼」、まい泉オリジナルスパイスソルトを使用しさっぱり食べられる「塩ヒレかつ丼」などバラエティ豊かなメニューが楽しめる。テイクアウトの弁当類も充実。

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