love walker ロゴ

  • Xアイコン

東京メトロ有楽町駅の地下通路に突如現れる謎の「たぬき」スポットがあるワケ

2025年06月13日 12時10分更新

 丸の内エリアの古き良きレトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。25回目となる今回からは、昔から街なかにある、でも、実は詳しくは知らないかも? といった、ちょっと気になるレトロスポットをご紹介します。丸の内に何度も通っていても、まだまだ知らないことがたくさんあるんですよね~。

滋賀県からやって来た特産品のたぬきたち。かわいすぎる表情や癒やされる~

 先日、東京メトロ有楽町線の地下コンコースを歩いていたら、謎の物体に遭遇しました! 人々が足早に行き交う通路に突然現れる、たぬきの軍団です。これ、、、なんでしょう?? 木の柵に囲まれたスペースに、たぬきがぎっしり! その名も「ぽん太の広場」です。

何気なく通っていた地下コンコースですが、前方に何やら不思議なスペースが!

通路の一角に、たぬきの置物が大集合しています!

 これ、滋賀県の伝統工芸・信楽焼の代名詞でもある、たぬきの置物だそうです。大小さまざまなサイズで、笠をかぶったおなじみの姿のたぬき、忍び装束をまとった忍者たぬき(滋賀県は甲賀忍者が有名だからですね!)、福鬼のかぶとをかぶった福鬼たぬき、寝っ転がっているたぬき…と、ポーズも表情も1体ずつ全て違っていて、かわいいー!

忍者のポーズもばっちり決まっています(笑)。背中には刀も!

福を呼ぶ鬼「福鬼」の赤いかぶとをかぶったたぬきは、ちょっぴり険しい表情です

 信楽焼のたぬきの置物は以前も見たことがありますが、こんなにたくさんの種類を見るのは初めて。いろいろあるんですねー。どれもユーモラスな姿かたちで、眺めているとなんだか心が和みます。

「開運」の札を持つたぬきも! くりくりのおめめがかわいすぎる…!

 数えてみたところ、柵の中にいるたぬきは12体。よく見ると、フクロウ3羽、カエル3匹、亀3匹、そして、犬1匹もこっそり紛れ込んでいました(笑)。信楽焼のたぬきの置物は、商売繁盛や開運、金運などをもたらす縁起物として古くから親しまれています。「他を抜く」という語呂合わせから、商売で競争相手を出し抜いて成功することを願う縁起物でもありますが、フクロウやカエルも吉祥のシンボルです。縁起のいい生き物たちが一堂に会しているというわけですね。これは、いいことがありそう♪

たぬき以外の動物たちの表情もユーモラスです

 また、信楽焼のたぬきの置物にまつわる「八相縁起」の説明が書かれた札も立てられていました。信楽焼のたぬきが身に着けている笠や徳利、通帳のほか、特徴ある太鼓腹などには8つの縁起が込められているそうですよ。

ここでは「狸相八訓」として紹介されています

有楽町駅に住み始めて37年。その始まりは謎がいっぱい

 ところで、なぜこんなところに、こんなにたくさんのたぬきがいるのでしょう? 1988(昭和63)年12月に滋賀県から2匹が“移住”してきたそうですが、「当時の駅長が呼んできた」「駅のご近所の方が呼んできた」など諸説があり、詳細はわかっていません。案内板には「ぽん太が有楽町を気に入ってしまったみたいです」と書かれていたので、それはそれでファンタジーのままにしておくのもいいかもしれませんね!

ぽん太たちのふるさと、滋賀県の信楽町にいつか行ってみたいです!

老舗の名物「冷やしたぬきそば」を味わって「たぬきツアー」完了!

 たぬきといえば、丸の内に「冷やしたぬきそば」が看板メニューのそば店があるそうなので、立ち寄ってみることにしました。題して「大丸有たぬきツアー」です(笑)。お店は、JR東京駅の八重洲北口を出てすぐの「鉄鋼ビルディング」(東京都千代田区丸の内1-8-2)の地下1階にある「阿さま」です。

丸の内で約半世紀続く老舗のそば店です

 訪れたのは13時過ぎで、3名ほどの行列ができていました。店内は満席。近隣で働く人たちのランチスポットのようです。木の温もりを感じられる店内にはカウンター席や小さめの2人席などがあり、1人でも気兼ねなく入れます。

夜は手作りの一品料理も豊富にそろい、日本各地の日本酒や焼酎と楽しめます

 そばは温・冷があり、冷たいそばの「つけカレー」1,000円や、「天丼(小冷やしたぬき付き)」1,200円もとっても魅力的だったのですが、ここは名物の「冷やしたぬき」810円、一択で! 「冷やしたぬき」が名物って珍しいですよね。どんななんだろう~?

冷やしたぬき820円。そば湯も出してくれます

 丼いっぱいのけっこうな大盛りに、まずびっくり(笑)。そばの上に薬味の長ネギではなく玉ネギのスライスと、いわゆる天かすというより、細かい揚げ玉がたっぷりのっています。この「冷やしたぬき」のために作る特製なんだそうですよ。この揚げ玉がサクサクと軽い口当たりで、雪のように細かいのでコシのあるそばによく絡むこと! そして、シャキシャキの玉ネギがいいアクセントとなって、さっぱり食べられます。長ネギの薬味より優しい味わいで、これはいいですねー。最後に、ほのかな甘みがあり、ダシが香るつゆをそば湯で割って飲み干して、大満足の「大丸有たぬきツアー」でした!

 ということで、第25回の「ぽん太の広場」のレポートはおしまい! 次はどんな「レトロ」に出合いに行こうかな~。

横浜生まれ、横浜育ち。おいしいものと旅が大好きなオカダです!

ぽん太の広場
住所:東京メトロ有楽町線 有楽町駅 地下コンコース D1出口(現在閉鎖中)付近
時間:東京メトロ有楽町線 有楽町駅の始発~終電時間
料金:なし(見学自由)

この記事をシェアしよう

丸の内LOVE WALKERの最新情報を購読しよう

この連載の記事