丸の内エリアの古き良きレトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。25回目となる今回からは、昔から街なかにある、でも、実は詳しくは知らないかも? といった、ちょっと気になるレトロスポットをご紹介します。丸の内に何度も通っていても、まだまだ知らないことがたくさんあるんですよね~。
滋賀県からやって来た特産品のたぬきたち。かわいすぎる表情や癒やされる~
先日、東京メトロ有楽町線の地下コンコースを歩いていたら、謎の物体に遭遇しました! 人々が足早に行き交う通路に突然現れる、たぬきの軍団です。これ、、、なんでしょう?? 木の柵に囲まれたスペースに、たぬきがぎっしり! その名も「ぽん太の広場」です。
これ、滋賀県の伝統工芸・信楽焼の代名詞でもある、たぬきの置物だそうです。大小さまざまなサイズで、笠をかぶったおなじみの姿のたぬき、忍び装束をまとった忍者たぬき(滋賀県は甲賀忍者が有名だからですね!)、福鬼のかぶとをかぶった福鬼たぬき、寝っ転がっているたぬき…と、ポーズも表情も1体ずつ全て違っていて、かわいいー!
信楽焼のたぬきの置物は以前も見たことがありますが、こんなにたくさんの種類を見るのは初めて。いろいろあるんですねー。どれもユーモラスな姿かたちで、眺めているとなんだか心が和みます。
数えてみたところ、柵の中にいるたぬきは12体。よく見ると、フクロウ3羽、カエル3匹、亀3匹、そして、犬1匹もこっそり紛れ込んでいました(笑)。信楽焼のたぬきの置物は、商売繁盛や開運、金運などをもたらす縁起物として古くから親しまれています。「他を抜く」という語呂合わせから、商売で競争相手を出し抜いて成功することを願う縁起物でもありますが、フクロウやカエルも吉祥のシンボルです。縁起のいい生き物たちが一堂に会しているというわけですね。これは、いいことがありそう♪
また、信楽焼のたぬきの置物にまつわる「八相縁起」の説明が書かれた札も立てられていました。信楽焼のたぬきが身に着けている笠や徳利、通帳のほか、特徴ある太鼓腹などには8つの縁起が込められているそうですよ。
有楽町駅に住み始めて37年。その始まりは謎がいっぱい
ところで、なぜこんなところに、こんなにたくさんのたぬきがいるのでしょう? 1988(昭和63)年12月に滋賀県から2匹が“移住”してきたそうですが、「当時の駅長が呼んできた」「駅のご近所の方が呼んできた」など諸説があり、詳細はわかっていません。案内板には「ぽん太が有楽町を気に入ってしまったみたいです」と書かれていたので、それはそれでファンタジーのままにしておくのもいいかもしれませんね!
老舗の名物「冷やしたぬきそば」を味わって「たぬきツアー」完了!
たぬきといえば、丸の内に「冷やしたぬきそば」が看板メニューのそば店があるそうなので、立ち寄ってみることにしました。題して「大丸有たぬきツアー」です(笑)。お店は、JR東京駅の八重洲北口を出てすぐの「鉄鋼ビルディング」(東京都千代田区丸の内1-8-2)の地下1階にある「阿さま」です。
訪れたのは13時過ぎで、3名ほどの行列ができていました。店内は満席。近隣で働く人たちのランチスポットのようです。木の温もりを感じられる店内にはカウンター席や小さめの2人席などがあり、1人でも気兼ねなく入れます。
そばは温・冷があり、冷たいそばの「つけカレー」1,000円や、「天丼(小冷やしたぬき付き)」1,200円もとっても魅力的だったのですが、ここは名物の「冷やしたぬき」810円、一択で! 「冷やしたぬき」が名物って珍しいですよね。どんななんだろう~?
丼いっぱいのけっこうな大盛りに、まずびっくり(笑)。そばの上に薬味の長ネギではなく玉ネギのスライスと、いわゆる天かすというより、細かい揚げ玉がたっぷりのっています。この「冷やしたぬき」のために作る特製なんだそうですよ。この揚げ玉がサクサクと軽い口当たりで、雪のように細かいのでコシのあるそばによく絡むこと! そして、シャキシャキの玉ネギがいいアクセントとなって、さっぱり食べられます。長ネギの薬味より優しい味わいで、これはいいですねー。最後に、ほのかな甘みがあり、ダシが香るつゆをそば湯で割って飲み干して、大満足の「大丸有たぬきツアー」でした!
ということで、第25回の「ぽん太の広場」のレポートはおしまい! 次はどんな「レトロ」に出合いに行こうかな~。
ぽん太の広場
住所:東京メトロ有楽町線 有楽町駅 地下コンコース D1出口(現在閉鎖中)付近
時間:東京メトロ有楽町線 有楽町駅の始発~終電時間
料金:なし(見学自由)
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