都内屈指の最恐スポット⁉ 数多の祟り伝説が残る「将門塚」にお参りするってどんな人?
2025年07月18日 13時00分更新
丸の内エリアの古き良きレトロなスポットを巡り、魅力を深掘りする本連載。今回は、これまであまり紹介してこなかった大手町エリアへ行ってみました。大手町といえば、高層ビルが立ち並ぶ、東京きってのオフィス街ですね。「レトロ」なイメージってあまりないような…。
オフィスビルの間に突如現れる、緑あふれる神聖なスポット
ビルの合間をぶらぶら歩いていると、木々に囲まれた空間に石碑などが立つ一角に出合いました。スーツ姿のビジネスマンや観光客風の女性2人組などが次々と訪れて参拝しています。あれ、なんだろ、ここ? このあたりだけそよそよと風が吹き渡るようで、周囲のビル群とは明らかに異なる雰囲気が漂っています。
入口に立つ石碑に刻まれているのは「将門塚」の文字。「将門」って、あの平将門? 歴史に疎い私でも(笑)、この名前はもちろん知っています。平安時代に活躍した有名な武将ですよね!
三方を緑に囲まれたこの場所は、その平将門の首を祀る首塚なんですって! えー、こんな大手町の一等地に⁉ 「首塚」と聞くと、なんだかオカルトチックでゾクッとしますが、東京都指定名跡にもなっているようです。なぜこんなところにあるのでしょう…?
平将門は、平安時代中期に活躍した武将で、関東地方の政治改革に尽力し、民衆から厚い信頼を得ていたといいます。ですが、さらなる政治の革新を図ろうと時の朝廷に反逆。大規模な反乱「天慶の乱(平将門の乱)」を起こし、戦いの末、940年に討死しました。一説には享年38歳だったとか。若いですね…。戦いに敗れた平将門は京都・平安京の七条河原でさらし首になったそうです。
京都から飛んできたさらし首! 恐ろしい祟り伝説が伝わるも今では大手町の守り神に
さて、本題はここからです。なんとその3日後、その首は大地を鳴動させながら、白い光を放って夜空に飛び去り、落ちたのがこの場所だと伝えられているのだとか! 私は、平将門がかつて活躍した関東に戻って来たかったのかな、なんて思いました。
その後、彼にゆかりのある人々によって首はこの地に納められ、墳墓が築かれたのが、この「将門塚」の由来なのだそうです。大手町にこんな伝説があったんですね~、びっくりです!
伝説はまだ続きます。その後13世紀になると首塚は荒廃してしまい、周辺では水害などの天変地異がたびたび起こるように。「怒った平将門の怨霊が江戸の民を祟っている」と言い伝えられるようになりました。これは怖い…。
1307(徳治2)年、時宗の僧・真教上人によって手厚く供養されると、平将門の霊魂はようやく鎮まり、この地の守護神となったそうです。塔婆に刻まれた「蓮阿弥陀仏」の文字は上人が贈った法号で、当時作ったと伝わる板碑の拓本から取ったものだとか。今では都内有数のパワースポットともいわれているそうで、多くの人が参拝に訪れるのも納得です。
実は…、平将門の祟り伝説はこのほかにもたくさんあります。当時の首塚は、1923(大正12)年の関東大震災で倒壊しましたが、その後、この場所で不自然な事故や災害が次々と起こっているんです。
例えば、明治時代に将門塚の跡地に旧大蔵省が仮庁舎を建てようとしたところ、工事関係者や職人に不幸が相次いだり、時の大蔵大臣が急死したり、庁舎が落雷に遭って火災で焼失したり…。戦後も、焼け野原となったこの地をGHQが区画整理しようとすると、重機が横転したりも。うわー、鳥肌が立ってきました。
結局、大蔵省の仮庁舎は取り壊され、GHQの計画も白紙に戻り、首塚は復元されて残ることになったとか。私は霊的なものは全く感じないタイプですが、こんなに多くの不思議な話を聞くと、さすがにゾクゾクしてしまいます。
でも、私は平将門の恨みを買うようなことはしていないから、祟られるようなことはないはず!(笑)。むしろ、それだけ強い影響力やパワーを持つ神様だと信じて、心静かに手を合わせてきました。
首塚とカエル像の実に「大手町な関係」
と、様々な伝承を持つ将門塚ですが、塚の両脇にはなぜかカエルの像があるんです。
カエルの像は、京都から平将門の首が飛んで帰った伝承にちなんで、左遷や遠方へ異動となっても、いつかは本社に「無事帰る」と祈願されるという、ビジネス街である大手町らしい理由で祈願されることが多いとのことですが、このカエルの像がここに置かれたきっかけもすごい。
1980年代、某大手総合商社の海外支店長が現地でトラブルに巻き込まれるという事件があったそう。カエルの像は支店長の無事帰還を祈って奉納され、その御利益もあってか無事に解放されたそうです。
祟りっぽい伝説だけじゃなく、こういったご利益のある話もあるんです。
街を見守り続ける平将門を奉る昔ながら神事も
将門塚のある場所はもともと、現在はJR御茶ノ水駅の近くにある、江戸の総鎮守として知られる「神田神社(神田明神)」創建の地だそうです。神田神社は、平将門を祭神の一柱としてお祀りしていることから「一般社団法人 史蹟将門塚保存会」を主宰。平将門の神霊を奉り、塚の保存活動のほか、江戸時代から続く神事を執り行っています。
平将門の命日である2月14日には、法要が営まれ、2025年でなんと1086回忌だそう。この数字を見るだけでも、長きにわたって人々に崇敬されていることがよくわかりますね。
毎年5月には祭神・平将門命(たいらのまさかどのみこと)が乗る「将門塚保存会大神輿(通称 将門神輿)」が塚の周辺を練り歩きます。2005(平成17)年に新調された入母屋造り、台輪寸法3尺5寸 (約106cm)の大神輿だというから、これはぜひ見てみたいですね!
都心のコンクリートジャングルの合間に1000年以上も鎮座し、人々に畏怖される「将門塚」。そこは平将門の力強いパワーに満ちあふれた、まさかのスピリチュアルスポットでした。近くを通りかかったときは、ぜひ参拝してみてくださいね。
ということで、第26回の「将門塚」のレポートはおしまい! 次はどんな「レトロ」に出合いに行こうかな~。
将門塚
住所:東京都千代田区大手町1-2-1
時間:24時間参拝自由
料金:なし
電話:03-3254-0753(神田神社社務所内 一般社団法人 史蹟将門塚保存会 事務局)
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