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東京駅から有楽町駅に架かる美しい煉瓦アーチ造りの「新永間市街線高架橋」は山手線と共に100年をつなぐ

2025年11月07日 12時00分更新

新永間市街線高架橋の構造とデザイン

 建設当時の高架橋は、複々線構造で中央に長距離列車、外側に近距離列車を通す設計。煉瓦アーチが地上階の空間を支える構造となっており、内部空間の有効利用や基礎への負担軽減など優れた力学的仕組みを備えています。レンガは赤色を基調とし、側壁には石材による装飾やモールディングが施されており、重厚さと華やかさを兼ね備えたデザインとなっています。

 当時、鉄筋コンクリート技術もまだ黎明期であり、都市部に長大な高架橋を築くことは挑戦的な試みでした。新永間市街線高架橋では、煉瓦アーチを連続的に積み上げる工法を採用し、職人の精緻な手仕事によって施工されました。ドイツ・ベルリンの市街線高架橋をモデルにしたといわれ、都市景観と鉄道機能を融合させた先駆的なインフラとして高く評価されています。

 また、アーチ下の空間は早くから倉庫や商店、飲食店として活用され、現在も「東京駅~有楽町駅高架下商業施設」、有楽町駅以南・日比谷方面に続く「日比谷OKUROJI」などの形で再生されています。高架橋そのものが都市文化の器となり、鉄道遺産でありながら“まちづくりの舞台”として息づいている点が、新永間市街線高架橋の最大の魅力です。

レンガのアーチ橋高架と緑の鉄橋がレトロな雰囲気の有楽町駅

有楽町駅南側のアーチ橋の様子。建設当時の面影を残しつつも、耐震面からアーチの下を鉄筋コンクリートボックスラーメン構造で補強した「RC内巻補強」が施されている

アーチ橋の接続部にはかわいらしい小さなドアがついていた

円盤型の装飾「メダリオン」の跡

アーチの内側には黒い化粧レンガでアクセントが設けられている

基本的にはレンガのアーチによる高架橋となっているが、道路と立体交差する架道橋部分は、鉄橋となっている

架道橋部分の橋脚は鋼製のものが使用されており、時代を感じる

現代のものとは異なり、接続部分にはリベットが用いられていたり、柱頭飾りがついていたりする

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