丸の内を歩くのはなぜ気持ちいい? 皇居前の特等席「丸の内二重橋ビル」が守り抜いた“100尺の美学”
2025年12月05日 12時00分更新
高層ビルや歴史的建造物など、丸の内の建築群を現場のレポートを交えながら紹介する連載「丸の内建築ツアー」。今回は、イルミネーションがきらめく丸の内仲通りを南へ進んだ先に位置する「丸の内二重橋ビル」についてご紹介します。
丸の内二重橋ビルのデザイン
丸の内二重橋ビルは、東京都千代田区丸の内三丁目に建つ地上30階、地下4階、高さ150.00mの超高層複合ビルで、皇居外苑に面する一等地に位置しています。旧「富士ビルヂング」「東京商工会議所ビル」「東京會舘ビル」の跡地を一体的に建て替えるプロジェクトとして計画され、敷地は都市再生特別地区に指定。2015年11月16日に着工、2018年10月15日に竣工しました。歴史ある東京商工会議所と東京會舘を再び低層部に配置し、丸の内の“格式”と“華やかさ”を継承しながら新しい都市機能を備えています。
建物のデザインは、皇居前の日比谷通りにふさわしい100尺(約31m)の軒線を維持しつつ、重厚な石張りの基壇部とガラスファサード及び水平垂直のマリオンやフィンの組み合わせを基調とする高層部で構成。周辺街区と連続するスカイラインを形成し、丸の内らしい上質な景観を演出しています。内部では、高天井のエントランスや大判石材を用いた仕上げにより、格調高い空間を形づくっています。また、非常用発電設備の拡充や重要設備の地上配置のほか、粘性制震壁や座屈拘束ブレースといった制振装置をコアに設置するなど、防災性能やBCP機能も強化されています。地下には「丸の内仲通り下の洞道(SUPER TUBE)」が整備され、有楽町エリアへ熱・非常用電力を供給する面的エネルギーシステムを構築するとともに、東京駅〜有楽町を結ぶ地下歩行者ネットワークにも接続。京葉線東京駅とは2020年に直結しました。
施設構成は多様で、地下1階〜地上2階には商業エリア「二重橋スクエア」が入り、日本初進出を含む25店舗が並び、テラス席やアート配置による回遊性の高い空間が広がります。東京商工会議所は1・5・6階に入り、大ホールや会議室群を備え、MICE機能を強化。東京會舘は地下1階・1〜4・7階に入り、宴会場や結婚式場、複数のレストランを備える“社交の殿堂”として再生しました。さらに5〜6階は国際会議誘致や情報発信の拠点として海外メディアのプレスクラブなどが入っています。
8〜30階はオフィスフロアで、1フロア約900坪の無柱空間を実現。21階にはサービス付き小規模オフィス「The Premier Floor」を設置し、皇居ビューのラウンジや会議室、コンシェルジュを備えた高付加価値オフィスを提供します。丸の内エリアの歴史と品格を引き継ぎつつ、ビジネス・商業・国際交流を支える複合拠点としてアップデートされたランドマークが、丸の内二重橋ビルです。
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