オフィスや商業施設のイメージが強い丸の内。実は、この街には、静かに日本美術と向き合える場所があります。重要文化財・明治生命館の一角にある静嘉堂文庫美術館です。
国宝《曜変天目》をはじめ、東洋古美術の精華が揃うことで知られている静嘉堂コレクション。丸の内の中心にありながら、展示室に一歩入ると、時間の流れがすっと変わる。その感覚こそが、静嘉堂文庫美術館の大きな魅力です。2026年も、静嘉堂らしい確かな軸をもった展覧会が続きます。
春は、「食」と「茶」から始まります。
「美を味わう―懐石のうつわと茶の湯」(4月7日~6月14日)では、茶事のもてなしとして供される懐石のうつわに注目します。日本の器に加え、中国、朝鮮半島、ベトナム、オランダ製の器までが並び、懐石という文化が国境を越えた美意識の上に成り立っていることが見えてきます。利休や秀吉ゆかりの茶道具とともに、国宝《曜変天目》が出展される点も見逃せません。器を通して、茶の湯の空間そのものを味わう展覧会です。
夏は一転して、江戸のにぎわいへ。
「元禄!師宣劇場―十二ヶ月風俗図巻 大公開」(6月27日~8月23日)では、菱川師宣による《十二ヶ月風俗図巻》を中心に、元禄期の風俗画が集結します。庶民の暮らし、遊び、季節の移ろいが、細やかな筆致で描かれた長大な絵巻は、眺めているうちに自然と時間を忘れてしまいます。丸の内にいながら、江戸の一年を旅するような体験ができる展覧会です。
秋は、手の仕事の力強さに触れる時間です。
「民藝SHOCK!!―没後60年 静嘉堂の河井寬次郎」(9月5日~11月8日)では、河井寬次郎の作品51件を一挙公開します。あわせて展示される中国・朝鮮の古陶磁からは、寬次郎が何を見つめ、何を受け取ってきたのかが立体的に伝わってきます。「用の美」という言葉の奥行きを、あらためて考えさせられる展覧会です。
年末から年始にかけては、少し不思議なテーマが待っています。
「THE MASKS 仮面に魅せられた人々」(11月21日~2027年1月17日)では、伎楽面、能面、木鬼面などを通して、人が仮面に惹かれてきた理由を探ります。造形の迫力だけでなく、仮面を蒐集し、写し、守ってきた人々の眼差しに焦点を当てている点が印象的です。
そして春の訪れとともに。
「おひなさまと浮世絵の源氏絵―岩﨑夫人が愛した品々」(2027年1月30日~3月28日)が開催されます。岩﨑彌之助夫人・早苗、孝子ゆかりの雛人形と源氏絵を通して、美術品が単なる鑑賞物ではなく、暮らしの中で愛でられてきた存在であったことを静かに伝える展示です。
静嘉堂文庫美術館での鑑賞体験は、展示室を出たところで終わりません。同じ建物である明治生命館には「明治安田CAFE 丸の内」もオープンし、重厚な近代建築の空間を味わいながらひと息つける場所が生まれました。丸の内散策の途中で立ち寄り、展覧会で見た器や絵画、造形の余韻をゆっくり反芻する時間は、この立地ならではの楽しみ方です。
「明治安田CAFE 丸の内」紹介記事
https://lovewalker.jp/elem/000/004/356/4356905/
さらに、展示室を出た先のミュージアムショップも見逃せません。所蔵品をモチーフにした静嘉堂オリジナルグッズは、曜変天目のきらめきを想起させるデザインや、器や文様の美しさを生かしたアイテムなど、ここでしか手に入らないものばかりです。鑑賞の記憶を、日常の中でそっと思い出させてくれる存在といえるでしょう。
ミュージアムグッズ紹介記事
https://lovewalker.jp/elem/000/004/142/4142744/
2026年の静嘉堂文庫美術館は、丸の内を歩く一日の途中で、ふと足を止め、日本美術と向き合う時間をつくってくれる場所です。展覧会に加え、カフェやショップまで含めて、街歩きの流れの中で無理なく立ち寄れる点が、明治生命館という場所性と響き合っています。
静嘉堂文庫美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL:https://www.seikado.or.jp/
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