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【連載/妄想散歩】西新宿をたずねて3000歩 Vol.1~はるかぜは一匹の犬とともに~

 毎週金曜日にお届けする「西新宿にきゅんとし隊!」では、西新宿にオフィスを構える小田急エージェンシーで働く広告人7人が、それぞれのテーマで西新宿での過ごし方をお伝えします。

 今週は、私「海礫刃太郎」が、「西新宿をたずねて3000歩 Vol.1~はるかぜは一匹の犬とともに~」を届けします。

 前回の記事はこちらです。

【連載/西新宿の映えを探せvol.1】ニューフェイスの冷凍チーズケーキ現る!

※過去の連載記事はこちら:西新宿にきゅんとし隊!

 突然ですが、皆さんは「8000」という数字を見て何を思い浮かべますか?

 財布に入っているとなんとなく安心できる金額? 満貫直撃? GODぞろいのおよその確率? 小児救急電話相談番号?

 どれも正解ですが、私にとっての正解は「理想的な1日の歩数(東京都健康長寿医療センター研究所調べ)」です。

 コロナ禍で在宅ワークが一般化した中で、皆さんはどれだけ歩けているでしょうか? ちなみに私は1日平均歩数で見ると2019年:8626歩、2020年:4582歩と半分近くに…

「これでいいのだろうか? いや、よくない(反語)」というわけで、たまに出社した時ぐらいは8000歩目指して新宿を歩き回ってみようと思い立ちました。

 となるとまずは何歩歩けばいいのか割り出す必要があります。

 スマホアプリによると自宅~最寄り駅までが約1200歩、新宿駅~会社までが約1150歩と出ました。それを往復にすると、通勤だけで約4700歩は歩く計算になります。

 会社でデスクワークをしていたとて、なんやかんやで300歩程度は歩くでしょうから、このコラムでは「3000歩」を目標に新宿を歩き回ってみることにします。

 しかし、ただ散歩をするというだけではなかなかしんどいものがあります。

 そこで私は考えました。ひとりではなく“Partner(いい発音)”と一緒に歩けば、楽しさも2倍になるのではないか、と。

 そこで、ご紹介いたします!

 このコラムで私と一緒に歩いてくれるのがこの子です!

 この子は我が家の愛犬で、名を炉(いろり)と申します。まだ7ヵ月のミックス犬で元気いっぱいなかわいい男の子です。

私:「炉! 見てくれている皆さんに挨拶しなさい!」
炉:「ワン(腹減った。ご飯には毎回、“ちゅーる”をかけろ。)」
※筆者は炉を溺愛しているので、何を言っているのかちゃんと聞こえてきます。

私:「…炉! なんていい子なの! ちゃんと挨拶できて偉いね~。」

 さていよいよ炉と一緒に西新宿散歩に出発!といきたいところなのですが、一つ問題が。私の会社はペットを連れての出社がNGなのです(確認したことはないですがおそらくだめでしょう)。

 ということは炉を連れての散歩は難しいのか…? いえいえ、こんなことでは私は諦めません。

 天才的な解決法がこちら!(ジャーン)

 炉です(真顔)

 いえ、正確に言うと「イマジネーション炉(直訳:想像上の炉)」です。これできっと2人で散歩できるよね、炉!

炉:「ワンワン(頭おかしいのかこいつ。あと文法がハム太郎のロコちゃんと一緒だぞ。)」

 つらつら書いてきましたが、要するに私はこのコラムで、私の頭の中にいつもいる愛犬の炉と一緒に、3000歩を目安とした西新宿“妄想”散歩に出ることにしたのです。

 さていよいよ会社の裏から出発です。

 気分はまるでボートレース選手。「枠なり進入、インコースから1番2番(ふたばん)3番、4番5番6番で今スタートぉ!」というボートレース児島の実況ボイスを想像しながら、私は副都心に向けて歩き出すのでした。

 開始時の歩数(既に意外と歩いてますね…)

 さて3000歩ということで特に目的地を決めずにぶらぶらと歩いていこうと思います。(想像上の)炉を連れているのでお散歩しやすい道を選びます。

 京王プラザホテル横から4号街路を望んでみます。今日は快晴でまさに小春日和。花粉のことが気になりますが、それを補ってあまりある絶好のシチュエーションです。

(想像上の)炉が階段を下りたいとぐいぐい私を引っ張ります。4号街路に下りていきましょう。なんてことない階段も炉にとってはまるでアスレチック。この階段もまた下りたくなる階段である。全力階段です。

炉:「はふっはふっ(はふっはふっ)」

 あ、捨てられているパンの包み紙に夢中になっています。いい匂いがするのか、炉はこういうゴミが大好き。拾い食いをさせないようにするのも大事な飼い主の仕事ですから、そっとゴミを拾ってポケットに収めます。

 傍から見ると、私はただゴミ拾いをしている人。めちゃくちゃいい人に見えますね。

 地下を通ったり急ぎ足で歩いたりすることが多いので見落としがちですが、外で過ごす西新宿はとても新鮮な気持ちになります。コンクリートやビルばかりかと思いきや、意外と季節感を感じられるポイントがあり、とてもいい気持ち。

 「西新宿の季節感を探す」ことも自分ルールとして加えていきたい気持ちになりました。

 しかし(想像上の)炉が「ねえ、自分ルールってNARUTOのガイ先生のこと? あの木ノ葉の気高き碧い猛獣のこと? ねえねえ。」とつぶらな瞳で訴えてきます。

 子犬らしいぐいぐい感と子犬らしからぬ知識に、このコラムを乗っ取られるのではないかという一抹の不安を覚えました。既に筆者の影は薄くなっているとはいえまだまだ主導権を渡すわけにはいかないので、自分ルールについての言及は次回以降にしたいと思います。

 そんなこんなで4号街路から議事堂通りを抜け、都庁を目指していきます。

 実はここが密かな私のお気に入りスポット。最初に見た時は近未来学園都市かと思いました。車通りも一方通行でないのがいいところですね。

 道中はお花も咲いていました。もう完全に春です。

 新宿の中でこうした小さな春に触れられるのは新鮮な体験ですが、

炉:「むぐむぐ(変な味だけど食えないことはない)」

私:「やめなはれ」

 こんなことになりそうなので本当に連れていくなら気を付けないと…

 さて、(想像上の)犬を連れた私にとって、ここまで来たら目的地はひとつになります。

 そう! 新宿中央公園芝生広場です(ジャーン)

 こちらは2020年にリニューアルし、一部ペットと入れるエリアもあります。

 ただ芝生内でのマナーは守らなければいけないので、四字熟語で例えると「糞尿魔神」であるところでおなじみの炉を入れる際は注意が必要になります。

炉:「ワンワンワン!(やべーよここ、テンション爆上がりだ!ガンズ(Guns N' Roses)の「Welcome To The Jungle」を初めて聞いた時の感覚に似てる!)」

私:「マジでこの犬、何歳なんだろう。」

(想像上の)炉が私に跳びついてきました。

私:「ヨーシイロリカワイイネーオイデオイデ!! アーカワイイ! スキスキスキ!(常軌を逸する裏声)」

 なぜ人は犬と戯れるとき裏声になってしまうのでしょうか。なんてかわいいのか、なんて幸せなのか、この時間が一生続いたらいいのに…

 はっ!

 我に返りましたが、そういえば私は犬を連れていないのでした。つまり傍から見るとスーツ姿のアラサー男性がひとり芝生でゴロゴロしているという状況です。端的に言ってやばすぎるので奥の手を使うことにしました。

「はい、お世話になっております!今中央公園に実験しに来ておりまして… はい、はい。特段問題ありません。ええ、さすがに芝生でゴロゴロするのはあれでしたが、計画は順調に進んでおります。はい…」

 これぞ秘技“電話に出たふり大作戦”です。これで私を怪しい目で見ていた方々も、「なーんだ。詳細はわからないけど仕事のために、ひとり芝生でゴロゴロしてたのね。」と思ったことでしょう。動揺を悟られないように手早く芝生を払い落としつつ、そそくさと新宿中央公園を後にしました。

 さてさて、なんだかんだ目標まであと1000歩弱。帰路につきながらふと昔のことを振り返ります。

私:「こどもの頃さ、ポケットピカチュウっていうのが流行ったんだよね。歩いた歩数に応じてピカチュウがなついていくっていう携帯ゲーム。もちろん身に付けたいんだけど学校に付けていけないから、昼間は仕事してる母親につけてもらうことにしてさ。」

私:「母親は仕事中かなり歩くのよ。だからすぐピカチュウなついてさ。それに俺はめちゃめちゃよろこんでたんだよね。でも歩くのもなつかれてるのも母、なのによろこぶ俺って考えると当時は純粋だったな~って思うよ。」

炉:「ばふばふ(プロセスが大事か、結果が大事か。いつの世でも言われることではあるよなあ。ただ当時のお前は目的地に着くことが楽しかったんだな。それはそれで正解だと思う。でも自分で行くのか、連れていってもらうかという違いはない。つまり真の意味で自分の足で歩いてはなかったのかもしれないね)」

炉:「そういう意味では自分で目的もルールも決めたうえで、3,000歩歩くことだけでなく自分が楽しめるルートを探している今は、プロセスも楽しめるようになっているのではないだろうか。20年前と比べて少しは成長してるんじゃない?」

私:「なんとなく後半は日本語だったから読んでいる人も意味がわかったと思うよ。ありがとう。」

私:「でも結局ポケットピカチュウ、母親がトイレ掃除の時便器に落として壊れたんだよね。俺より母親の方が落ち込んでた。」

炉:「マジか(ワンワン)」

私:「ついに鳴き声と日本語が逆になった。」

 今回の3000歩は、キリがいいのでこちらで終了!

 LOVEWalkerにちなんで西新宿の名所でゴールを迎えました。

 健康もさることながら、スマホも見ず音楽も聴かず歩く時間は現代人にとってはとても有意義で貴重な時間でした。

 そこのあなたも是非自分自身の西新宿Walkを楽しんでください!

炉:「ワンワン(見てくれてありがとうございました!)」

文/海轢刃太郎(かいれきじんたろう)

1992年長野県生まれの男性。西新宿に通い始めて丸4年のアラサー。
ギャンブル、麻雀、格闘ゲーム、ガンダムなど独身生活を謳歌していたが結婚してからとんとご無沙汰に。​今は飼い犬の炉と戯れることとジム終わりの1杯のプロテインが至上の喜び。ペンネームは格闘ゲームキャラクターの超必殺技が由来。
※炉を愛するあまり、妻が炉専用のInstagramアカウントを開設しました。
フォローお願いします! https://www.instagram.com/irorimama_82/?hl=ja

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