妥協知らずの闘志で出世街道まっしぐら!ブランド鶏「岡崎おうはん」の開発秘話や絶品グルメに迫る!
2023年03月10日 10時00分更新
2023年1月よりNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送がスタートした。徳川家康公とゆかりのある愛知県では、観光客を誘致するためにさまざまな取り組みが行われている。
特に家康公生誕の地・愛知県岡崎市の盛り上がりはすさまじい。2023年1月にオープンした「どうする家康 岡崎 大河ドラマ館」は、大河ドラマ出演者の衣装や小道具の展示、4Kシアターなどがあり、開館から連日賑わいを見せている。
日本100名城の1つで、徳川家康公が生まれた「岡崎城」も大幅リニューアルを行い、没入感のある華やかな映像が楽しめる岡崎城シアターなどが新登場。また、市内各所の飲食店で家康公をモチーフにしたグルメも次々と考案されており、街全体で〝家康ブーム〟を起こそうと本気になっている。
そんな岡崎の名物は、豆味噌の一種で岡崎市八丁町に由来する「八丁味噌」が全国的に知られているが、それに続けと言わんばかりに、さまざまなグルメとコラボし、あちこちに進出しているのが、岡崎生まれのブランド鶏「岡崎おうはん」だ。
人気スイーツ・ぴよりんとコラボした「徳川ぴよ康」(岡崎おうはんの卵を使用)や、「名驛式担々麺 しゃち福」で「汁なし八丁味噌坦々麺」(岡崎おうはんの肉と卵を使用)などが、すでに期間限定で発売された。
愛知県ではブランド地鶏「名古屋コーチン」が有名だが、「岡崎おうはん」もそれに負けないくらい魅力にあふれている。一体どのような魅力なのか、「岡崎おうはん」への熱い情熱が伝わってくる生産者の声や開発エピソード、さらに「岡崎おうはん」を使った絶品グルメや加工品を紹介しよう!
「妥協のない鶏を届けたい」生産者が語る熱いこだわり
飼料販売会社として畜産家を支える「株式会社太田商店」。現在は「岡崎おうはん」の生産や、たまごのテーマパーク「らんパーク」の運営なども行っている。代表取締役を務める原 祥雅さんは「岡崎おうはん」の誕生から現在まで、生産者として深く関わってきた一人だ。
「岡崎おうはんは2008年に、岡崎市にある国の研究機関『家畜改良センター岡崎牧場』で誕生しました。今でこそ私たちは生産もやっていますが、太田商店はもともと生産者に向けた飼料販売会社です。岡崎生まれで、しかも日本国内で交配を繰り返して誕生した純国産という珍しい鶏を応援したいと思い、飼料や卵の販売をスタートさせました」
岡崎生まれの地鶏の誕生に関係者は歓喜した。ところが、すぐさま課題に直面する。それが〝成績〟だった。例えば、どれくらいの数の卵を産むのか、飼育日数はどれくらいかかるのか。生産者はこうしたデータをもとに飼育する鶏を決めている。つまり、利益が出やすい商品なのかどうか。まだ実績のない地鶏。生産者も生活があるので、何でも簡単に飛びつけるわけではない。
せっかく誕生した地鶏がこのままでいいのか…応援したい気持ちから、原さんは腹をくくった。
「お付き合いのある養鶏場はたくさんいましたが、さまざまな課題がありましたし、すぐに手を上げてくれる方はほとんどいませんでした。それなら『自分たちでやろう!』と決意しましたね。養鶏場をお借りして、2010年ごろ鶏肉になるオスから飼育を初め、現在は卵を産んでくれるメスにも挑戦しています。」
〝アスリート〟の育成に「平飼い」でチャレンジも
生産をはじめて約10年。現在、原さんは「岡崎おうはん」における岡崎市内最大規模の生産者となり、鶏肉用として月産500羽程度、卵を産むメスは1000羽程度を飼育している。この春には常時2000羽程度になる予定という。
飼料販売会社なので、飼料についてのノウハウはあった。それに満足することなく、鶏の健康を考慮して、飼料メーカーと協議しながら常に改良を加えている。飼育環境へのこだわりも強い。
「最近のことになりますが、私たちは平飼いのチャレンジを始めました。平飼いとは、鶏舎内に十分なスペースを設けて、鶏が自由に動き回れるようにする飼育方法です。そうすることでストレスが少なく、健康的な鶏が育ちます。のどかな環境も自慢ですね。私たちは岡崎おうはんを〝アスリート〟と表現するのですが、日頃から動き回り、筋肉質の肉になっているからです」
こうした努力があって「岡崎おうはん」特有の強い歯応え、そして噛めば噛むほどあふれてくる旨味が生まれている。
飼料や環境だけでなく、飼育期間についても妥協しない。
「一般的な鶏は50日、場合によっては40日程度で出荷されます。一方、岡崎おうはんは2倍から2.5倍ほど長い120日程度を目安にしています。オスの肉を使っているのも特徴です。通常、鶏肉はメスを使うのが一般的で、名古屋コーチンも比内地鶏もそうです。メスのほうが、皮と身の間に脂肪がしっかりとついてジューシーだからです。私たちはSDGsの観点もあり、岡崎おうはんはあえてオスを鶏肉として使うことにしました。飼育期間が長すぎると肉にオス臭さのようなものが出てくるので、その辺りは見極めながら最高の状態で出荷しています」
一般に鶏は、卵を産むメスは重宝されるが、オスは活用されないのが実情だ。太田商店ではそのロスを防ぐ為にも、あえてオスを鶏肉に使っているのだ。
力を合わせて「岡崎おうはん」のおいしさを全国へ!
今後の目標について、原さんは「岡崎おうはんの普及」を挙げる。
「生産者になって10年ほどになりますが、岡崎市内では認知されてきていると感じます。岡崎おうはんを使ったグルメも次々と登場していますし、新しいブランド肉が定着するのに30年や50年はかかると言われるなか、順調に浸透してきているのではないでしょうか。全国的に有名な地鶏はたくさんありますし、この地域では名古屋コーチンが親しまれています。そんななか、岡崎生まれの地鶏が誕生した。すごく喜ばしいことで、本当にありがたいです。今は行政の方々も岡崎おうはんを広めようと力を貸してくれています。生産者の視点で見ればまだまだ成績面で改良の余地はあると思いますが、味は本物です。この美味しさを全国に届けていきたいです」
「2種類の鶏のいいところを受け継いでくれた」開発秘話
続いて「岡崎おうはん」が誕生した経緯について。
「岡崎おうはん」を作った「家畜改良センター」の正式名称は「独立行政法人家畜改良センター」で、市場に適した牛や鶏など家畜の育種改良、遺伝資源の保存牛などに取り組んでいる国の研究機関だ。福島県にある拠点を中心に全国で12の牧場を持っており、そのうち鶏の改良を行っているのは愛知県岡崎市と兵庫県の牧場で、岡崎は卵用系の、兵庫県は鶏肉用の改良牧場となっている。
「家畜改良センター岡崎牧場」業務課長の山本力也さんは「岡崎おうはん」誕生についてこう話す。
「まず、皆さんが生活の中で口にしている卵は、いろいろな品種を交配させて生まれた鶏のものです。我々の施設では、6品種11系統ほど保有していて、それらを交配してどのような成績の鶏が生まれるのか、日々比較試験を行っています。岡崎おうはんは横斑プリマスロックとロードアイランドレッドを交配させて誕生しました。オスの横斑プリマスロックは肉質がよく、美味しいと言われていました。一方、メスのロードアイランドレッドは卵をよく産みます。双方の良さを受け継いでほしいと考え、改良を重ねた末、岡崎おうはんが誕生しました」
山本さんを含めた開発者の思惑通り、双方の良さを兼ね合わせたハイブリッドな鶏が誕生した。そうして岡崎生まれの「岡崎」と「横斑プリマスロック種」の「横斑」をとって「岡崎おうはん」と名付けた。
喜んでもらえると手応えを感じた「岡崎おうはん」
「私たちの役割は生産者の支援および消費者の方々の食卓を豊かにしていくことです。ここで課題となるが流通です。生産者の方々が生産しやすい品種なのか、市場に受け入れられる鶏なのか、それが重要になってきます」
これまでにたくさんの鶏を開発してきたが、流通に至ったケースは非常に稀。その点、岡崎おうはんは肉質も卵も優秀で、メスは卵をよく産む。「これなら喜んでもらえる」と山本さんは手応えを感じていた。
「飼育するのに大変な部分はありますが、地産地消の観点から太田商店さんのように協力してくれる方がいたおかげで、今の岡崎おうはんがあるのです。岡崎おうはんは日々進化しています。家畜改良センター岡崎牧場では、毎年60匹ほどのひよこを飼って、卵の質や殻の硬さなどの成績を調査し、優秀な鶏同士を交配させ、常に改良を加えています。生産者や消費者の方々に、もっともっと支持される地鶏になっていけば嬉しいですね」
「岡崎おうはん」を使った絶品グルメ&加工品を紹介!
原さんの話にあったように、岡崎市には「岡崎おうはん」を使ったグルメ店や加工品が次々と登場している。どれも「岡崎おうはん」の長所を引き出したものばかりで、ひと口食べればすぐに違いがわかるはず。ここで紹介するグルメや加工品はほんの一部で、岡崎市に行けばまだまだ絶品グルメが味わえる。
岡崎市へは、新幹線の止まる名古屋駅から電車で約30分、東名高速道路なら「岡崎IC」があるなど、交通の便が良い。全国旅行支援「いいじゃん、あいち旅キャンペーン」を利用して訪れるのもいい。家康公生誕の地・岡崎市を観光して、ブランド地鶏も堪能しよう。
「らんパーク」の究極のたまごかけご飯
太田商店が運営する「らんパーク」は、卵や卵の加工品、鶏肉などを販売。レストランも併設し、「岡崎おうはん」や「ランニングエッグ」を使ったグルメが味わえる。
究極のたまごかけご飯は、卵の美味しさをストレートに味わえる人気メニュー。白身をメレンゲ状にして、ふわっふわの状態でご飯にのせ、黄身を落とせば完成。好みで特製だし醤油と鶏武士七味をかけて食べよう。卵は食べ放題なのも嬉しい!
「Nippon食の森 あざれあ」の岡崎おうはん手羽唐揚げ
岡崎市にある和食・割烹の人気店「Nippon食の森 あざれあ」。誕生日や記念日など特別な日の利用のほか、手軽な日替りランチも味わえる店として親しまれている。
岡崎おうはん手羽唐揚げは料理人の腕が光る逸品だ。「岡崎おうはん」は歯応えの強い食感のため、美味しい唐揚げにする際は少し技術がいる。こちらは職人が丁寧に下処理し、適度な食感を維持しつつ、肉の旨さを閉じ込めた。仕上げの特製ダレもポイント。
「道の駅 藤川宿 寄って味りん」の岡崎おうはんの親子丼
岡崎の重要な観光拠点のひとつ「道の駅 藤川宿」。そこのフードコートにある「寄って味りん」では、地元農家の新鮮野菜を使ったメニューや、地元特産品「むらさき麦」のグルメが味わえる。
岡崎おうはんの親子丼は、「岡崎おうはん」の濃厚な旨味と歯応えを引き出した人気メニュー。仕上げに黄身をのせているのもポイント。卵を贅沢に使った、見た目も食欲をそそる一品だ。
家康公が愛した岡崎のおうはんだれ
「岡崎おうはん」だけでなく、法性寺ねぎ、八丁味噌と、岡崎の名物を組み合わせた天下無双の万能ダレ。ご飯はもちろん、野菜にも合う。お酒好きにもおすすめだ。
さん太岡崎おうはんカリー
岡崎市の人気洋食店「さん太」が監修したスパイシーカリー。大きめにカットされた「岡崎おうはん」の肉、ゆで卵が入ってボリューム満点。味に深みを出すために八丁味噌も使用している。
〝家康ブーム〟の熱狂と「岡崎おうはん」というブランド地鶏。その2つが同時に楽しめる愛知県岡崎市。今回、各地を取材して感じたのは、情熱を持った生産者や関係者の存在だ。徳川家を支えた徳川四天王がいるように、「岡崎おうはん」も今、多くの人たちの応援を背に、出世街道を歩もうとしている。地元で生まれたブランド地鶏は、一体どこまで羽ばたいていくのか。今後が楽しみで仕方がない。
(提供:岡崎おうはんブランド推進委員会)
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