国際文化都市整備機構、街づくり活動を総合的に定量可視化できる「街づくりのカルテ:エリアクオリア指標」発表
2023年09月06日 11時45分更新
一般社団法人国際文化都市整備機構(以下、FIACS)は9月5日、ソフトを含む街づくり活動を総合的に定量可視化できる「街づくりのカルテ:エリアクオリア指標」を発表した。
エリアクオリア指標とは「その街らしさ」を意味する呼称で、FIACSが提唱する国際的な文化都市の実現に向け、KDDIおよび角川アスキー総合研究所の協力により、人流データと口コミデータを定量計測し、統計データと組み合わせることでハードだけでなくソフトな街づくりの努力と工夫を総合的に可視化できる「街づくりのカルテ」となる指標を目指している。
昨年度の試験提供を踏まえ、計測項目や期間を補正し、今夏より「東京圏版」を本格提供。今後は順次、全国都市版や住宅地版も開発・提供していく予定だという。また、街の魅力や特性、街のファンを可視化していき、街づくりの成果や方向性を実感できる指標づくりを目指す。
エリアクオリア指標は以下のような5つの特徴を備える。
1. 「街(駅)単位」を定点観測・経年評価する指標
大都市単位のランキング比較を目的にするのではなく、「民間企業&街づくりソフトの工夫が反映できる評価指標が欲しい」という要望を受けての、エリアマネジメントが活動するウォーカブル(歩いて楽しい)な「街(駅)単位」を定点観測・経年評価。
2. KDDIが保有するスマホ利用者のGPS位置情報データを基にした共感人口を定量計測
アンケートによるランキングではなく「データ・エビデンスを基に改善方策と効果が確認できる評価指標が欲しい」という各方面からのニーズに対応し「わざわざ繰り返し訪れる人が多い街=共感人口が多い街=魅力ある街」と定義し、KDDIが保有するスマホGPS位置情報データを基にした共感人口を定量計測。
3. 角川アスキー総合研究所によるSNSトレンド解析を基にした情感データを定量計測
「街の個性や文化的魅力が反映される評価指標が欲しい」という視点を活かすため、既存のオープンデータと併せて角川アスキー総合研究所によるX(旧Twitter)トレンド解析を基に情感データとして「街の話題流通量と強み」を定量計測。
4. ソフト施策による街の経年進化を可視化
成熟社会化やコロナ禍に伴う「次世代のライフスタイル・価値観に対応した柔軟な評価指標が欲しい」というディベロッパーやエリアマネジメント関係者といったステークホルダーからの希望を反映し、インフラ・ハード整備だけでなく、個別に実施されるソフト施策の効果を可視化。毎年の活動報告に活用可能。
5. 街づくり事業者の貢献価値をわかりやすくレイティング
単純なイベント数や難しい統計ではなく、「実感を伴う評価指標が欲しい」という街づくり関係者からの要望に対応し、「共感人口(=街のファン)を増やす」というゴールに向けて、街づくり事業者の貢献価値を総合的に指数化し、「わかりやすく9段階に格付け」。
エリアクオリア指標は共感人口(緑表示:1項目)と文化系指標(赤表示:文化基盤環境4項目、文化発信環境1項目)、文明系指標(青表示:エリアの生活インフラ5項目、経済基盤4項目、環境・多様性基盤3項目)を等価評価する。
「商業施設が集積している」「図書館が整備されている」などのハード水準よりも、その場所・街でどのようなイベントやプログラムが実施され、それが「街の話題流通量」として換算されたり、その結果として繰り返し来街者が訪れ、回遊・滞留し「共感人口」として計測されることで、より評価が高くなる仕組みになっていることから、ハード整備だけでなくソフト施策や街づくり活動の努力を反映。
これにより、「総合的な街づくりのカルテ」として機能するほか魅力情報の流通量において分野ごとのキーワードの検出、イベントの効果、街づくりテーマの有効性という点でも可視化が可能。定期計測することで街づくりの方向性の検証や効果測定が見えるため、都市の街づくりで重要な視点である「共感人口の活動量」に関して、より的確な項目を模索し更新していくよう継続トライするとしている。
提供価格は「スタンダードプラン 」が132万円で、内容は診断対象エリア図、診断書、総評、データ及び指数一覧、人流データ(総数/属性/時間帯別/来街者居住地分布/エリア内分布)、口コミデータ(総数/属性/強みワード/男女別・分野別ランキング)、統計データ(各種オープンデータ 概要/全データ)、参考資料。また、項目を絞った「ライトプラン」(66万円)も提供する。
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