スポーツ選手がCMに出ると棒読みになりがちだけど、自分はそれを責められない
2025年03月12日 17時00分更新

「感情を抜いている」というネタが
コントの題材になるのはなぜか
お笑いトリオ・ロバートのコントで、「アスリートのためのCM講習会」というネタがあります。
五輪に向けて練習を重ねているアスリート役の山本博と馬場裕之が、「アスリートのための講習会」に呼び出されます。競技で活躍するとCMのオファーがくるだろうからということで、講師役の秋山竜次がCMへの心構えを指南するという流れ。
ところが、指導される内容が「とにかく感情を抜く」「棒読みで読み上げる」などというものなので、山本は困惑します。しかし、秋山は「これは(アスリートの)先輩たちが築き上げてきた伝統である」というようなことを言い張り、ひたすら感情のない演技をさせようとする……というコントです。
さて、このネタを「おもしろい」と感じてしまうのは、なぜでしょうか。そもそも、「なぜコントの題材になるのか」という問いなのかもしれません。
それは、「アスリートがCMやドラマに出た際、本職ではないので演技が上手ではない」ということが、“あるある”として成立しているからでしょう。つまり、多くの人がそれを見たことがあるわけです。
古くは、1980年代にツービートが漫才の中で「野球選手が映画やドラマに本人役で出てきたときの演技は見ていられない」と悪態をついて笑いを取っていたこともあります。そこから40年ほど経っても、スポーツ選手の演技が上手ではないというのは、変わらない“あるある”といえるかもしれません。
しかし、それを責めるのはお門違い。少なくとも、筆者は責められない。
演技というのは難しい。一朝一夕でできるものではありません。プロだって何年も研鑽を積んで、ようやく一人前になる世界。演技の勉強をしていないアスリートが、CMなどで多少の棒読みを披露したとしても、むしろそれが自然でしょう。
こんなにかばうような発言をするのも、筆者もかつて編集部の企画でYouTubeの動画上で演技をしたことがあるからです。ただ、あまりにも棒読み&大根役者ぶりで、プレビューを見て愕然としまして……。慣れていないと、本当にむずかしいんですよね。
「スポーツ選手が棒読みをするCMからしか得られない栄養がある」みたいな、意地の悪い見方をしたいわけではない。純粋に、自分の過去を思い出して「自分もそうだった! ウウッ……」となってしまうのです。そもそも、選ばれたアスリートと自分を重ねている時点で、それなりに失礼かもしれませんが……。
また、日本でアスリートが出演するCMは、そもそもアスリートの「ストイックさ」「誠実さ」を意識して起用しているわけで、大げさな演技を求めているわけではないというのもあると感じます。少なくとも、“本業”で活躍している人たちを、棒読みの一つや二つで責められないというのが個人的な思いです。
MLB×鬼滅の刃コラボが話題に
一方、海外のCMを見ていると、出演しているアスリートがなかなか“演技派”な振る舞いをしているものがあります。だからといって、海外の人々の演技が上手で、日本の人々が下手であるとか、そう単純な話ではない。
そのあたりは誰を起用するか、どう演出するかで変わってきます。脚本を突き詰めれば、本人が「出演」しなくてもよいという考え方もあるはずです。
メジャーリーグベースボールジャパンは、「MLB Tokyo Series presented by Guggenheim」開催を記念して、アニメ『鬼滅の刃』との特別コラボレーションムービーを公開しています。話題になったので、見ている人も多いことでしょう。
これを見たときに「アニメを使えばいいんだ!」と思う人もいるかもしれませんが、そう考えると声優をアスリート本人がやるとなって、アスリートが不慣れな声をあてるということにもなりかねず……。
まあ、そのようなケースが悪い意味で目についたとするのなら、アスリート側が悪いのではなく、「アスリート側を配役する」方の責任といえますが。
しかし、現代では一昔前よりもアニメ(文化)が普及していますし、YouTubeなどで発信する機会も増えてきています。変な言い方ですが、アスリートに限らず、多くの人がカメラの前で話す・演技をすることに関しては、「場数を踏む」「露出が増える」という機会が過去に比べればずっと多いはず。
そもそも、MLBと日本のアニメがコラボするというのも、なかなかユニークな試み。スポーツを取り巻く文化やメディアはずっと進化しているのです。そう考えると、「アスリートがCMやドラマに出た際、本職ではないので演技が上手ではない」という現象も、やがて過去のものになっていくのかなあ……。
アスリートの周りも進歩しているわけだから
プロスポーツを支えるのは、選手たちだけではありません。現場のデータを活用するアナリスト、プロモーションに関わる人々も、日々テクノロジーと向き合い、進化しようとしているのです。
そんなスポーツに関わるさまざまテクノロジーが紹介されるイベントが3月15日に開催されます。丸の内新東京ビルおよび丸の内仲通りを中心に開催される「UPDATE EARTH 2025ミライMATSURI」です。
米国スポーツのトップリーグであるMLBとパートナーシップを組み、日本のトップスポーツリーグと共に、教育をサブテーマとしたイベント。日本を代表するスポーツリーグである、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)やSUPER FORMULAなどのさまざまなスポーツプラットフォームを支える技術についても紹介されます。
また、MLB、Jリーグなどのスポーツ界や、ビジネス界のリーディングプレイヤーによる特別セッションなども開催予定。プロが使っている技術を実感できる、プロが語るここだけの話を聞ける、貴重な機会といえるでしょう。
スポーツを取り巻くテクノロジーは日進月歩。エンターテイメントとしても進化を続けています。アスリートの周りも進歩しているわけだから、アスリートが出演するCM、そして出演者の演技も進化していく……のかもしれません。たぶん。
【UPDATE EARTH 2025 ミライMATSURI概要】
日時:2025年3月15日(土) 10:00〜18:00
会場:新東京ビル7〜8階(東京都千代田区)、丸の内仲通り、秋葉原万世橋出張所ほか
主催:UPDATE EARTH 2025実行委員会
運営実施団体:一般財団法人UPDATE EARTH、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社
参加・申込方法:一般公開展示以外の定員制イベントやワークショップへの入場には個別の申し込みが必要となります。事前登録をすると館内への入場がスムーズになります。
イベントの全体情報はこちら!:https://event.update-earth.jp/
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