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「私でも聞き上手になれますか?」バーテンダーが教えてくれた秘訣がスゴい!

川口竜治さん

 たくさんの人が訪れ、さまざまな悩み相談に答えてきたであろう丸の内のバーテンダーの方に、あなたに代わって相談を投げかける本連載「人生の達人はBARにいる」。

 今回訪れたのは、“ブラッスリースタイル”が楽しめるレストランTHE UPPER。ここではカクテルにもこだわり、バーテンダーが常駐し、料理とともに本格的なカクテルも楽しめます。バーテンダーの川口竜治さんにお話を伺いました。

聞き上手になるには、「聞くだけ」じゃない

 今回のお悩みはこちら。

聞き上手になるにはどうしたらいい?
 普段から時々バーへ行くのですが、バーテンダーの方はみなさん聞き上手でいつも感心しています。私もうまく人の話を引き出したり、相談しやすいような雰囲気を作り出せたらと思うのですが、空回りしがちです。聞き上手になるためのコツなどあれば教えてください。

──バーテンダーの方は皆さん聞き上手で、話しやすい雰囲気を作ってくれるイメージがあります。何か気を付けていることなどは、ありますか?

川口さん「僕自身もともと聞き上手なタイプではなかったんです。ですがバーテンダーとして働いているうちに、カクテルやお料理の美味しさは、その時の気分にも左右されるんだなと感じるようになりました。美味しく召し上がっていただくには、その場の雰囲気を良くすることも重要で、そのためには聞き上手になることが必要だと思うようになったんです。

 聞き上手になるためには、相手のことを知ることや知ろうとする姿勢が1番大事だと考えています。お客様が来られた時には、今日はどんな状況なのか、というのをよく見て常に想像するように心がけています。実際に会話をするシーンでは、相手の持ち物や服装を褒めるなど、まずは何気ない会話から始めて、少しずつ相手のことを知ろうとしますね」

──相手のことを知りたいと思っている、という姿勢を見せるのは大切かもしれませんね。

川口さん「はい、そういう気持ちが伝われば、相手も話をしやすくなるかと思います。

 ただ、聞き上手になるためには、相手のことを知ろうとするだけでなく、自分のことも知ってもらおうとすることが必要だと思うんです」

──聞く側でありながら、自分のことも知ってもらう必要があるということですか?

川口さん「はい、何か話したいことがあっても、相手がどんな人かわからないと話しにくいと思うんです。相手がどんな人かをある程度知ることで、その人に話したい内容が変わって来る場合もあると思います。なので、自分自身もオープンな姿勢を見せることで、相手も安心感を持って自分自身の話をしたり、時には相談を持ち掛けたりすることができるのではないでしょうか」

今回のアドバイス 「聞き上手になるには、自分のことも知ってもらおう」
どんな人かわからない人には、自分の個人的な話はしにくいもの。聞き上手になるためには、ただ相手の話を聞くだけではなく、自分のパーソナリティを知ってもらうことも大切です。

バーテンダーという仕事を通して、常に新たなことを学ぶ

 今回お悩み相談に答えていただいた川口さんは、もともとは土木関係の仕事をされていたそう。当時はお酒が苦手だったという川口さんですが、初めて訪れたバーで出してもらった甘いカクテルの美味しさに感動。「飲めない人でも飲めるカクテルがある」と知り、バーテンダーへの憧れを持ったんだとか。

 個人店での経験を積むところから始まった川口さんのバーテンダー人生。その後は表現方法を増やすために、ボトルやシェイカーを投げたり回したり華麗なパフォーマンスを行うフレアバーテンダーを目指しエンターテイメントバーでも経験を重ねます。現在は、フレアバーテンダーとしての技術もさらに磨きつつ、ミクソロジーなど新たなカクテルの知識も積み上げていっているんだとか。

川口さん

フレアバーテンディングのパフォーマンスも少し見せていただきました! 高く上がるボトルにはドキドキしましたが、慣れた手つきで落ち着いて技を決められていました

 そんな川口さんがバーテンダーの1番の魅力だと考えるのは、“いろんな人や文化に出会えること”。「お客様への接客のなかで教えていただけることもたくさんありますし、お酒についてもさまざまなストーリーや歴史があって、常に新しいことを知れるのがとても刺激になります」と話します。

 THE UPPERで提供するオリジナルカクテルも数多く考案している川口さんですが、オリジナルカクテルを作る際にもお酒やカクテルの文化を大切にしているそう。

「ベースに使うお酒や、もととなるクラシックカクテルが生まれるまでの物語や、作り手のバックグラウンドなどを発想のもとにしてオリジナルカクテルを考案することが多いですね。名前を先につけてから、カクテルの中身を考えることもあります。

 例えば、当店でお出ししているノンアルコールのカクテルに『ジャングルストン』というものがあるのですが、これは僕が好きだったカクテル『チャールストン』に似た言葉を考えてもじったカクテルです。『ジャングルストン』という名前を決めてから、ジャングルといえば緑、自然…と連想していき、さまざまなハーブを使ったものに仕上げました。新しいカクテルを考えるときは、使うお酒やアイデアのもとになるカクテル、使いたい素材について、いつもいろんなことを調べるのですが、そうしたなかでいろんな文化に触れて学べるのが楽しいです」(川口さん)

メニュー

オリジナルのカクテルの多くを川口さんが考案しています。どれも興味をそそられる名前のカクテルばかり!

 THE UPPERは、大阪の2つ星レストランであり、「Asia’ s 50 Best Restaurant 2020」で10位にも選出されている「ラシーム」の高田裕介氏がパートナーシェフを務めるレストラン。ソムリエも常駐し、ワインとのペアリングも楽しめます。

 そしてもちろんカクテルも魅力のひとつ。バーのように利用される方や、カクテルを楽しみに来るお客さんも多いのだとか。「バーには慣れていないという方でも、どんなカクテルが飲みたいのかなど、ぜひ教えていただきたいです。当店であれば、お料理に合うカクテルなどもおすすめできますよ」と教えてくれました。

内観

開放的な雰囲気の9階のフロアは、結婚式などでの利用も多いそう

内観

店内には落ち着いた個室も

会話も弾む、華やかなカクテル

 今回も本連載恒例の、相談者にオススメのカクテルをお作りいただきました。オススメいただいたのは「桃白白(タオパイパイ)」。川口さん考案のオリジナルカクテルです。

桃白白

今回いただくのはこちら

 ベースとなるのは、中国のお酒、白酒(バイジュウ)。そこに白桃アールグレイを漬け込み、オリジナルのバニラシロップやザクロ酢、レモンを加え、エルダーフラワーのトニックウォーターで仕上げたカクテルです。

 口に含むと華やかですっきりとした甘みが広がります。桃の香りもとても心地良いです。

 川口さん曰く、「白酒は発酵系のお酒で、フルーツともよく合い、お酒っぽいアルコール感を感じにくくなります。あまりお酒の味が得意でない方でも飲みやすいと思いますね。すっきりと気分が華やかになるような味わいで、会話のお供にも良いのではないかと思い、今回おすすめさせていただきました」とのこと。

 「桃白白」という名前は、白酒の「白」と「白桃」を組み合わせてできた名前。また、「ドラゴンボール」(作・鳥山明)に登場するキャラクターの名前でもあり、川口さん自身も好きなキャラクターの一人なんだとか。

 「同世代の方だったり、マンガ好きの方だと、このカクテル名を見て『おっ』と思っていただけることも多いですね。そういう意味でも話の広がるカクテルかもしれません」と川口さん。

 美味しいカクテルとともに、お互いのことを話し合うのが聞き上手になるための第一歩かもしれません!

川口さん

聞き上手になるためのコツを教えてくださった川口さん、ありがとうございました!


THE UPPER
住所:東京都千代田区丸の内1-3-4 丸の内テラス 9F・10F
営業時間:月~金11:00~15:30/17:30~23:00、土11:00~23:00、日11:00~22:00
定休日:不定休(丸の内テラス 施設に準ずる)
電話番号:03-5962-9909


文 / オシミリン(LoveWalker編集部)

大阪生まれ。
趣味は読書と写真を撮ること、おいしいものを食べておいしいお酒を飲むこと。


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