高速道路が「歩行者中心の公共的空間」に生まれ変わる
あなたは、高速道路を“歩いてみた”ことはあるだろうか?
東京高速道路、通称「KK線」は、東京都の「東京高速道路(KK線)再生の事業化に向けた方針」に基づき2025年4月5日に廃止された(東銀座出口を除く)。
そのKK線にて、4月18日に「KK線リボーンセレモニー」(招待のみ)、18日~19日に「Roof Park Fes & Walk」(一般参加)が開催された。
筆者は、19日の「Roof Park Fes & Walk」にプレスとして参加。実際に、高速道路だった約2kmの高架を歩いてみた。新橋〜銀座〜有楽町〜京橋の違った様子が見えてきただけでなく、今後の再生に強く興味を持った。
KK線は、1966年の全線供用開始以来、都市高速道路網の一環としての役割を果たしてきた。しかし、首都高速道路の日本橋区間地下化事業に伴い、新たな都心環状ルート「新京橋連結路(地下)」の整備が決定。それに伴い、KK線は役割が大きく低下することから、東銀座出口を除き廃止が決定した。
そんなKK線が、東京の新たな価値や魅力を創出するため、歩行者中心の公共的空間、世界から注目される観光拠点へと再生する。KK線廃止後、調査、整備に着手。全区間の整備完了の目標時期は2030年代から2040年代としている。都市空間の価値や魅力向上の実現に向け、段階的な整備により一部区間の早期開放を目指しているという。
東京都心部を走る全長2km余のKK線は、3ヵ所で首都高速道路と接続しており、主に首都高都心環状線のバイパスとしての役割を果たしてきた。銀座周辺の外堀、汐留川、京橋川の一部を埋め立てて建設した、日本初の民間活力による無料の自動車専用の道路だ。13年の歳月をかけ、1966年(昭和41年)7月に蓬莱橋から新京橋間の全線供用を開始。
民間企業による自動車専用の道路の建設は、「道路下を賃貸スペースとし、その賃貸収益を道路の建設費と維持管理費に充て、無料で一般に供用する」という、今日のPFI(Private Finance Initiative)の先駆けともいえるビジネスモデルによって実現した。
そして、今、東京の中心をつなぐ『自動車専用の道路』は、既存施設を活かし 『歩行者中心の公共的空間』に生まれ変わろうとしている。ひと・まち・環境をつなぐ、グリーンインフラとして、東京に新しい価値や魅力を加えるシンボルを目指す。都心の真ん中にありながらも、緑とふれあい、誰もが心地よく過ごせる場所になる予定だ。
廃止された高架インフラを歩行者中心の公共空間に転換する点で、1980年代に廃止された貨物鉄道の高架線(約2.3km)を公園として再生したニューヨークの「ハイライン」を思わせる(2009年開業)。
ハイラインは、マンハッタンのチェルシーやミートパッキング地区を俯瞰し、ビル群やハドソン川を眺める景観が特徴だ。KK線でいえば、銀座を眺める雰囲気に近いだろうか。

ハイライン(パブリックドメインの写真)。The High Line in Manhattan, New York City at West 20th Street, looking downtown (south) Beyond My Ken
「Roof Park Project」は、これからのKK線や都市のあり方を、周辺に暮らす人々をはじめ、東京の未来を見つめる人たちとともに考え、実験を重ねながら、ゆっくりとかたちにしていくプロジェクトだという。
推進組織として、共創プラットフォームを中心とし、東京都をはじめ、地元3区(千代田区、中央区、港区)、周辺の地域団体など様々な人たちとの連携、共創を通じて、ひと・まち・環境をつなぐ『グリーンインフラ』として、東京に新しい価値や魅力を加え、世界に注目される観光拠点を目指している。
KK線から東京の風景を見てみよう
自動車から見える景色も、街を歩いて見える景色も、羽田空港から離発着する飛行機からの風景も、それぞれ違う視線からの東京を見せてくれる。そして、街の真ん中を走るKK線の高架を歩いて眺める都心も、また違った表情を見せる。
今まで見たことのない東京の景色が楽しめるこの空間に、ベンチや植栽、カフェなどがあってゆっくりできる環境が整えば、また格別だろう。
模型やパネルで見るKK線の今と昔と未来
今回のKK線ウォークでは、作業車や、模型、パネルなど多くの資料の展示も実施された。
■「Roof Park Project」公式サイト
https://roofpark.com/ja/
■東京高速道路株式会社ホームページ
https://www.tokyo-kousoku.jp/
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