エリアLOVEWalker総合研究所リポートXトレンド解析 Vol.25

SNSを騒がせたのは弥助だった!秀吉・家康よりもつぶやかれた“論争型トレンド武将”の正体

 来年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』のキャスト発表のほか、戦国時代を舞台にしたゲームの発売など盛り上がりを見せる戦国時代。さらに、夏休みに向け歴史や刀剣、甲冑、城などをテーマにした企画展やイベントも続々開催されている。そこで、今回はX(旧Twitter)上で言及された「戦国時代の人物ランキング」をもとに、そのトレンドを読み解いていく。なお、今回のランキングでは戦国武将のほか、その周囲にいた人物、武将の妻や娘、文化人など戦国時代に活躍した人物を集計の対象に含めている。

順位 人物名 話題流通量
投稿数/
アカウント数
男性:
女性比
ポジ:
ネガ比
主な共起語
(その共起語がXでの投稿全体に占める比率)
1 弥助 668,100
77%
23%
20%
11%
アサシン クリード(29%)、侍(22%)、歴史(20%)、ゲーム(14%)、トーマス・ロックリー(10%)
2 豊臣秀吉 344,324
66%
34%
21%
9%
大河ドラマ(16%)、徳川家康(12%)、豊臣兄弟!(9%)、歴史(8%)、織田信長(6%)
3 徳川家康 312,341
62%
38%
29%
6%
豊臣秀吉(14%)、大河ドラマ(13%)、どうする家康(9%)、松本潤(9%)、映画(8%)
4 織田信長 165,230
66%
34%
25%
4%
豊臣秀吉(13%)、歴史(11%)、弥助(11%)、大河ドラマ(10%)、徳川家康(9%)
5 伊達政宗 136,893
56.%
44%
15%
11%
仙台(13%)、嬉しい(10%)、靴下(9%)、ラルフ(9%)、仙台市博物館(9%)
6 石田三成 64,418
57.%
43%
21%
7%
大河ドラマ(14%)、徳川家康(11%)、豊臣兄弟!(10%)、松本怜生(7%)、茶々(7%)
7 宮本武蔵 48,009
75%
25%
18%
18%
Fate/Grand Order(15%)、格闘技(10%)、猫背(10%)、抜刀(10%)、侍(9%)
8 真田信繁 47,356
66%
34%
14%
3%
徳川家康(24%)、伊達政宗(23%)、豊臣秀吉(19%)、英傑大戦(10%)、小野大輔(9%)
9 明智光秀 47,292
66%
34%
24%
5%
織田信長(27%)、本能寺の変(17%)、大河ドラマ(15%)、要潤(11%)、豊臣兄弟!(11%)
10 上杉謙信 47,097
68%
32%
18%
5%
電車(18%)、田舎(18%)、jr越後線(18%)、武田信玄(12%)、織田信長(7%)

「戦国時代の人物」言及数ランキング、TOP10の表。右端の「共起語」とは、スポット名とともにつぶやかれたキーワード。

Xデータでわかった「戦国時代の人物」TOP5を分析!その魅力とは?

 では、Xでの投稿数でTOP5に入った人物名を見ていこう。

 1位は「弥助」。投稿数は66万件を超えている。

 「弥助」とは一体誰?そう思う方も多いだろう。この人物は宣教師から織田信長へと進呈され、信長が死去するまでの約15か月間、信長に仕えたとされるアフリカ出身の男性だ。2025年3月20日に人気ゲーム『アサシンクリード』シリーズの最新作『アサシン クリード シャドウズ』の主人公に「黒人の武士」として採用されたことで賛否両論を呼び、注目を集めた。

 なお、その論争の過程で日大准教授のトーマス・ロックリー氏が弥助について自著で歴史資料に基づかない、創作に近い記述を行っていることや、Wikipediaの「弥助」のページの記述に自分の未発表論文を引用元として扱う独自研究を掲載していることが判明し、批判を呼んだ。

 2位の豊臣秀吉、3位の徳川家康はいずれも大河ドラマおよび『豊臣兄弟!』『どうする家康』とともに言及されている。なお、算出期間中には秀吉の弟・豊臣秀長を主人公にした大河ドラマ『豊臣兄弟!』の主要キャスト発表が行われている。

 また、1位の論争に関連して「史実だとか言わなきゃ信長が女の子でも、秀吉が鬼でも、家康が未来人でも何とも思わないし、むしろノリノリで楽しむ変な民族なのに何で史実だとか言っちゃったんだろ?」という投稿がリポスト数を伸ばしており、ドラマやゲーム、アニメなど創作の分野での“史実改変”を笑いとともに受け入れる空気が形成されていることがうかがえる。

 4位「織田信長」は1位の「弥助」の主君とされる人物であることから関連ポストに頻出しているだけではなく、『豊臣兄弟!』でのキャスティングが発表されたほか、さらには人気ゲーム『刀剣乱舞』の映画版や人気ゲーム『Fate/Grand Order』にも登場することなどサブカルチャー分野での話題が多く挙がっている。

 5位には伊達政宗がランクイン。「ビジュアル」「カリスマ性」「中二病感」といった現代的解釈が共感を呼んでおり、アニメやゲームなどにおける“推し武将”として根強い人気を保っている。また、あるユーザーが投稿した「ラルフ(ローレン)の靴下だと思ったら伊達政宗だった」という仙台限定の土産物を取り上げたポストも注目されている。

戦国時代の人物ランキングTOP11~100

 こちらでは「戦国時代の人物ランキング」11位~100位までを紹介する。16位「天草四郎」はラスボスとして登場する、1981年の映画『魔界転生』がYouTubeで無料公開されることがきっかけでポスト数が伸びた。また、21位「豊臣秀長」をはじめとして、6名の人物が『豊臣兄弟!』でのキャスティング発表が要因でランクインしているほか、19位「千利休」など4名の人物が人気ゲーム『Fate/Grand Order』がポスト数の要因となっている。

順位 人物名(都道府県名) 投稿数 アカウント数
11 佐々木小次郎 46,341
12 武田信玄 44,121
13 前田慶次 36,903
14 森蘭丸 32,992
15 加藤清正 30,388
16 天草四郎 27,780
17 帰蝶 23,695
18 本多忠勝 21,906
19 千利休 20,252
20 片倉小十郎 19,939
21 豊臣秀長 17,436
22 細川ガラシャ 17,268
23 前田利家 17,167
24 柴田勝家 17,006
25 黒田官兵衛 16,212
26 藤堂高虎 15,912
27 小早川秀秋 14,464
28 毛利元就 14,349
29 細川忠興 13,603
30 大谷吉継 12,949
31 松永久秀 12,305
32 服部半蔵 11,676
33 森長可 11,379
34 今川義元 11,155
35 結城秀康 9,421
36 島津義弘 9,298
37 出雲阿国 8,778
38 島左近 8,720
39 武田勝頼 8,708
40 最上義光 8,647
41 立花宗茂 8,608
42 支倉常長 8,549
43 徳川秀忠 8,517
44 風魔小太郎 8,459
45 愛姫 8,300
46 宇喜多直家 8,048
47 直江兼続 7,947
48 猿飛佐助 7,528
49 浅井長政 7,500
50 福島正則 6,874
51 石川五右衛門 6,832
52 荒木村重 6,813
53 真田昌幸 6,528
54 本願寺顕如 6,506
55 井伊直政 6,485
56 宇喜多秀家 6,388
57 大友宗麟 5,993
58 斎藤道三 5,831
59 井伊直虎 5,563
60 三好長慶 5,497
61 黒田長政 5,213
62 竹中半兵衛 5,162
63 毛利輝元 5,104
64 北政所 4,892
65 長宗我部元親 4,858
66 山本勘助 4,493
67 駒姫 4,409
68 豊臣秀次 4,216
69 北条早雲 4,124
70 足利義輝 3,958
71 上杉景勝 3,946
72 豊臣秀頼 3,526
73 島津豊久 3,443
74 小西行長 3,362
75 塚原卜伝 3,192
76 松平信康 3,086
77 細川幽斎 3,058
78 三浦按針 3,015
79 足利義昭 2,849
80 お市の方 2,821
81 森可成 2,724
82 榊原康政 2,724
83 蒲生氏郷 2,697
84 九鬼嘉隆 2,519
85 吉川元春 2,460
86 小松姫 2,411
87 真田信之 2,409
88 酒井忠次 2,407
89 浅野長政 2,405
90 北条氏政 2,393
91 小早川隆景 2,389
92 豪姫 2,302
93 加藤段蔵 2,173
94 築山殿 2,127
95 北条氏康 2,119
96 龍造寺隆信 2,039
97 甲斐姫 2,013
98 織田信勝 1,939
99 山内一豊 1,925
100 今川氏真 1,900

 今回のランキングでは、エンタメが注目を集める主要因となっているケースが多く、戦国武将が単なる歴史上の人物ではなく、現代の価値観やエンタメコンテンツと結びつきながら新たな意味を帯びた存在へと変化していることが見て取れる。SNSの時代はこれらの新たな価値観が広まるスピードも速いことから、今後も戦国時代に関するポストからは目が離せない

データ詳細

今回の集計の詳細は以下のとおり。
集計期間:2024年6月9日~2025年6月8日
解析対象:「戦国時代の人物」を含むX(旧Twitter)上での投稿
抽出件数:2,709,398件(上位100位までの総投稿数)

角川アスキー総合研究所は2015年に、東京大学生産技術研究所喜連川・豊田研究室と、アジア圏で唯一ツイートデータの全量を取り扱うことができるNTTデータ、そしてTwitter Japanと共同で「Twitterトレンド解析システム」を開発した。それ以来、当社が持つエンターテインメント用語辞書(300万語以上)に収録されたワードをもとに、日本国内でのエンターテインメント分野に関するツイートを対象にした解析を行っている。

 解析内容としてはツイート内でのワード出現傾向の分析に加えて、ツイートテキストを対象にした投稿者の推定属性情報(NTTデータ提供)や、各種統計データなどを組み合わせた分析などを行っており、報道機関や、企業・自治体等に幅広く活用されている。なお、「X(旧Twitter)トレンド解析システム」によるXのリアルタイムな集計結果は、「ついラン」でも見ることができる。
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