エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀「大阪・関西万博をブラタマキ」 第17回
【胸熱】万博のアンゴラ共和国パビリオンが掲げる巨大な「健康教育」の文字はいったい何? そこには感動のストーリーがあった
2025年08月21日 17時00分更新
アンゴラ共和国のパビリオンは、アフリカ諸国の中で唯一の独立パビリオン(Xタイプ)になる。6月26日にオープンした。
外観が印象的で、外壁には大きく「健康教育」という文字が書かれていて気になっていたのだが、メインコンテンツである映像を見て納得。医療の知識を広めることで地域社会での医療アクセスを改善するというメッセージが、テーマを絞った構成と、それを表現する素晴らしい映像『チッソラの夢』によってしっかり伝わってきた。
テーマは「よりよい未来を 築くために地域会を啓発する(Educate the Community for a Better Future)」。健康で持続可能な未来を築くうえで、大きな役割を果たす健康や教育に焦点を当てている。
万博のテーマ事業の一つである「いのちを守る(Saving Lives)」にしっかり連動し、ストーリー性豊かな展示を通じ、教育がいかにして健やかな未来を育むかを、アンゴラ独自の視点から世界に発信している。
その国のことを幅広く伝えてくれるパビリオンも多いが、思い切ったシングルイシューで作り切ったアンゴラ共和国のパビリオンも心地よい。
アンゴラは、アフリカ大陸南部大西洋岸、赤道より南に位置し、その国土は、北はコンゴ共和国とコンゴ民主共和国、東はコンゴ民主共和国とザンビア共和国、南はナミビア共和国、西は大西洋に面していて、陸上の国境は、全長4837kmに及ぶ。国土面積は124万6700平方kmで、アフリカ大陸で7番目に大きな国である。
アンゴラは1975年、ポルトガルの植民地から独立を果たしたが、平和な時代の始まりではなく、ポルトガルの植民地支配を相手に闘った民族主義組織の間での新たな内戦の始まりだった。しかし、およそ30年間に及んだ内戦を経た2002年4月4日、ついに武器が沈黙し、平和が確立する日がやってきた。以来、アンゴラは、政治的・社会的安定を享受している。
そして、アンゴラのジョアン・ロウレンソ大統領は2025年、アフリカ連合(AU)の議長を務めている。
アンゴラが日本開催の万博に参加するのは今回が2回目。初参加となる2005年愛知万博の際には、アフリカ共同館での出展だったが、今回は、独立した専用パビリオンを設けるという大きな前進を遂げた。経済・社会・環境の各側面において、アンゴラは変革の真っただ中にあり、パートナーシップや投資機会の基盤を築いている最中だ。
アンゴラパビリオンの館長、アルビナ・アシス・アフリカーノ氏は、こう語る
「教育は健全な社会の礎です。このパビリオンを通じて、アンゴラの価値観や未来への希望を映し出し、非常に心に残る物語を共有しています。それは人間の可能性、地域社会の発展、そして文化への誇りを信じる私たちの想いそのものです。このアンゴラパビリオンが日本の来場者はもちろん、世界中の万博参加者にとって、アンゴラという国の魅力や精神、そして未来への約束を発見する貴重な機会となることを願っています」
伝統医療と先進医療の共存の重要性
そして女性が果たす役割の大きさを知る
パビリオンのメインテーマをギュッと凝縮した《チッソラの夢》は、およそ10分間のショートムービーで、50席の専用シアターで上映される。
アンゴラは、アフリカ有数の経済大国でありながら、マラリアによる感染症に悩まされた地域でもある。《チッソラの夢》は、マラリアに苦しんだ幼少期の経験をきっかけに医療従事者を志す少女チッソラの実話をもとに制作された。伝統医療と先進医療の共存の重要性、そしてアンゴラにおける健康・教育分野において女性が果たす役割の大きさを知れる。
チッソラがマラリアにかかり、おばあさんは、まずシャーマンのような村の治療師に相談する。そこで霊的な原因の可能性を確かめたうえで、治療師の指示で病院に連れていき、適切な治療を受けさせる。そこでは、迷信と医療は対立するものでなく共存しているのが興味深い。
映像では、その後のチッソラも描かれている。彼女は自分の経験から医療従事者になり、アンゴラ国内の医療制度や、子どもたちを取り巻く生活環境の改善に取り組み、「健康×教育×地域づくり」を実践していくのだ。
ショートムービー上映後は、インタラクティブ展示エリアになっていて、大型タッチモニターを使って、映像に登場した人物の背景や医療制度など、「健康×教育×地域づくり」を体験的に学べる構成となっている。
映像や展示の後は、バオバブの木にちなんで名づけられた、レストラン「イムボンデイロ」でアンゴラの郷土料理が供され、ステージでは、地元の圧巻のポップ・ミュージックや伝統音楽、さらには激しいダンスも鑑賞できて、まさにアンゴラの文化を五感で楽しめる。アンゴラのファッションも魅力的だ。
あと、忘れてはいけないのはスタンプ。筆者もしっかり押してきた。
■アンゴラ共和国公式サイト
https://www.angola.or.jp/ja/home-ja/
■大阪・関西万博公式サイト
https://www.expo2025.or.jp/
『大阪・関西万博 攻略MAP ウォーカームック』
発行:株式会社角川アスキー総合研究所
発売:株式会社KADOKAWA
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