霊峰白山と手取川に育まれてきた街“鶴来(つるぎ)” 実は最強のパワースポット!?

なんかすっきり! やる気もUP、ちょっといいコトありそうな!? ご加護のあるまち、白山市鶴来でととのう旅に行ってきた!

 このたびの能登半島地震で被災された皆さま・ご家族の皆さまに、心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

 2024年3月14日に北陸新幹線の金沢-敦賀間が延伸することで周遊する楽しみが広がる北陸エリア。そんな注目の北陸のなかで今回は白山市鶴来を紹介したい。というのも、昨年のはじめに石川県白山市を訪れる機会があり、その空気感や町並み、地域の人たちと触れて再訪を誓った。ここは何だか心が洗われるような清々しい場所、そして日本全国、各所に存在する白山神社の総本宮がある場所。そして改めて行ってみると、やっぱり魅力的なところだった~そんな思いを伝えたくてレポートする。

 日本三霊山のひとつとしてあがめられ、山岳信仰の聖地になった白山。白山市鶴来は、全国に3000社余りある「白山神社(はくさんじんじゃ)」の総本宮「白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)」がある。今回足を踏み入れてみると、空気が澄んでいて、不思議な力がみなぎってくるような気がしてきた。この土地は白山から日本海にひろがる手取川扇状地の要の部分に広がり、恵まれた自然環境もある。白山手取川ジオパークは、2023年5月に日本で10か所目となるユネスコ世界ジオパークに認定された。石川県の西南部、白山麓の玄関口として古くから商業の街として栄え、寺社旧跡が残る歴史の街、スカイスポーツのメッカ、白山の伏流水がもたらす醸造の街など、多彩な顔を持っている。

 金沢からちょっと足を延ばして、そんな鶴来で1泊2日を過ごしてみた。観光地化されていないところがまた魅力、暮らすように旅をして豊かな自然を浴びて、ご加護を受けて心身ともにデトックスするのに最適!そして、実はかなりのパワースポットという噂も!! 発酵文化が今にも息づいていて、身体の中からキレイになれそう、そしてプチ体験もいろいろ…参詣と合わせて“ととのう旅”を紹介!

獅子吼高原(ししくこうげん)から眺める白山手取川ジオパーク

獅子吼高原から眺める扇状地(季節は夏のもの)

 まずは全貌をと、パーク獅子吼からゴンドラに乗ってスカイ獅子吼へ。標高650mの高原から、教科書に出てくるような美しい扇状地が見渡せる。白山市の真ん中を流れ、日本海へと注ぎ込む全長72Kmの手取川。山間から平野へと抜け出るエリアは扇状地を形成し、美川地域で日本海に流れ込む。獅子吼高原は日本海からのいい風が吹き、パラグライダーに最適の条件を備えているそう。観光用のタンデムフライト(インストラクターと2人乗り)が体験できる。気持ちいい眺めに既に爽快な気持ちに!
※スカイ獅子吼(ゴンドラ)は11月下旬から4月中旬まで冬季運休中

全国に3000社もある白山神社の総本宮「白山比咩神社」

 白山を神体山とする白山比咩神社は、全国に約3000社もある白山神社の総本宮で、地元では「しらやまさん」とよばれ親しまれている。御祭神・白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ)は、またの名を菊理媛神(くくりひめのかみ)といい、ご縁を「くくる」神といわれている、そう“縁結び”の神様なのだ!樹齢千年といわれる杉やあすなろがそびえる表参道や境内には、荘厳な雰囲気がただよう。毎月1日は「おついたちまいり」の参拝者でにぎわうそうだ。また、おすすめされた「恋のしらやまさんきっぷ(詳細は別途URL参照)」2,000円は金沢から鶴来駅までのバス、電車の乗車券以外に鶴来の町並みの散策で利用できる「和菓子券」、「辻占券」もついている。「恋のしらやまさん」公式ガイドマップと、白山比咩神社に奉納することができる「奉納恋文」も一緒にもらえる。恋愛成就はもちろん、ご縁とは様々なご縁を結ぶもの、文化・歴史・味覚・パワースポット・人とのふれあいを一層楽しむために活用できそうだ。

参考:恋のしらやまさんきっぷ
https://koishira.jp/about/

「恋のしらやまさんきっぷ(2000円)は金沢から鶴来駅までのバス、電車の乗車券以外に鶴来の町並みの散策で利用できる「和菓子券」がついてきたり、加賀地方の伝統和菓子「辻占」をかたどった「辻占恋みくじ」で占ったりと特典がたくさん。「恋のしらやまさん」公式ガイドマップと、白山比咩神社に奉納することができる「奉納恋文」も一緒にもらえる

表参道入り口側の大きな一の鳥居、木々のトンネルが美しい。約250メートルにわたり、緩やかな並木道の登り坂が続く。ガイド付きツアーも希望日の1週間前までに要予約で可能

ご祭神は、白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ)=菊理媛尊(くくりひめのみこと)、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の三柱

この橋は、この世とあの世を分ける橋と説明を受ける。しばしあちらの世界へ…

二の鳥居の両サイドには、少しだけ微笑んでいるように見える狛犬が鎮座している

御神木の「老杉」。根元の周り約12メートル、樹高約42メートルの巨木で樹齢は約800年だそう

三の門、神門をとおり拝殿が現れる。とても落ち着いた風情のある雰囲気

拝殿でお参りした後は、恋文を書き、お守り等の授与所で舞女(まいひめ)さんに渡して、くくり姫様へ恋文を無事に奉納

この神社には「禊社・禊場」がある。神職の方の指導のもと、春から秋にかけて月に2回、みそぎ体験ができるそう。体験者には神社より修了証の授与も。みそぎ体験ができる神社はなかなかないので、機会があればぜひ挑戦したい

こちらも必ず参拝したい! 神秘的な「金劔宮(きんけんぐう)」

 二つ目の神社は「金劔宮」。こちらもおすすめということで楽しみにしていた。紀元前95年に創建されたと伝わる古社で、古くは劔宮(つるぎのみや)と呼ばれ、鶴来(つるぎ)という地名の由来となっている。古来、白山七社の一つに数えられ「白山第一王子」とも称されるそうだ。祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)の孫「天津彦彦穂瓊々杵尊(あまつひこひこほににぎのみこと)」で、乙剣社は五穀豊穣(ほうじょう)で知られる「彦火火出見命(ひこほほでのみこと)」。源平合戦では、木曽義仲が俱利伽羅(くりから)峠の合戦で平家を破った際、神宝を寄進したなどの口伝もある。

 毎年10月上旬には「ほうらい祭り」が行われ、高さ5mほどの造り物や獅子舞が、鶴来の街を練り歩く。また昨今では、会社経営者や財界の方々が、全国から参拝しにくるという知る人ぞ知る開運神社であるとか、ちょっと謎めいた神社なのだ。(お好きな方は調べてみると止まらなくなるかも!?)。

表参道の鳥居と階段は、国道の下にあり、写真は表参道にある鳥居で、通称「男段鳥居」といわれる急な階段がある。途中に不動滝がある緩い階段の「女段鳥居」もあり面白い

境内にはご祭神を祭る本殿をはじめ七社が点在し、社巡りを楽しめるパワースポットとしても有名。ご祭神は健康と尚武の神、七社の中には商いを司る恵比須社もあり、商売繁盛や本願成就を願う人々が絶えない

「女段鳥居」より降りてきて鶴来の町へ。こちらは男段より緩やかで着物の女性でも歩きやすいということのようだ

八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)からなる三種の神器と、金運のお守りをセットで購入。「金剱宮」の金色のお守り、なんだかご利益ありそう!

もう一つの魅力、発酵文化

 日本三名山の一つである霊峰白山。その山頂から流れ出す雪解け水は地下にしみ込み伏流水となり、“手取川”として扇状地を潤す。清らかな水、肥沃な大地の恵みは、酒・味噌・醤油・酢・こうじなどの発酵文化の礎となり、先人の知恵を受け継いだ多種多様な発酵食品として今に息づいている。特に古い建物が残る鶴来地区には、酒・味噌・醤油・酢・糀などの醸造元が揃っており、小さな街でこれだけ多様な醸造業が営まれているのは全国でも稀なのだとか。

 また、これらの醸造品を使った新たなスイーツが続々と登場している。この地域で楽しむ食の根柢に、脈々と継がれる発酵文化が息づいていることを感じずにはいられない。旅の醍醐味として、その土地の食を楽しむことは欠かせない。心身ともに“ととのう”ことに、この発酵文化と共にある食文化は大きいと思う。ということでいくつかの発酵文化をご紹介!

北陸鉄道石川線の終着駅。鶴来駅はレトロな雰囲気が可愛い

発酵文化をより広く楽しんでもらうために発酵食品で作ったスイーツがたくさん開発されている。例えば、日常に彩りを加えるケーキと洋菓子のお店『Haku』が手がける「味噌パウンドケーキ」。創業 100 年以上の老舗『吉田屋』の濃厚味噌を使い、塩味と甘さのバランスを何度も調整。ほんのり味噌の風味が感じられる優しい味わいに仕上がっている

宿屋の『白山お宿そば処 さかい』と江戸時代から続き全国的にも珍しい昔ながらの地下の石室(いしむろ)で、糀をつくっているこだわりの糀店『武久商店』のコラボ。糀入りの「ストロベリー糀スムージー」はとろっと濃厚で、甘さ控えめで栄養たっぷり。鳥居をかたどったクッキーも一緒に。

『汐井酒店』では『日本酒(菊姫)』
日本酒通が憧れる高級銘酒『菊姫』の大吟醸を惜しげもなく使ったソフトクリーム「菊姫大吟醸ソフト」は、ふわりと広がる吟醸香と甘さ控えめのクリームが溶け合って上品な味わい。アルコール1%未満なので、お酒が飲めない人でも大丈夫!

100年もの間、地域の人に愛され続けた理容店を改装した「カフェときどきバー・お宿たけだ」。“住んでいる地域・年齢・職業などの違いを超えて、さまざまな人が訪れる空間が、自由や楽しさを生み出す”をモットーに施設をリニューアルした

1階はハンドドリップで淹れる挽き立てコーヒーやお抹茶、軽食が味わえる「cafe」。2階は「お宿」となり、部屋ごとに壁の色が違う和室が3室ある

「こうじ」で甘酒づくり体験。お宿「たけだ」で教えてもらいながら夜に仕込む。愛情をもってかき混ぜることが大切だそうだ。何度か手入れをし、一晩寝かせれば出来上がり。朝食で自分でつくった手作りの甘酒をいただく。自然なこうじの甘さがとても美味しい。粒をブレンダーでさらに細かくすると、なめらかで洗練された味に

町の中にはこうじ(糀)を販売しているお店もいくつか

古い町並みの中には日本酒、味噌、醤油、醸造酢、糀のお店がたくさん! さすが発酵の町!! 写真は口コミで広がって超有名になった“プロだし”が購入できる「吉田屋」

1716年創業の「萬歳楽」に立ち寄り試飲をさせてもらう。水がきれいだからこその米どころ、酒どころでそれぞれに美味しい。梅酒も有名で大吟醸古酒も人気

夜は「酒肴 づいき(随喜)」。町屋をリノベーションした箱庭のある店内、燻製と熟成肉、土鍋ご飯がウリだが、ここでしか味わえないであろう地酒ラインナップと肴が旅人の心を鷲掴み間違いない。地元の人にも愛される通いたくなる一軒

旅先としての魅力は食と、その土地での体験…

 旅先ではその土地、鶴来ならではのコト、モノに触れたいと思うもの。その体験コンテンツが地域の人たちの手で続々と見直され、新たに息吹をあげている。教えてくれる人とも触れ合うことができて結果的に満足度はアップ!と感じている。例えば、以下の事例だ。

・その一
加賀地方で作られている獅子頭のおよそ、8割をしめる獅子の街である。そのため獅子がトレードマーク。「獅子ワールド館」や工房がある。その獅子で体験ができること。

・その二
鶴来商工会青年部が開発したご当地グルメ「つるぎTKGY(卵かけご飯焼き)」。「つるぎTKGY」は、地元産のお米を使い、鶴来産の醤油やだしで卵かけご飯をつくり、それを外はかりっと、中はふんわり焼き上げることがルールになっているご当地グルメ。そのご当地グルメが、市民の食として徐々に定着しはじめており、ルールに沿った「つるぎTKGY」は現在、市内の計12店舗で提供されている。各店舗で提供されている「つるぎTKGY」は、“お好み焼き風”“天津飯風”“カレー風味”“明太子風味”“キムチ味”など多彩な味のレパートリーが楽しめること。

・その三
白山市の鶴来(つるぎ)とその周辺の地域では、お祭りの時に各家庭で笹寿司を作る。2枚の笹ですし飯を包む独特な形の押し寿司。白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)表参道にある「おはぎ屋」では、笹寿司を毎日作り販売しており、作る体験をしてお土産にもできること。

・その四
真言大谷派鶴来別院で写経体験ができること。1903(明治36)年に鶴来地域の聞法(もんぽう=親鸞聖人の教えを聞くこと)の惣道場として、現在の白山市鶴来清沢町に誕生。以来約120年に渡り、鶴来で地域の人に愛される場所に。参拝のみならず、ヨガや読書会などが定期的に行われ、みんなの憩いの場にもなっている。

・その五
鶴来地区の無料休憩所「横町うらら館」では、ひのき細工体験ができること。約400年の歴史があると伝わり、最盛期には年間10万枚以上の生産を誇った檜笠づくり、担い手の高齢化と需要減から、その歴史はいずれ途絶えると思われた。だが、近年は若い担い手も現れ、インテリアやアクセサリー、バッグ等、新商品の開発も進められている。深瀬新町の工房では、笠や小物、カゴなど檜細工の販売から制作体験、古い笠の修理も行っている。

 他にも参拝客をはじめ多くのコアなファンを受け入れ魅了してきた白山市鶴来。今回、旅をして思ったのは、悠然たる白山と手取川の自然と、発酵食・歴史・文化が受け継がれていている本当に豊かな土地。程よい非日常感とパワースポットという魅力的なキーワードにちょっとだけ心を躍らせながら、自身の日常の疲れや汚れを心地よくリセットさせてくれる場所。自分ならではの「ととのう旅」をデザインしてみるのも面白いと思う。

パーク獅子吼にある「獅子ワールド館」では日本一の木彫り夫婦獅子頭や、世界中から集められた獅子などを紹介している

「知田工房」はその獅子頭を専門に製造する全国唯一の工房。桐工芸職人だった先代が立ち上げ、現在は2代目。全国のみこしの大獅子から獅子舞の獅子頭まで、制作・修理 をしている。口が開く細やかな細工が「かわいい」と人気。実際に自分で作る体験も受けてくれるので問い合わせてみよう

一般客向けにはランチ1540円〜を販売。白山比咩神社までも近く参拝にも便利なお宿でランチ営業もしている

地のものを使った美味しいランチメニューがあるが、このメニューもおすすめ

かのやの「かみなりサンド」もテイクアウトもできて人気。自家製のパンの片側には竹炭を交ぜ、具は定番メニューとして親しまれているだし巻き卵を分厚く挟んでいる

見た目のユニークさもさることながら、出し巻き卵が分厚くてジューシーで美味しい

白山比咩神社の表参道で白山市のお土産、朝採れ野菜などを販売している「いっぷく処 おはぎ屋」。昼食にはお蕎麦や「おはぎ屋定食」、そして「おはぎソフトクリーム」が大人気!

こちらでは鶴来の伝統料理「笹寿司づくり体験」ができる。「おはぎ屋」のご主人が優しく教えてくれた。笹寿司の伝統についての話を聞き、特製の木枠を使って笹寿司を3個作り、木枠ごと持ち帰りができる(3日前要予約)

真宗大谷派鶴来別院は鶴来の町で地元の人にも愛される憩いの場。こちらでは、予約をすれば誰でも本堂で写経体験が出来る。また写経後はバックヤードツアーで普段見られない場所も案内してもらえる!

非日常的な体験で心を洗われる気持ちに

横町うらら館は今は無料休憩所だが、「ひのきコースター作り体験」ができる

この地域の重要な産物であった檜笠づくり。その「深瀬の檜細工」の技術を何とかつなぎ、「ひのき細工体験」として鶴来地区の無料休憩所「横町うらら館」では、ひのき細工のコースター作り体験ができる(有料、要予約)

獅子吼高原の近く、白山比咩神社にもほど近い和風旅館。打ちたて、ゆでたてにこだわった蕎麦も人気で、今回はランチ利用

打ちたての蕎麦と地元の食材を使った一品料理やサクサクの天ぷらでボリュームたっぷり

白山市役所鶴来支所1階にある白山市観光案内所。鶴来駅から徒歩1分の場所にあり、窓口では、自転車の貸し出しも行っている。鶴来の町の散策や、手取キャニオンロードのサイクリングに便利。まずはここで情報収集をするのが良さそうだ

■白山市、鶴来の詳細はこちらへ

ご加護のある街「つるぎ」
https://tsurugi.shoko.or.jp/kankou/

白山市公式観光サイト「うらら白山人」
https://www.urara-hakusanbito.com/

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