意外な名物から興味を引く観光スポットまで、東日本にはまだ知られていない魅力がたくさん。実際につなぐ旅編集部が東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポートします。第2回目は世界遺産を有する富山県南砺市です。
1995年、岐阜県白川村荻町、富山県五箇山相倉、菅沼の3つの集落が「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産に登録されました。その五箇山があるまちが南砺市です。相倉集落には民宿がいくつかあるということで、世界遺産に宿泊してきました。今回は「伝統産業編」「宿泊編」「合掌造りの歴史編」の3本立てでご紹介します。(伝統産業編はこちらから、宿泊編はこちらから)
合掌造りの祖を尋ねて
相倉には、合掌造りの原型になったといわれる「原始合掌造り」があります。かつては五箇山全域にあったようですが、現存するのは江戸時代後期に作られたこの1棟のみ。岐阜県の白川郷にも1棟あり、合わせて世界に2棟しかないという貴重な家です。側面の壁がなく、「全部が屋根」という感じの家は見たことないかも。
こちらは国道から外れていたために開発を免れたこと、そして昭和初期まで人が住んでいたことでこうして今に残っています。特別に中を見せていただきましたが、部屋全体が屋根裏部屋みたいでユニーク。高さ的に立って過ごせるスペースは限られるので、椅子を使わない生活ならいけそうな気がします。
原始合掌造り
住所:富山県南砺市相倉
HP:http://www.g-ainokura.com/
合掌造り家屋での蚕との暮らし
全部が屋根のようだった合掌造りの家ですが、そのまま持ち上がるようなイメージで屋根の下に住居部分ができ、今の形になりました。「展示館 勇助」でも、池端滋さんから面白い話を聞くことができます。
民宿と展示資料館が併設されており、資料館では養蚕業で生活を営んでいた時代の暮らしを垣間見ることができます。
囲炉裏周りはさすがに暖かいですが、少し離れると開け放した窓から風が通って気持ちいい。池端さんは「生活をすることでも空気が流れるし、古い家だから隙間風も通るんですよ。そのおかげで家がもっているともいえます」と言います。
勇助は3階建て(1階+屋根裏2層)で、1階で日常生活を送り、2階では蚕を棚で育て、2階と3階で繭を管理していたそう。池端さんの話では「1階でも蚕を飼っていて、夜になると蚕の葉を食べる音が響いた」のだそうで、ものすごく“蚕ファースト”な暮らしだったことが分かります。
2階では養蚕の様子が分かる展示やかつての相倉の暮らしを切り取った写真などを見ることができます。
3階は手を加えずに当時のまま保存されているとのこと。複雑に木が組まれ、その木はどれも煤で真っ黒。屋根の一番下の層の様子も見えます。
展示館 勇助
住所:富山県南砺市相倉591
HP:https://yusuke-gokayama.com/
食事とお土産ならこのお店で!
五箇山の歴史や暮らしを学んだところで、最後に名物を食べて帰るかー、ということで「茶店まつや」へ。こちらは大正時代からお酒や食品、生活用品を販売していたそうで、現在は食事処でありながら商店でもあります。
私は天ぷらそばと、五箇山豆腐の冷ややっこをいただきました。
出汁は手作りというそばは、つるっとしたのど越しが気持ちいい。歩き回って疲れた体に、甘じょっぱい出汁が沁みます。天ぷらも季節によって具材が変わるそうで、私が伺ったタイミングではオクラやナス、ピーマンなどの夏野菜でした。ちょっと面白かったのが豆腐の天ぷら。揚げ出し豆腐のような感じなのですが、でも中は密度の高い五箇山豆腐なので食べ応えがすごい!
五箇山豆腐の冷ややっこも、そばと天ぷらのいい箸休めに。お店の方曰く、五箇山豆腐で作ったおいなりさんもおすすめとのことで、食べたかった~。
茶店まつやは食事処だけでなく、お土産処でもあります。私が食事している間、観光客の方がお土産を買っていました。
茶店まつや
住所:富山県南砺市相倉445
HP:https://www.gokayama-matuya.com
「屋根裏」を生かした合掌造りでの暮らし
合掌造りといえば印象的な、三角形の茅葺屋根。その屋根が持ち上がる形で居住スペースができ、今の家の形になったなんて初めて知りました。屋根裏を養蚕の場として生かしたのは、冬は雪が多くて外に出られないから、という理由もあったでしょうし、五箇山という土地ならではの暮らしだなと感じます。合掌造り、奥が深くて面白いですよ。
(伝統産業編はこちらから、宿泊編はこちらから)
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