意外な名物から興味を引く観光スポットまで、東日本にはまだ知られていない魅力がたくさん。つなぐ旅編集部が実際に東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は栃木県那須塩原市の旅の様子をお届けします!
旅行に欠かせないのが地元のグルメ。那須塩原市で出会ったのは「スープ入り焼きそば」「とて焼き」といった耳なじみのないメニューでした。スープに入った焼きそばって何? とて焼きって何を焼いたもの? 全然想像ができませんが、どちらも食べたらめちゃくちゃ美味しかった! もちろんお土産にはチーズを購入しましたよ。
(牧場編はこちらから、観光編はこちら)
醤油ラーメンのスープと焼きそばが謎の合体
那須塩原市の名物グルメ「スープ入り焼きそば」。ラーメンの焼きそば版ってことだろうか…と疑問を胸に、スープ入り焼きそばが食べられる「釜彦」を尋ねました。
店主の遠藤和久さんによると、スープ入り焼きそばが誕生したのは1950年代後半頃なのだそう。「先代が経営していた時に、お客さんから焼きそばとスープの注文を受けたんです。でも当時はラップなどがない時代だったので、そのまま運ぶとスープがこぼれてしまったんです。そこで“スープの中に焼きそばを入れてしまおう”と思いついたことで生まれたメニューなんです。そこから味のバランスを研究して、2、3年後に完成しました」(遠藤さん)。
いくらスープがこぼれてしまうからといって、スープと焼きそばをドッキングさせるその発想がすごい! 思った以上に歴史のあるこの一杯、どんな味なのか気になって早速オーダーしました。
具材は鶏肉、キャベツ、なると、そしてソース焼きそば。食べてみると当然ですがラーメンではなく、焼きそばの味です。一方のスープは出汁の風味を感じる醤油味。野菜は香ばしく炒められているし、でもなるともあるし、不思議なメニューだ…と思って食べ進めているうちに、スープに焼きそばのソースが溶け出して焼きそば度が上がってきました。何これ面白い。スープがスパイシーになってきて、汗が止まらない!
焼きそばソースの効果か、ちょっと酸味があるところもユニークです。そのおかげで暑い季節も意外とペロリと食べられそうだなと思っていると、遠藤さんが「風邪などで食欲がないけれどスープ入り焼きそばなら食べられる、という方もいるんですよ」と教えてくれました。
スープ入り焼きそばはライスと一緒に頼む方が8割くらいを占めるんだそう。実際、私の隣に座った男性客は大ライスを頼んでいました。また、前日に乗ったタクシーの運転手さんは「ライスにスープを入れるのがおすすめ。そうするとライスとスープ両方をしっかり楽しめるから」と話していました。遠藤さん曰く「スープ入り焼きそばと普通の焼きそばを頼む方もいる」とのことで、メイン料理でもあり汁物でもあるんですね。
店内に置いてあったノートには、新潟や長野、山口など全国各地のお客さんから「また食べにきました」というコメントが多数。一度食べたらクセになるの、分かります!
釜彦
住所:栃木県那須塩原市塩原2611
定休日:不定休
アクセス:JRバス「塩原温泉バスターミナル」から徒歩10分
オリジナリティあふれるスイーツ「とて焼き」
小腹が空いたときにおすすめしたいのが「とて焼き」です。地元産の牛乳と卵を使った生地でフルーツや野菜などをラッパ型にくるんだ、クレープ風のグルメ。スイーツ系からおかず系まで、お店によってラインアップが異なるところもまるでクレープみたいなんです。
今回訪れた和菓子店「榮太楼」では、地元で採れた旬のフルーツを使った「季節のとて」が食べられます。私が行ったタイミングではイチゴのとて焼きが登場。中にはイチゴと生クリームの他に、あんこや白玉、バナナなどが包まれていて、まるでフルーツあんみつやパフェのよう! 生地はスポンジのようにふわふわしっとりしていて、洋菓子っぽさがあるスイーツです。
とて焼きの「とて」とは、昔塩原温泉郷を走っていた「とて馬車」から。店主の君島達己さんによると「とて馬車は20~30年くらい前まで走っていた」とのことで、わりと最近まで走っていたんですね。
とて焼きに入っているのは榮太楼自慢のあんこ。せっかくなので人気の温泉まんじゅうをいただくと、甘さ控えめでさらりとなめらかなあんこと黒糖生地がよく合います。
榮太楼
住所:栃木県那須塩原市塩原689
定休日:不定休
HP:https://ankotarou8181.com/
アクセス:ゆ~バス「塩原門前」バス停より徒歩3分
那須塩原市で、世界に認められたチーズに出合う
お土産で絶対に押さえておきたいのがチーズです。「チーズ工房那須の森」は、世界最高峰のチーズコンテスト「World Cheese Awards 2019」や、国内のチーズコンテスト「Japan Cheese Award2024」など数々のコンテストで受賞している、今注目のチーズ工房の一つ。
こちらでは、日本では数少ないブラウンスイスという乳牛とホルスタインの生乳を使ってチーズを手作りしています。代表取締役の山川将弘さんは「日本でもここ10年くらいでチーズが食べられるようになりました。国産でクオリティの高いおいしいチーズを食べてもらいたいと思っています」と話してくれました。
乳製品というと北海道のイメージも強いですが、「東京から那須塩原までは新幹線で1時間もかからずに来られますし、距離が近い分、お土産として購入するなどで触れる機会も多いんです」と山川さん。実際、那須千本松牧場のショップでも取り扱われていたので観光に来た方が手に取るチャンスは多そうです(那須千本松牧場を紹介した「牧場編」はこちら)。
お店は工房と販売スペースが一緒になっていて、ときおりチーズ職人の方の姿を見ることができます。今回は特別に工房の中を見せてもらえるとのことで、わくわくどきどき。
私が感動したのが、チーズの保管庫。棚に大きな丸いチーズがずらりと並んでいる様子は圧巻です。こんなの映画でしか見たことがない!
いくつか試食させてもらい、2種類のチーズを購入しました。一つ目は「ブラウンチーズ」。ヨーグルトの上などに出てくる水分「ホエイ」を使ったチーズで、茶色い色をしているのが特徴です。ひと口食べると、キャラメルのような濃厚さ。甘いだけでなく酸味もあり、初めて食べる味!
「ブリー・ド・那須」という白カビタイプのチーズも購入。クリーミーでミルクの風味が感じられ、そのまま食べてもおいしかったのですが、はちみつをかけたらおいしさにブーストがかかりました。
チーズ工房那須の森
住所:栃木県那須塩原市戸田738-4
定休日:なし
HP:https://nasunomori.jp/
アクセス:「開拓事務所前」バス停より徒歩3分
地元愛が込められたグルメたち
お客さんの注文から生まれて根付いた「スープ入り焼きそば」に、かつて走っていた馬車から名前を採った「とて焼き」、そして本州一採れる生乳で作る世界最高峰のチーズ。どのグルメも誕生秘話から、地元に対する愛がとても感じられました。みなさんもぜひ地元グルメと世界に評価された絶品チーズ、食べてみて!
(牧場編はこちらから、観光編はこちら)
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