14kmのフルーツ街道! 果物王国・福島を旬の季節を問わず楽しむ方法【福島市の旅#1ーフルーツ編】

 つなぐ旅編集部が実際に東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は福島県福島市の旅の様子をお届けします!

 桃をはじめさまざまなフルーツの産地、福島市。私が訪れた6月は桃のシーズンにはちょっと早かったので、さくらんぼ狩りを楽しんできました。その代わりといってはなんですが、桃ビールや桃ジュースで「桃」をしっかり堪能してきましたよ!
温泉編はこちらから)

駅標でもぐいぐい魅力をアピールする福島市

 新幹線車内はほぼ満席で、スーツ姿の人よりも私服姿の人が目につく印象。帰省の方やさくらんぼ狩りなどの観光を楽しみにきた方が多かったのかもしれません。

駅名標には福島をアピールする桃や古関裕而(朝ドラ「エール」のモデル)のイラストがありました

私が駅を出たタイミングではビジネスマンが多かった。一緒に新幹線を降りたのは私服姿の方が多かったのに、みなさん一体どこへ…

駅前に観光PRキャラクターの「ももりん」の水道がありました。手に持った桃とりんごにも蛇口がついています。もちろん出てくるのはどちらも普通の水ですが、もしかして…と思ってしまったのは私だけではないはず!!

フルーツ狩りは絶対欠かせない!

 約14kmにわたる県道、通称「フルーツライン」沿いには果物畑が広がり、観光果樹園や直売所が数多く立ち並んでいます。その中の一つが今回の目的地「あづま果樹園」。6代目の吾妻正一さんが園内を案内してくれました。

こぎれいな佇まいで入りやすい雰囲気

「どうせなら桃の時期においでよ(笑)」と言う吾妻さん。私はさくらんぼも大好きですよ!!

 「福島市は西日本より暑くなく、北日本より寒くないのでさくらんぼ、桃、ぶどう、梨、りんごのどれもが育ついい気候なんですよ」と吾妻さん。言われてみれば桃は岡山県、ぶどうは山梨県や長野県、りんごは青森県…と代表する産地はバラバラ。福島市の気候の良さがよく分かります。

 私が訪れたのはさくらんぼの「佐藤錦」の最盛期で、そのすぐあとに「紅秀峰」が旬を迎えるというタイミング。園内の紅秀峰の木には真っ赤な実があちこちになっていました。

「たわわ」ってこういうことを指すんだなと思った

脚立を使わなくてもさくらんぼが採れる!

木が低めなのが伝わるでしょうか。佐藤錦の木はだいぶ実が採られていてちょっとさみしげ

桃の実もなっていましたが、まだ梅くらいの大きさ。よく見るとすでに表面にうぶ毛が生えてる

ぶどうもすでによく見る形に育っていました。吾妻さんによると「一つ一つの房から実を間引かないといけない」のだそうで、房ごとじゃなく、ひと房内の実を間引くの⁉とびっくり

 直売所の商品もかなり魅力的。園内で採れた果物はもちろん、その果物を使ったジュースやスムージーなどを販売しています。私が選んだ「さくらんぼのフローズンフロート」も、園内で採れたさくらんぼの自家製ジュースを使った一品。フローズンですが氷を使っていないとのことで、さくらんぼの濃厚な風味が楽しめておいしい! 今年からは桃のフローズンドリンクもスタートするとのことでしたので、そちらもぜひ飲んでみたいところ。

上にはソフトクリームが乗っていて、1杯飲むと(食べると?)だいぶ暑さが吹き飛ぶひんやり具合

 自家製ジュースもおみやげとして購入。桃のジュースはこぼれる果汁をそのまま閉じ込めたような濃厚な味わいで、桃より桃感があるようにさえ思えました。これ、おいしいのでぜひ飲んでほしい。

ぶどうジュースはワイン用のぶどうを使っているそうで、とても香り豊か。りんごジュースはりんごそのものより濃厚な味

あづま果樹園
住所:福島県福島市飯坂町平野西原1-13
定休日:6月~12月下旬は無休、12月中旬~5月まで休業
HP:https://aduma-kajuen.com/
アクセス:福島駅からタクシーで約20分

今注目の「桃ビール」とは⁉

 意外ですが、桃はビールでも味わえます。ベリーや柑橘のフルーツビールは飲んだことがあるものの、桃は未体験。ぜひ飲んでみたくて、桃のビールを作っている「福島路ビール」を訪ねました。

 こちらで提供しているのが「桃のラガー」。福島産の白桃「あかつき」を使ったビールで、2025年5月発行の日本経済新聞の国産フルーツビールランキングで2位を飾った一杯です。

 瓶から注いだ瞬間に桃の香りがふわっと広がり、ひと口飲むと舌の上に桃の風味とビール独特の苦みがわあっと広がります。これは間違いなく桃で、ビールだ…!

「桃のラガー」は生での提供のほか瓶でも販売。この日誕生日だった私は1本購入して、宿でバースデーケーキならぬバースデービールをキメました

ピルスナーやヴァイツェンといったビールもあります。暑い日だったので体の隅々にまでビールが染みた

 「ふくしま路ビール」では昨今のクラフトビールブームよりも前からビールを作っていて、今年で創業から30年目を迎えます。常務取締役の吉田博子さんによると、きっかけは90年代半ばの地ビールブームだったそう。「日本人の口に合うドイツビールを目指して、元キリンビールの方と一緒にビールのベースの味を作りました。ビール酵母はミュンヘン大学からもらったものなんですよ」とのことで、驚くほどのドイツスタイル!

明るくて笑顔がとてもかわいい吉田さん。普段は福島競馬場の店舗にいることが多いそう

 一方、「桃のラガー」が誕生したきっかけは東日本大震災。「当時、福島産のものはきちんと放射線量を検査して安全性を確認しても、廃棄になってしまうことが多くて…。それだったらと、そんな桃を使ってビールを作ることにしたんです」と吉田さん。そんな桃ビールが世の中に認められるようになって本当に良かった…。

当時はりんごも廃棄されてしまうことが多く、その逆境を乗り越えて「林檎のラガー」が誕生。シードルっぽい味でおもしろい

店舗には醸造所も併設。特別に仕込みをしているところを見せてもらいました

 ビール以外にもう一つ、ぜひ見てほしいのがお庭。「ガーデン」と表記したくなる素敵さなんです。

まず、店舗の入り口からしてガーデン感が漂う

真っ赤なバラと、後ろの白いオルレアとのコントラストが鮮やか

写真には写っていませんが、ガーデンから吾妻連峰も望めます。植物に囲まれて自然を愛でながら飲むビールが美味

 店舗がある「アンナガーデン」というエリアには教会があり、地元で人気のウエディングスポットでもあります。結婚式後にガーデンパーティーができたら素敵じゃない⁉と吉田さんがひらめき、イングリッシュガーデンを作ったのだそう。肥料にはビール醸造時にできるモルトかすを混ぜているとのことで、余すところなくビールを活用していました。

イギリスから移築したという教会は、約130年前の建物なんだそう

福島路ビール
住所:福島県福島市荒井字横塚3-182
定休日:年末年始
HP:https://www.f-beer.com/#top
アクセス:福島駅からタクシーで約20分

旬の時期じゃなくても、そのおいしさを伝えてくれる一級の加工品

 シーズン外でもあの手この手で自慢のフルーツを楽しませてくれる福島市。本物よりも味が濃いように感じたジュースも、驚くくらい果実の香りがするフルーツビールも、フルーツの実力が伝わってきて最高でした。
温泉編はこちらから)

フルーツではありませんが、日本酒酵母を使った「米ビール」もふくよかな米の味わいが感じられました

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